人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

窓ガラスに写ったどうでもいい日常

2020-12-04 13:11:17 | 創作
とある"昔ながらのセルフでない"喫茶店(リッチじゃない私でもたまには行くのだi)で、例によってコーヒーを飲みながら本を読んでいたら、アクリル板を隔てた隣にヤツが座ってきた。
直接は見えないが、窓ガラスを通してその姿は写し出されていたのだ。
どうも不機嫌な様子...何やらウエイターと揉めてるぞ...どうやらセットだとか別料金だとか、セコイことのようだ...ウエイターの接客態度が悪かったのか、ついにキレてしまったi
ヤツのことなら裏のことまで何でも知っている...私と同じビンボー貴族だ。
日頃、"神の愛というものは..."とか言っている人間の本当の姿はアレなんだi
"そんなしかめっ面してたら神の恩寵に見放されちゃうぞi"
おそらく、せっかく無理してリッチな気分を味わおうと思ってたのに、なけなしのモノが危ういことになってしまった、といったところなのだろう...
小市民の切実な現実問題に直面しようものなら、浮いたようなスピ話などでどうともなりゃしないのだ。
おっ、何か閃いたか、ヤツはさっきとは別のデキそうなウエイターを呼んで、カードを使いたいとか交渉してるようだが..."あいにくそのカードは使えませんi"、とつれない返事...
"T"ではなくて"D"なんだとか...人生は僅かの点々の有る無しで左右されてしまうのか...
それにしても、喜んだのもつかの間の落ち込みよう...彼は"何を考えているのか分からないような"見かけによらず、こういう感情のアップダウンを実に分かりやすく表す人間なのだ。
そおして、ついに彼は天を仰いだi
もはや、"なるようになれ"って心境に達したか?...それとも本当にヤツは、彼にしては切実だけど、こんな些細なことで神に祈っているのだろうか?
本当に悦に入ったように見えるではないかi...こういうところでも"じんじん"と来ちゃうものなのだろうか?
しばらくして、おもむろにポケットの中から一枚の紙切れを取り出したi...あれはクーポン券か割安チケットが付いているのだろう..."セコッi"
今度は、チョイとキレカワなウエイトレスと交渉してる...想像した通り上手く行ったようだ...
そして、さっきまでのものがウソのように、幸せ一杯の表情に変わって、レジに向かい、応対したそのウエイトレスとすごーく照れながら楽しそうに談笑して、店を後にして行った ...。
こうして彼は"カミ"に救われたのだった...。
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