スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

大井記念&精神との関係

2008-05-16 20:53:27 | 地方競馬
 2600メートルというやや変則的な距離で争われる大井記念。今年は一昨日の晩でした。
 マズルブラストは出遅れ。先手を奪ったのはトップサバトン。2番手にコーワキング。最初の向正面ではシーサーハーンがこれに続いていましたが,徐々に下げ,ウエノマルクン,チェレブラーレといったあたりが上がってきました。最初の1000メートルは63秒0。トップサバトンはかなり行きたがっているように見えましたが,平均ペースに落ち着きました。
 かなり後ろからのレースとなったコウエイノホシが向正面で一気に進出。これにルースリンドが対応し,逃げたトップサバトンと3頭で後ろを離しました。追ってくるのはチェレブラーレで直線へ。
 馬場の中ほどへ出てきたトップサバトンを外からコウエイノホシが交わすと内からルースリンド。しかしコウエイノホシが凌いで優勝。ルースリンドは2着で,トップサバトンは最後はチェレブラーレに詰め寄られましたが3着を確保。人気上位馬による順当な結果となりました。
 優勝したコウエイノホシはJRA4勝で川崎に転入。転入初戦となった前走で大きな差をつけて勝ち,ここに臨んでいました。もちろん南関東重賞は初制覇。距離は長い方がいいようで,JRAではなかなか思うようにレースに使えないため,このレースを目標に転入したとのことで,この判断が大成功でした。2着のルースリンドは重賞でも勝ち負けできるレベルの馬。ここは斤量面でアドバンテージがありましたが,少なくとも長距離ではこの馬もそうしたレベルにあると考えてよさそうです。鞍上は大井の坂井英光騎手で昨年のロジータ記念以来の南関東重賞制覇。長谷川三郎調教師ともども大井記念は初優勝となりました。

 明日から競輪は宇都宮記念です。北日本がかなり手薄になりましたので,関東勢に小嶋選手が立ち向かうという図式になりそうです。

 それ以上は分割できないような個体が実在するのではないかということは,スピノザの哲学では,精神というものとの関係からも類推できることであると僕は考えています,ただ,スピノザの哲学でいうところの精神というのは,僕たちが普通に使っている精神ということばとはやや意味合いが異なるところがありますから,まずそれを簡単におさらいしておきます。
 第二部定理七系が示していることは,形相的に,すなわち知性の外に実在するどんなものにも,その十全な観念が神のうちにあるということです。このとき,スピノザの哲学を特徴付けるひとつの考え方である平行論によれば,Xが形相的にあるとき,このXとXの観念は同一個体であり,合一しているということになります。そしてこの両者が合一しているということを思惟の属性の側から,すなわちXの観念の側からいうなら,これがXの精神であるということになります。また僕は,この合一を逆に形相的なものの側からいう場合,これをXの身体とみなします。そこで形相的にあるどんなものも精神を有するということになります。これは第二部定理一三備考の一文に著されている通りであり,またそれは,その文章のままに忠実に理解しなければならないというのが,僕がこの一文をテーマに設定したときに考察した結論でした。そこでこの結論は,ここで精神について考察する場合にも有効であるものとします。
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東京プリンセス賞&最も単純な個物

2008-05-15 21:50:18 | 地方競馬
 南関東牝馬クラシックの2冠目にあたる東京プリンセス賞
 先行争いの激化が予想されたレースでしたが,隊列が決まるのはわりと早く,フィリアレギスの逃げ。ブルーザミントが2番手で,3番手の外にトミノプラネット,その内にニジノムコウ。最初の800メートルは50秒3。しかしこれでもレベル的にペースは速かったようです。
 前半はしんがりを追走していたブライズメイトが向正面で一気に進出。前の4頭でこの動きに対応できたのはトミノプラネットだけで,フィリアレギスは4コーナーを前に早々と失速。トミノプラネットが先頭,先行4頭の後ろにいたミッシェルラブが2番手,ブライズメイトが3番手で直線へ。
 トミノプラネットも粘りましたがブライズメイトが直線半ばで抜け出し,外からインカローズ,内からハタノギャランの追込み。伸び脚が鋭かったのはハタノギャランの方で,トミノプラネットを交わし,ブライズメイトにも迫りましたが届かず。優勝はブライズメイト。2着にハタノギャランで3着はトミノプラネット。
 優勝したブライズメイトは北海道デビューで2勝。南関東ではこれが初勝利ですので南関東重賞は初制覇。控えて末脚を生かすタイプの馬ですので,大井コースが最もよいようです。今日は船橋の山田信大騎手の思い切った騎乗も印象的。山田騎手は昨年の東京湾カップ以来の南関東重賞制覇。船橋の山浦武調教師ともども,東京プリンセス賞は初優勝です。

