ECB(欧州中央銀行)と英国中央銀行は、3月5日、それぞれ政策金利を0.5%下げを決えめ、さらに社債、国債などの買い取りを併せ実施すると発表した。この発表を受けて、今朝のNY外国為替市場では、対ドルでユーロ、英ポンドが売られた。米国債相場は値上がりした。NYダウは前日比281ドル下げ6,594ドルで取引を終了した。
NY原油(WTI)先物相場は、中国の景気刺激策に対する期待感が後退して値下がり、バレル43.61ドル前後で取引された。一方、NY金先物相場は、ユーロ、英ポンド安を受けて、9日振りに大幅反発、トロイオンス936ドルで取引された。
ECBは0.5%の利下げにより1.5%となった。会合のあとの記者会見で、トリシエ総裁は「銀行に対して少なくとも今年末までは、限度を設けず資金を供給する。新たなノン・スタンダード・メジャー(正規でない方策)について討議し検討している」と語った。
この発言を受けてエコノミストはECBがさらに1.0%利下げして年0.5%まで下げるとの見方を益々強めていると今朝のWSJ紙は紹介した。一方、英中銀は政策金利を0.5%引き下げ年0.5%としたが、9名の政策委員全員の意見が「さらなる利下げは逆効果となる」と声明文の中で述べたとWSJ紙は書き、英国の利下げ打ち止めを示唆した。
日本は0.25%、米国は昨年12月に「0ないし0.25%」まで下げ、今回英国が0.5%、ECBは1.0%まで下げた後0.5%が視野に入った。英国はイングランド銀行創設1694以来初めてという異例の0.5% 金利に踏み切った。金利をゼロ同然にして銀行の貸出を最大限拡大したい狙いがる。現在の欧州の金融危機がいかに深刻であるかを覗うことが出来る。
英中銀の利下げには、金融危機が実体経済にも及んできていることが背景にある。エコノミストは2009年の英GDPが昨年10~12月の1.5%から悪化して3.0%減となると予測している。英国も米国同様にサブプライムローン問題をきっかけに銀行が破たんした。
銀行破たんの元凶は住宅の値下がりである。英国ロイド銀行は、2月の英住宅価格は1月から2.0%値下がりしたと発表した。ピークの2007年2月から住宅の値段は17.7%下げたとWSJ紙は紹介している。住宅の値段が下げ止まらない限り英国経済も米国同様期待できない。
一方、ECBは12月に出したユーロ圏の2009年のGDP成長率マイナス0.5%予測を今回2.7%減へ下方修正した。先にIMFが出したユーロ圏の09年の成長率マイナス2.0%減さえ下回った。ECBの今回の利下げや追加利下げの可能性があるのは、ユーロ圏のインフレ率が目標としている年2.0%を下回るとの見方がECBトリシエ総裁にあるとみられているからである。
トリシエ総裁はインフレを恐れていた。それがわずか1年たらずで4.25%から小刻みながら今回で5回目の利下げで1.0%まで下げてきた。ECBはユーロを共通の通貨として使う16の国の経済状況がドイツからスペインまで大きく異なる。1月のスペインのGDPは12月同様前年比20%減少した。アイルランド、ギリシャのように事実上破産状態の国もかかえている。
ニューズウイーク日本版最新号は欧州経済危機の現状を詳しく紹介している。西欧の銀行が東欧の銀行に貸したお金が焦げついた。西欧の銀行は東欧に貸した1兆7千億ドルの内3千億ドルを損失処理しなければならないと書いていた。
日本ではアメリカの金融危機はなんとか新聞にも書かれるようになった。ところがヨーロッパで何が起こっているのか関心が薄いためマスコミも取り上げない傾向が強い。ロシアのルーブルがなぜ下がるかは原油・天燃ガスの値下がりだが、東欧がおかしくなるとロシアの負担はさらに増える。
日本ではロシア向けの中古車の輸出が減ったという視点でとらえる。西欧の銀行がロシアから資金を引き揚げた結果ルーブルが急落しロシア経済を揺さぶっている。今回のECBトリシエ総裁の苦渋の決断もロシアを含めた隣国東欧の健康状態悪化を見据えた結果だという視点が欠落している。
