人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
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ザ・グレーテスト堕つ!

2016-06-05 12:50:03 | 回想
ザ・ゲレーテスト(もっとも偉大な男)墜つ!
モハメド・アリ死去!…また一つの時代が終わったようです。
カシアス・クレイ(アリの本名)って誰だか分からない人も多くなったと思いますが、私にはクレイ時代の方が印象に残っています。
彼が世界中の注目を浴びる事になった、ソニー・リストンからヘビー級世界王座を奪った64年春の試合もリアルタイムで観ています。
この熊男(アリの命名)リストン、囚人上がりで見るからにゴツイ。前王者パターソンを一回でリングに葬った前年の戦慄の試合も観てますが、誰もあの生意気な若造のホラなど、最近のアセンション予言程度にしか思ってなかったことでしょう。
私は最初から観ていた訳じゃなかったですが、テレビ画面から映されているアリの試合ぶりが何とも奇妙に感じたものです。”ピョン、ピョンとリングを所せましと一体何をしているのだろう? 逃げてばかりじゃないか?”まるで馬が熊の攻撃を面白いようにあしらっているような図なのでした。そして中盤、この馬が一瞬、信じられないようなスピードで連打を打ち込んだら、次の回熊は立つことが出来なかったのでした。(6R終了TKO勝ち)
試合が終わるとマイクを強奪して「アイ・アム・ザ・ゲレーテスト!」を連呼し、周囲に向かって「俺が負けると言ったヤツは誰だ!」ともう手が付けられない興奮状態です。当時はプロレスラーでもこんなパフォーマンスは見せないものでした。レスラーの場合は勿論演出ですが、アリは多分演出もあったでしょうがマジでイってた(少なくともこの時は)と思います。
60年代は、ボクシングのスタイルも変化し出した時で、従来は強打者といったら、リストンのように剛腕に任せて相手をねじ伏せるのが主流で、技巧派はスピード、防御に長けているが非力というのが一般的でした。なおかつヘビー級にはそんな技巧派などほとんど輩出していなかったのです。
アリの出現は何もかもが革命的でした。ヘビー級では考えられないようなスピード、フットワーク、速射砲のような連打…そのスタイルは通りいっぺんのボクサースタイルの技巧派とも違います。特にあの両手をダラーッと下げたノーガード…あれを一時的な戦術としてでなく、ずっと自分のスタイルとしてやり続けたボクサーはほとんどいません。マネしたボクサーは大抵こっぴどい目に遭ってます。
ただ彼はこれから絶頂を迎えようかという67年、兵役拒否した理由により王座をはく奪され、3年半リングを離れる事になります。
その間ヘビー級で君臨していたのは最大の宿敵ジョー・フレイジャーでした。
70年秋、アリは預けていた王座に返り咲くべくカムバックします。翌年春ついに両雄が激突。
世紀の一戦と謳われた試合は数多くあれど、”これぞ!”と言えるのは、この一戦に尽きるのではないでしょうか?
両者の高いKO率、何といっても無敗同士ときてます。これで盛り上がらぬはずはない…
しかし、学校から帰って早速観ようとワクワクしたものでしたが、興味はいささか半減しました。
担任のバカ先生が結果をバラしたからです…。でも私は実際にこの目で観るまでは信じなかったものです。
それにしてもアリの初黒星(ダウンを奪われて判定負け)はショックでした…
”偶像堕つ”と感じた人も少なくなかったでしょう。
私はいつの間にかアリのファンになっていたのですね。その後のノンタイトル戦もテレビ放映された試合は欠かさず観ていたものですが、あの試合からファンでは無くなってしまいました。
それが多くの人が感動の名勝負に挙げている、74年秋の”キンシャサの奇跡”ジョージ・フォアマンとの王座奪取劇です。
フォアマンこそは、あのリストンをもしのぐ、史上最強の剛腕ボクサーであることに異論無い人も多いことでしょう。アリのライヴァル、フレイジャーもノートンも歯が立たなかった…当然下馬評は圧倒的不利…ただ私は”蝶のように舞い、蜂のように刺す”本来のアリ・スタイルなら勝機あり、と観てたのですが…この試合何とも不可解に感じざるを得ません。
フォアマンの動きがおかしい…序盤でもうクタクタになっている…ロープ・ア・ドープ(ロープにもたれてカバーしながら相手の打ち疲れを誘う作戦)?…そんな作戦通用する相手じゃないです。ンなもん、ブロックごと吹っ飛ばされちゃいますよ(この試合以外、アリはこの戦法をあまり使ってない、後のR・ライル戦には見せたが通用しなかった)!…
フォアマンはアリの集中打を浴びてKOされるまでも無く、フルラウンド戦えるコンディションでは無かったように感じられました。
さもあろうか、試合後フォアマンが”一服盛られた…”と言って物議を醸した事が有りました。
それもさして綿密に検証されることなく、いつの間にか封印されてしまったようです。
これは私が観た最も疑惑の残る試合の一つです。
この試合以降私にはアリが”ザ・グレーテスト”とは思えなくなってしまったのでした。
猪木戦?…知られざるゴリラ・モンスーン(馬場のライヴァル、友人)との番外戦の方がずっと面白いです。(動画あり)
ただ、勿論ボクシングの常識を変えた偉大なボクサーであることには変わりありません…。


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