私はある所で瞑想を教えている者である。何のために瞑想をするのかというと、言うまでもなく幸福を手に入れるためであり、それには思い、この思考というものを放たなければならない。
で、そのためには意識を集中して、その諸々の思いから離れるということをする。
で、そのためには(イチイチ"そのためには"...を繰り返さなければならないのだi)呼吸に集中する、目の前に花瓶とかを置いてそれを見ることに、マントラというか、ある言葉を繰り返してそれを聞くことに集中するとかやる訳なのだが...
こないだ、フラッとヘンな人がやって来て、瞑想を教わりたいと言うので今のこと(それ以外にも色々あるんですが)に取り組んでもらったのだが、何をやっても「出来ませんi」と言う。
そこで、「呼吸でも、花瓶でも自分に合ったものを選んでやったらいいんですよi」と言っても「僕には出来ません」を繰り返すばかり...
「あなたは緊張し過ぎなんじゃないですか? もっとリラックス、気楽にね...」
「別に緊張なんかしてません」
「どうして出来ないのかなあ...」
「意識を何かに集中しようとすれば、するほど思いがテンデバラバラになって集中出来なくなりそうです。"ここに在るもの"がどっかへ行ってしまう感じです」
「君は何を言っているのかなあ?..."ここに在るもの"って今言ったよね。それを見つけるためにこういうことをやってるんじゃないか?」
「そう、今ここに感じられるから、ここに在るものと言ったのです」
「おかしなことを言うんだね、何もやってない、やっても出来ない君がどうしてそういうものを感じられると言うのだね?」
「分かりませんi」
「何故だ?」
「さあ?...多分、それは私の思いとか私がやること、出来ることを超えているからだと思います」...(それを聞いて私は絶句するしかなかったi)
「君は本気なのか? 私をからかっているのか、からかいに来たというのかi」
「い、いや本気もウソん気も、ただ感じてるままを言っているだけです」
「...おそらく、君は天才かキ印か、最近スピ界隈でよく聞く"私は居ない"という人か、瞑想修行というものをおちょくっている人かどっちかだろう...」
「私がどういう人間だろうと、このことは私という一コの人間からは来ませんi」...(絶句)
「君はどうみても、一寸風采が上がらなそうなフツーの人間にしか見えないが...おそらく君の師匠、マスターというのは只者ではないな...一体、それは誰なんだね、教えてくれないか?」
「無理ですi 教えられませんi」
「そ、そうか、分かったぞ、君は何かの秘密結社のメンバーなのだな?」
「ち、違いますよi...マスターらしいものは多分居ますよi...それはあの御方だろう...」
「そ、そうだよ、その御方のことだよ、私が訊きたいのは...」
「無理ですi」
「何故だ?」
「私は一度もお目にかかったことありませんから...しかし、毎日、日夜ずっと接してる、交わっている感じです」...(絶句...彼の話しぶりから、彼がけっして私をおちょくっているのでないことだけは分かった)
「で、君、今もその"ここに在るもの"とか、その"御方"を感じているのかい?」
「ええ、今は何かに意識を集中してないし...」(これは、皮肉じゃないかi...ムッとなった...)
「どうやって感じるのか?」
「どうやって、って?...そういう話をしているうちに...」...(絶句...これは、無っとなる話だ)
「私はさっきも説明したように、何度も"そのためには"を繰り返し、瞑想修行に励んで来たのだが、何のためにだか分からなくなってきたよ」
「いやあ、私の方こそ、何のためにここへ来たのか分からないのですから」"パチンi"
「そ、そうだよ、それが訊きたいよi 何もしなくても、何も出来なくてもいい君が...」
「多分、通りがかった時に、表の看板に"どなたでも自由に瞑想出来ます"とあったのにつられたんだと思います」
「そ、そうだよなあ、自由ってのがいいよ、それだけで幸福になれるような気がする...」
と、言っている間に、いつの間にかどっからか降りて来たような、例えようの無い幸福感に包まれてしまったのだった...もう、考えることも、何かをやろうという気も起きてこない...そして、彼の言葉を最後に聞いたのは確か「私たちは歩んでいる道は違うのだろうけど、求めているものは同じらしいですねえ?」というもので、私は只々頷いているばかりだったのだが...いつの間にか彼は居なくなってしまったのである。
何とかして、彼の謎の、見えないマスターに弟子入りしたいと思っていたのだが...もはや、言葉がない...。
私の人生であんなに絶句させられたことはなかった...。一体、ありゃ誰だったのだろう?...それとも見えない誰かを運んで来たのだろうか?