 きわめて複雑な個物があるのであれば最も単純な個物もあるのではないかと類推することはごく自然なことだと思います。そして物体とは,第二部定義一にあるように延長の属性の個物にほかなりません。よって,最も単純な個物があると類推することは,最も単純な物体があると類推することにほかなりません。またスピノザ自身が,第二部自然学②補助定理七の備考において,岩波文庫版の116ページの1行目に「最も単純な諸物体からのみ組織されている個体」という表現をしています。これは最も単純であるいくつかの物体が合成することによって成立している物体,というように理解できると思いますから,やはりこうしたことから考えても,スピノザが,少なくとも最も単純な物体が実在を認めていると結論してもいいのではないかと思います。
 そこで問題となってくるのは,最も単純な個物,あるいはこの場合に限っていうなら最も単純な物体というものは,それ以上分割することができるようなあるものであるのかどうかということです。もしもそれがそれ以上は分割することができないような物体なら,これはアトムが実在するということを証明するように思われるからです。
 正直なところ,この部分をどう結論するべきか僕には分かりません。ただ,もしもあるものがそれよりさらに分割され得るなら,分割されたものは分割されるものよりさらに単純である筈だから,最も単純な物体が分割されるというのは不条理であり,よって最も単純な物体はそれ以上は分割できないであろうということは,論理的には結論できるようには思えます。
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マイナビ女子オープン&第二部定義七

2008-05-14 20:39:35 | 将棋
 マイナビ女子オープン決勝五番勝負第四局。
 先手は矢内理絵子女流名人。甲斐智美女流二段の作戦はごきげん中飛車。先手は③Bを選択。これは第二局と同じ。そのときは勝った後手の方から手を変えて,相銀冠へ。5筋で銀交換になった後,第1図で先手は☗6六銀と打ち,6筋に厚みを作りました。
           
 この後,後手は4二の金を繰り出して6筋の勢力を奪還しにいったのですが,第2図の☗7七桂まで進んでみるとこれは失敗。ここで先手が優位に立ちました。
           
 ここから先手が確実に優位を拡大して第3図へ。
           
 ここで☖6一歩と打ってしまったので☗7三金が生じてしまい後手の投了。最後はややあっけない幕切れ。狙いはないものの☖3六歩とでも打てば,もう少し手数は伸びたでしょう。ただ☗6五桂がありますので,大勢には関係なさそうです。
 これで3勝1敗。この棋戦は今期からタイトル戦になりましたので,矢内理絵子女流名人は二冠に。女流名人と共に,女王の称号を名乗ることになります。シリーズを通してみますと,第二局も敗れたとはいえ最後はかなり追い込んでいて,まだこの両者は少しだけ差があるのかなという印象です。

 明日は大井で東京プリンセス賞。混戦模様でフィリアレギス◎,インカローズ○,リモーネフレイバー▲の3頭を上位にみます,後ガッツマンテン△とブルーザミント△。

 アトムすなわちそれ以上は分割することができない物体corpusが実在するのかどうかということを,『エチカ』との関連で考えるとき,僕が注目してみたいと思うのは,意外に思われるかもしれませんが,個物res singularisを定義した第二部定義七なのです。
 「個物とは有限で定まった存在を有する物のことと解する。(Per res singulares intelligo res, quae finitae sunt, et determinatam habent existentiam)もし多数の個体〈あるいは個物〉がすべて同時に一結果の原因であるようなふうに一つの活動において協同するならば,私はその限りにおいてそのすべてを一つの個物とみなす」。
 この定義Definitioのうち,最初の一文は現在の考察との関連ではまったく関係ありません。僕が注目したいのはその後の部分です。ここから理解できることは,スピノザが個物というものを,部分から成立する全体であるとも考えていることです。そして実際に,僕たちが知覚するpercipereような個物というものはまずそうしたものであると思われますから,この定義自体はその通りなのであって,まったく問題がないものと考えられるでしょう。とくに人間の身体humanum corpusというのは,きわめて多くの個物が合成することによって成立している,きわめて複雑な個物であって,このことはスピノザ自身が第二部自然学②要請一,岩波文庫版117ページの冒頭で示している通りです。
 しかし一方で,このようにきわめて複雑な個物というのが考えられるならば,同時に,逆にきわめて単純な個物,あるいは最も単純な個物というのも考えることができるのではないでしょうか。
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棋聖戦&証明

