雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

老いるということ

2017-05-14 12:40:48 | ことの葉散歩道

老いるということ
     (ことの葉散歩道№34)

「年をとっていいことはあるかい」
「細かいことを気にしなくなる」
「じゃあ最悪なことは」
「若い頃のことをおぼえていることだ」

   デビット・リンチ監督 
       「ストレイト・ストーリー」より

 いいこと言うね。
おそらく若い時のことを全部忘れてしまったら、
記憶力の衰えも、
肉体の衰えも意識せずに、
「今が最高!!」なんて言いながら、
豊かな老いを生きることができるのかもしれない。

 しかし、よく考えてみるとそれでも人生味気ないかな。
やっぱり山あり谷あり喜怒哀楽があって人生に味が出てくるのでしょう。
人間は、記憶があってそれを追体験することにより学習し、
より豊かな人生を歩むことができる。
記憶がトラウマとなり、苦しい立場に立たされる時もある。

 認知症が哀しいのは、
遠い過去のことは覚えていても、
直近の現実を忘れてしまうからだ。
だから自分を忘れ、
夫の事を忘れてしまう。


 ひどい腰痛を患う頑固な老人の言葉は、豪快で気持ちがいい。
老いなど吹き飛ばすほどの力強さを感じさせられる。

「細かいことを気にせず」に、
「若い頃のこと」は懐かしい思い出とし、
人生の肥やしとして保持していければ、
人生捨てたものではないですね。

 映画のあらすじ

  1994年にNYタイムズに掲載された実話を基に、「エレファントマン」のデヴィッド・リンチ監督がユーモアとペーソス溢れるタッチで描いた映画。
 アルヴィン・ストレイトは娘のローズと暮らす73歳の老人。
腰が悪く、家で倒れても人の力を借りなければ立ち上がることもままならない。
長年会っていなかった兄が倒れたという知らせが届く。
兄が住む家までの距離は350マイル(約560km)。
アルヴィンは時速8㌔のトラクターに乗り一人で無謀とも思える旅に出た。
出会う人々は彼を奇妙に思いながらも、
ある者は助けを惜しまず、
ある者は示唆に富んだ老人の言葉を得る。ロード・ムービー。

 冒頭に紹介した会話文は、
 老人が妊娠5か月の家出少女との出会いの中で交わされる会話。
 実は、この映画私は未見のため、映画案内で調べてみました。
 是非見たい映画の一つになりました。
 作家・北方謙三氏がインタビューの中で、「感動した会話」として紹介していました。

 ブログ「ポケットに映画を入れて」のyasutuさん、見ていたら映画の感想聴けたら嬉しいです。
 

 


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6 コメント

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感想のご指名ありがとうございます (ツカヤス)
2017-05-14 20:03:54
懐かしい「ストレイト・ストーリー」のお話、感慨深く拝読しました。
この映画の監督デビット・リンチは、デビュー作1976年の「イレイザーヘッド」がカルトムービーとして当時、アメリカのマニアの間では評判でした。
このデビュー作が日本で封切られた1981年、早速観に行って、感激し、その後、ベータ版ビデオ・テープも購入して今でも手にしています。
その後のこの監督には、ご存知と思いますが、「エレファント・マン」「ブルーベルベット」「ツイン・ピークス」等とっても有名な作品がたくさんあります。
しかし、どれもクセがあるというか独特な世界観で、そこがまた魅力のひとつになっています。
そんな中で「ストレイト・ストーリー」は、珍しく一般的というか、非常に分かりやすいストーリーで、ほのぼのとして、
ラストに行き着くと我ながら感動させられました。
ですので、未見でしたら是非鑑賞して頂きたいな、と思います。
と言う私も、ここで紹介されているような会話は今では記憶にありません。
この作品を観てから、相当年数が経っていますので、その会話を確認するためにも、
そして、年相応の見方で再度鑑賞すれば、感想も違ってくるのではないか、との思いも絡んで、もう一度観てみたいなと思ってしまいました。




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ツカヤスさん早速のコメントありがとうございます。 (雨あがりのペイブメント)
2017-05-15 10:17:10
ツカヤスさん、さすがですね。
映画のことなら、造詣の深いツカヤスさん。
デビット・リンチ監督については、
私は何も知りませんでした。
 「エレファント・マン」が彼の作品だったことさえ認識しておらず、とても恥ずかしい思いです。

 最近、年を経るに従い2時間以上の映画を通しで見ることがきつくなってきましたが、ご紹介いただいた作品は是非見たいと思います。
 ありがとうございました。
返信する
はじめまして (しゃちくん)
2017-05-15 17:20:51
この作品だったかは定かではありませんが長年疎遠だった実の兄に会いに行くため芝刈り機で旅をする映画を観ました。
失ってしまった兄との絆を取り戻すため自戒の意味も込めて芝刈り機のゆっくりとしたスピードで前に進むのですが道中、様々なトラブルに遭遇し多くの人に助けられながら閉ざされた心が溶けてゆく物語。
兄と対面するころにはすっかり性格も丸くなり素直な心で兄に謝ります。兄も「もっと早く、お前を許してやるべきだった」と高齢になった兄弟の心が温まる内容です。
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しゃちくんさんへ (雨あがりのペイブメント)
2017-05-16 11:42:12
 コメントありがとうございます。

 しゃちくんさんの言う通りです。
 なんだか、とても「ほっこり」する映画のようですね。
 是非ぜひ見たいリストへ加えたいと思います。
 また、良い映画の情報などありましたら教えてください。

 梅雨から夏に向けて、健康に留意し
どうぞご自愛ください。
返信する
リンクさせて頂きました。 (ツカヤス)
2017-07-26 22:43:40
お久しぶりです。
体調はいかがですか。
ところで、今回「ストレイト・ストーリー」を再度観ました関係上、
勝手ながら、断わりもなくリンクさせて頂きました。
申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いします。
非常に勝手なお願いまで。
返信する
深い言葉の意味 (雨あがりのペイブメント)
2017-07-27 22:13:01
ツカヤスさん、久しぶりです。
リンクの部分拝見しました。
「深い言葉の意味」は、辛くて苦しい体験に繋がっていたのですね。改めてこの映画の素晴らしさを認識した次第です。
 私のブログは、基本的にどんな利用の仕方をなされても結構です。
 悪意に基づく利用の仕方でなければOKです。ご一報いただければ、事前事後を問いません。

 体調徐々に回復に向かっています。
今後ともよろしくお願いします。
返信する

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