(終わり)
で、そのためには意識を集中して、その諸々の思いから離れるということをする。
で、そのためには(イチイチ"そのためには"...を繰り返さなければならないのだi)呼吸に集中する、目の前に花瓶とかを置いてそれを見ることに、マントラというか、ある言葉を繰り返してそれを聞くことに集中するとかやる訳なのだが...
こないだ、フラッとヘンな人がやって来て、瞑想を教わりたいと言うので今のこと(それ以外にも色々あるんですが)に取り組んでもらったのだが、何をやっても「出来ませんi」と言う。
そこで、「呼吸でも、花瓶でも自分に合ったものを選んでやったらいいんですよi」と言っても「僕には出来ません」を繰り返すばかり...
「あなたは緊張し過ぎなんじゃないですか? もっとリラックス、気楽にね...」
「別に緊張なんかしてません」
「どうして出来ないのかなあ...」
「意識を何かに集中しようとすれば、するほど思いがテンデバラバラになって集中出来なくなりそうです。"ここに在るもの"がどっかへ行ってしまう感じです」
「君は何を言っているのかなあ?..."ここに在るもの"って今言ったよね。それを見つけるためにこういうことをやってるんじゃないか?」
「そう、今ここに感じられるから、ここに在るものと言ったのです」
「おかしなことを言うんだね、何もやってない、やっても出来ない君がどうしてそういうものを感じられると言うのだね?」
「分かりませんi」
「何故だ?」
「さあ?...多分、それは私の思いとか私がやること、出来ることを超えているからだと思います」...(それを聞いて私は絶句するしかなかったi)
「君は本気なのか? 私をからかっているのか、からかいに来たというのかi」
「い、いや本気もウソん気も、ただ感じてるままを言っているだけです」
「...おそらく、君は天才かキ印か、最近スピ界隈でよく聞く"私は居ない"という人か、瞑想修行というものをおちょくっている人かどっちかだろう...」
「私がどういう人間だろうと、このことは私という一コの人間からは来ませんi」...(絶句)
「君はどうみても、一寸風采が上がらなそうなフツーの人間にしか見えないが...おそらく君の師匠、マスターというのは只者ではないな...一体、それは誰なんだね、教えてくれないか?」
「無理ですi 教えられませんi」
「そ、そうか、分かったぞ、君は何かの秘密結社のメンバーなのだな?」
「ち、違いますよi...マスターらしいものは多分居ますよi...それはあの御方だろう...」
「そ、そうだよ、その御方のことだよ、私が訊きたいのは...」
「無理ですi」
「何故だ?」
「私は一度もお目にかかったことありませんから...しかし、毎日、日夜ずっと接してる、交わっている感じです」...(絶句...彼の話しぶりから、彼がけっして私をおちょくっているのでないことだけは分かった)
「で、君、今もその"ここに在るもの"とか、その"御方"を感じているのかい?」
「ええ、今は何かに意識を集中してないし...」(これは、皮肉じゃないかi...ムッとなった...)
「どうやって感じるのか?」
「どうやって、って?...そういう話をしているうちに...」...(絶句...これは、無っとなる話だ)
「私はさっきも説明したように、何度も"そのためには"を繰り返し、瞑想修行に励んで来たのだが、何のためにだか分からなくなってきたよ」
「いやあ、私の方こそ、何のためにここへ来たのか分からないのですから」"パチンi"
「そ、そうだよ、それが訊きたいよi 何もしなくても、何も出来なくてもいい君が...」
「多分、通りがかった時に、表の看板に"どなたでも自由に瞑想出来ます"とあったのにつられたんだと思います」
「そ、そうだよなあ、自由ってのがいいよ、それだけで幸福になれるような気がする...」
と、言っている間に、いつの間にかどっからか降りて来たような、例えようの無い幸福感に包まれてしまったのだった...もう、考えることも、何かをやろうという気も起きてこない...そして、彼の言葉を最後に聞いたのは確か「私たちは歩んでいる道は違うのだろうけど、求めているものは同じらしいですねえ?」というもので、私は只々頷いているばかりだったのだが...いつの間にか彼は居なくなってしまったのである。
何とかして、彼の謎の、見えないマスターに弟子入りしたいと思っていたのだが...もはや、言葉がない...。
私の人生であんなに絶句させられたことはなかった...。一体、ありゃ誰だったのだろう?...それとも見えない誰かを運んで来たのだろうか?
(終わり)
思わず、( ̄▽ ̄)ニヤリッ
としちゃいました(笑)
でなければ、とても書けるストーリではありませんし、私の腹の奥底にストンと落ちる内容でした
因みに、まだニヤニヤしてます(笑)
でなければ、とても書けるストーリではありませんし、私の腹の奥底にストンと落ちる内容でした
因みに、まだニヤニヤしてます(笑)