7月21日、中国政府は、人民元為替レート決定制度を
①7月21日から米ドル単一通貨への固定制をとらず、通貨
バスケット制へ移行する、②7月21日午後7時の米ドルの
対人民元の取引価格は、1ドル=8.11元とする、
③米ドルの対人民元の取引価格の変動幅は、米ドルの
取引の中間値の上下0.3%以内とすると発表した。
7月21日、NY外国為替では、円は、前日の1ドル=112円台から
対ドルで2.1%上げ1ドル=110.46円で取引された。
対ユーロでは、1ユーロ=1.2117ドルと前日の
1ユーロ=1.2148ドルと比べてドルは小幅ながら
むしろ買われた。その他欧州通貨に対しても大きな
動きは見られなかった。
一方アジア通貨は、円急騰につられて、前日に比べ
軒並み上昇した。
韓国ウオンは1%、シンガポールドル、タイバーツは
2%それぞれ上げた。
マレーシア中央銀行は、通貨リンギと米ドルを
1ドル=3.8リンギの固定相場制を廃止、
管理変動相場制に移行すると発表した。
米国では、人民元切り上げ発表後、
債券相場が急落、10年物国債の利回りが
4.28%へ上昇した。
NYダウは、61ポイント下げ、ナスダック総合株価
指数も10ポイント近く下げ、ドル、債券、株安と
トリップル安となった。
なぜ米国債が売られたのか。
中国政府は、人民元切り上げを嫌い、米国債券を
買い続けていたが、今回の人民元切り上げ発表で
中国政府の米国債券買いの手が鈍ると債券市場は
判断したことが考えられる。
しかしこのままずるずると米国債が値下がり
(利回り上昇)を続けるかどうかについては、
不透明であるとする専門家の見方も多いようだ。
中国政府の今回の人民元切り上げは、
①2%に過ぎないこと、②変動幅が上下0.3%であること、
③バスケット制度の通貨の中身が公表されていないことなど
中国政府が何を考え、この先どう動いてくるのか
いまひとつ中身に不透明な点が多い事が指摘される。
さらに次の切り上げがあるとしてもあくまでゆっくりとした
テンポで進められるだろうということ、中国に限らず
アジア諸国は、外貨保有高の中身を米ドルから
その他通貨に徐々に移してきているとの指摘もある。
また、債券や株式相場も、米国の金融市場が、
中国の通貨政策よりむしろ米国経済の実態や
米企業業績、米FRBの利上げ問題に焦点が
既に移っていることから、NY株安、債券安も
一時的であるとする指摘もある。
今回の人民元切り上げ発表は突然であったことから
動揺はあった。しかし、時間の経過とともに沈静化するとの
冷静な判断が欧米の論調には多く見られる。
外貨準備高が7,000億ドルという巨額に達したこと、
中国首脳の米国訪問を控えて、米国政府特に米議会の
圧力を目先切り抜けようとする、中国政府の政治的狙いが
みえみえなことも事実のように思われる。
結論的には、今回の人民元切り上げは、重要な
第一歩であることは事実であるが、政治的狙いが
ぷんぷん匂っており、楽観しすぎることは危険であるが、
経済面、金融面での実質的な影響は軽微であると思われる。
人民元2%切り上げで、ばたばたと下手に動きまわることは
少なくとも現時点では、あまり賢い対応でないのかもしれない。(了)
①7月21日から米ドル単一通貨への固定制をとらず、通貨
バスケット制へ移行する、②7月21日午後7時の米ドルの
対人民元の取引価格は、1ドル=8.11元とする、
③米ドルの対人民元の取引価格の変動幅は、米ドルの
取引の中間値の上下0.3%以内とすると発表した。
7月21日、NY外国為替では、円は、前日の1ドル=112円台から
対ドルで2.1%上げ1ドル=110.46円で取引された。
対ユーロでは、1ユーロ=1.2117ドルと前日の
1ユーロ=1.2148ドルと比べてドルは小幅ながら
むしろ買われた。その他欧州通貨に対しても大きな
動きは見られなかった。
一方アジア通貨は、円急騰につられて、前日に比べ
軒並み上昇した。
韓国ウオンは1%、シンガポールドル、タイバーツは
2%それぞれ上げた。
マレーシア中央銀行は、通貨リンギと米ドルを
1ドル=3.8リンギの固定相場制を廃止、
管理変動相場制に移行すると発表した。
米国では、人民元切り上げ発表後、
債券相場が急落、10年物国債の利回りが
4.28%へ上昇した。
NYダウは、61ポイント下げ、ナスダック総合株価
指数も10ポイント近く下げ、ドル、債券、株安と
トリップル安となった。
なぜ米国債が売られたのか。
中国政府は、人民元切り上げを嫌い、米国債券を
買い続けていたが、今回の人民元切り上げ発表で
中国政府の米国債券買いの手が鈍ると債券市場は
判断したことが考えられる。
しかしこのままずるずると米国債が値下がり
(利回り上昇)を続けるかどうかについては、
不透明であるとする専門家の見方も多いようだ。
中国政府の今回の人民元切り上げは、
①2%に過ぎないこと、②変動幅が上下0.3%であること、
③バスケット制度の通貨の中身が公表されていないことなど
中国政府が何を考え、この先どう動いてくるのか
いまひとつ中身に不透明な点が多い事が指摘される。
さらに次の切り上げがあるとしてもあくまでゆっくりとした
テンポで進められるだろうということ、中国に限らず
アジア諸国は、外貨保有高の中身を米ドルから
その他通貨に徐々に移してきているとの指摘もある。
また、債券や株式相場も、米国の金融市場が、
中国の通貨政策よりむしろ米国経済の実態や
米企業業績、米FRBの利上げ問題に焦点が
既に移っていることから、NY株安、債券安も
一時的であるとする指摘もある。
今回の人民元切り上げ発表は突然であったことから
動揺はあった。しかし、時間の経過とともに沈静化するとの
冷静な判断が欧米の論調には多く見られる。
外貨準備高が7,000億ドルという巨額に達したこと、
中国首脳の米国訪問を控えて、米国政府特に米議会の
圧力を目先切り抜けようとする、中国政府の政治的狙いが
みえみえなことも事実のように思われる。
結論的には、今回の人民元切り上げは、重要な
第一歩であることは事実であるが、政治的狙いが
ぷんぷん匂っており、楽観しすぎることは危険であるが、
経済面、金融面での実質的な影響は軽微であると思われる。
人民元2%切り上げで、ばたばたと下手に動きまわることは
少なくとも現時点では、あまり賢い対応でないのかもしれない。(了)