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ロンドン爆弾事件もNY株小反発-学校で教えてくれない経済学

2005-07-08 07:51:23 | 経済学
 7月7日、NY株式市場は、ロンドンでの爆弾事件のあと、取引開始後
100ポイント下げたが、結局31ポイント高で取引を終了した。

 もし日本で地下鉄やバスで爆弾が破裂すればこうはことが
運ばないだろう。

 日本人ならまず人的被害に気もそぞろとなりマスコミふくめ
テンヤワンヤ、とても相場どころではないと想像されるからだ。

 こういうところにも「草食動物」の日本人と「肉食動物」の欧米人との
違いを感じ、妙に感心するばかりである。

 今回の爆弾事件で、投資家は世界経済いは大きなダメージを受けないと
判断したのだとアナリストは解説している。

 NY為替市場は、英国ポンドはさすがに1ポンド=1.74ドルまで下げた。
しかし、あと1ポンド=1.7425ドルまで安値更新ながら戻した。

 ただ、British Airways株は3.2%、大幅値下がりした。オーディオ

査機器メーカーのDigital Recorders株は27%上げたのは、
相場が爆弾テロ事件の影響に素直に反応した結果であろう。

 英国中央銀行が、爆弾テロにもかかわらず、短期金利を予測通り、
据え置きで決めた。英国経済へのダメージを考慮すれば利下げも
十分考えられたが冷静な判断をしたことは興味深い。

 英国が利下げすれば、英国ポンドが対ドル、対ユーロ相場下げに
拍車がかかるとろであった。

 米ドル相場は、対ユーロ、対英ポンドでは上げたが、対円では
小幅さげ、1ドル=112.07円で取引を終了した。
 
 年初ドルは対円で1ドル=101円、102円であり、ドル100円割れが
盛んに議論されていた。さすがに、対円で1ドル=112円を突破して
いまが円の手仕舞い時と見たのであろう、利益確定のドル売りが出たようだ。

 一方、NY原油先物相場は、WTI(テキサス軽質油相場)で、ロンドン爆弾
事件の後、嫌気してバレル57ドル台へ下げたが、結局、バレル
60.73ドルで取引を終了した。

 2001年の9.11テロ攻撃のあと、世界景気悪化を予想して、
原油相場は暴落したことを考えれば様変わりである。

 原油の世界需要は、日量8,080万バレルある。

 中国、インドなどでの需要に衰えがみられないこと、
世界石油消費の50%を占める米国景気が堅調持続している、
一方、需要8,000万バレルに対して精製設備の平均稼働能力は
90%に満たないと言われている。

 今回のロンドン爆弾テロ事件を原油市場が、簡単に吸収して、
相場の先高感をむしろ強く印象付けたことは要注意であろう。

 7月7日のNY原油市場では、爆弾事件から、話題の中心が
日曜日(米時間7月10日)上陸の予想されている
ハリケーンDennisへ移ったとWSJ電子版は伝えているから
これも狩猟民族特有か、頭の切り替えもすこぶる早い。

 一方、NY株が引け間際で小反発ながら相場を戻した背景には、
爆弾テロよりは米時間金曜日発表予定の米雇用統計に
関心が強いからであろう。

 ロンドン爆弾事件もNY株小反発。

 欧米人もロンドン爆弾事件での人命被害に
全く無関心ではなさそうだが、欧米の論理で動かされる相場の
現実の動きを見ていると、はなはだ学ぶところは多い。

 学校で教えてくれない経済学。

 日本人との彼我の認識ギャップの大きさを改めて痛感した。(了)

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