蕁麻疹はなぜ出来るのか。なぜオデキが出来るのか。からだの中で異常が起こっているからである。からだは一つである。地球も一つである。部分的な動きのみにとらわれているとからだ全体の健康状態を見失う。今回のECBと英中銀の利下げの動きを自分自身の問題として受け止めたい。(了)
NY原油(WTI)先物相場は、中国の景気刺激策に対する期待感が後退して値下がり、バレル43.61ドル前後で取引された。一方、NY金先物相場は、ユーロ、英ポンド安を受けて、9日振りに大幅反発、トロイオンス936ドルで取引された。
ECBは0.5%の利下げにより1.5%となった。会合のあとの記者会見で、トリシエ総裁は「銀行に対して少なくとも今年末までは、限度を設けず資金を供給する。新たなノン・スタンダード・メジャー(正規でない方策)について討議し検討している」と語った。
この発言を受けてエコノミストはECBがさらに1.0%利下げして年0.5%まで下げるとの見方を益々強めていると今朝のWSJ紙は紹介した。一方、英中銀は政策金利を0.5%引き下げ年0.5%としたが、9名の政策委員全員の意見が「さらなる利下げは逆効果となる」と声明文の中で述べたとWSJ紙は書き、英国の利下げ打ち止めを示唆した。
日本は0.25%、米国は昨年12月に「0ないし0.25%」まで下げ、今回英国が0.5%、ECBは1.0%まで下げた後0.5%が視野に入った。英国はイングランド銀行創設1694以来初めてという異例の0.5% 金利に踏み切った。金利をゼロ同然にして銀行の貸出を最大限拡大したい狙いがる。現在の欧州の金融危機がいかに深刻であるかを覗うことが出来る。
英中銀の利下げには、金融危機が実体経済にも及んできていることが背景にある。エコノミストは2009年の英GDPが昨年10~12月の1.5%から悪化して3.0%減となると予測している。英国も米国同様にサブプライムローン問題をきっかけに銀行が破たんした。
銀行破たんの元凶は住宅の値下がりである。英国ロイド銀行は、2月の英住宅価格は1月から2.0%値下がりしたと発表した。ピークの2007年2月から住宅の値段は17.7%下げたとWSJ紙は紹介している。住宅の値段が下げ止まらない限り英国経済も米国同様期待できない。
一方、ECBは12月に出したユーロ圏の2009年のGDP成長率マイナス0.5%予測を今回2.7%減へ下方修正した。先にIMFが出したユーロ圏の09年の成長率マイナス2.0%減さえ下回った。ECBの今回の利下げや追加利下げの可能性があるのは、ユーロ圏のインフレ率が目標としている年2.0%を下回るとの見方がECBトリシエ総裁にあるとみられているからである。
トリシエ総裁はインフレを恐れていた。それがわずか1年たらずで4.25%から小刻みながら今回で5回目の利下げで1.0%まで下げてきた。ECBはユーロを共通の通貨として使う16の国の経済状況がドイツからスペインまで大きく異なる。1月のスペインのGDPは12月同様前年比20%減少した。アイルランド、ギリシャのように事実上破産状態の国もかかえている。
ニューズウイーク日本版最新号は欧州経済危機の現状を詳しく紹介している。西欧の銀行が東欧の銀行に貸したお金が焦げついた。西欧の銀行は東欧に貸した1兆7千億ドルの内3千億ドルを損失処理しなければならないと書いていた。
日本ではアメリカの金融危機はなんとか新聞にも書かれるようになった。ところがヨーロッパで何が起こっているのか関心が薄いためマスコミも取り上げない傾向が強い。ロシアのルーブルがなぜ下がるかは原油・天燃ガスの値下がりだが、東欧がおかしくなるとロシアの負担はさらに増える。
日本ではロシア向けの中古車の輸出が減ったという視点でとらえる。西欧の銀行がロシアから資金を引き揚げた結果ルーブルが急落しロシア経済を揺さぶっている。今回のECBトリシエ総裁の苦渋の決断もロシアを含めた隣国東欧の健康状態悪化を見据えた結果だという視点が欠落している。
蕁麻疹はなぜ出来るのか。なぜオデキが出来るのか。からだの中で異常が起こっているからである。からだは一つである。地球も一つである。部分的な動きのみにとらわれているとからだ全体の健康状態を見失う。今回のECBと英中銀の利下げの動きを自分自身の問題として受け止めたい。(了)