2008-05-13 20:30:21 | 将棋
 棋聖戦の挑戦者決定戦。トーナメントですので振駒で,先手は羽生善治二冠。久保利明八段ごきげん中飛車。先手は③CⅠの超急戦。久保八段にとっては羽生二冠には王将戦で,棋聖戦では昨年の挑戦者決定戦で,共に敗れている,縁起としてはあまりよくない戦型に。
 驚いたことにこの将棋は41手目まで,昨年の挑戦者決定戦と同じに進みました。
           
 昨年はここで自玉の詰みをうっかりした久保八段ですが今日は△6四桂と受けに回りました。渡辺竜王によれば昨年の感想戦で出た変化とのことで,そのときは難しいと結論されたようです。先手は▲5五桂と打ち,△同飛。以下,攻め合って第2図。
          
 ここで後手は△5六香。先手は放置して攻め第3図へ。
           
 しかしここではもう後手に思わしい手がないようです。してみると第2図の局面でもっとうまい手がないと,この形はどうも後手が苦しいのではないでしょうか。実戦は第3図以下,寄せきって先手の勝ち。ということで羽生二冠が佐藤康光棋聖への挑戦権を獲得しました。
 羽生二冠は2005年にも挑戦しましたが,2勝3敗で奪取に失敗。今回はそのときの雪辱戦となります。

 明日はマイナビ女子オープン決勝五番勝負第四局。矢内理絵子女流名人が勝ちますと,初代女王に就位するということになります。

 また大井では大井記念。ここはルースリンド◎が中心になりますが,チェレブラーレ○とコウエイノホシ▲にも注目。あとはトップサバトン△とレッドドラゴン△。

 アトムが実在しないということの証明は実は公理に由来することになっています。これは『デカルトの哲学原理』第二部公理九で,そこではすべての延長は少なくとも思惟によって分割され得るということになっています。僕はこれがそれ自体で公理として成立するのかどうか疑問ですが,デカルトの哲学について考察することは現在の目的ではありませんから,これは成立しているということにしましょう。
 次に定義七では,思惟によって分割され得るいかなるものも可分的であるといわれています。よってこれらを合わせますと,延長に属するいかなるものも可分的であるということになるでしょう。ところでアトムとは,不可分的であるような物質,すなわちスピノザ哲学でいえば延長の有限様態すなわち個物を意味しますから,アトムが実在しないということもここから出てきます。そしてスピノザがゼノンに反論するために抽出している原理も,この点に求められているのです。
 デカルトの哲学は,スピノザの哲学に比べれば,思惟属性の延長属性に対する優位性というのが顕著に表れています。思惟によって分割し得るものが可分的であるということ自体は,スピノザの哲学からも認められないというわけではないと思いますが,もう少しこれをスピノザの哲学に照らして考える必要はあると思います。
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ピーターパンステークス&アトム

2008-05-12 21:59:25 | 海外競馬
 アメリカ遠征中のカジノドライヴ,そして帯同馬のスパークキャンドルが出走したピーターパンステークスGⅡ(動画)は現地時間10日,日本時間の11日早朝に行われました。
 先手を奪ったのはMint Lane。帯同馬のスパークキャンドルが2番手。カジノドライヴは出遅れ,最初は最後尾でしたが,1番枠からそのままインを上がっていき,長い向正面では3番手のインまで上昇。レースは最初の800メートルが46秒31。最近のアメリカのレースの傾向は分かりませんが,勝ち時計との比較ではハイペースではあると思います。
 3コーナー過ぎからGolden Spikesが上昇し4番手。スパークキャンドルが後退し始め,3番手に上がると,Mint LaneとGolden Spikesの間を割って直線へ。ここから追い出されるとあとは後ろを離す一方。最終的には6馬身弱の差をつけるという実に衝撃的なカジノドライヴの優勝でした。スパークキャンドルは6着。
 展望では「無謀な挑戦」という表現すら用いましたが,実際にはこの馬はこれだけのレベルにある馬で,単に自身の能力に見合ったレースを選択したということ。僕は完全にこの馬の力を見誤っていたのであって,あのような表現は陣営や関係者,何より馬に対して失礼でした。この点についてはお詫びしておきます。
 レースが少頭数であったこと,スパークキャンドルでも2番手にいかれるようなペースであったことなど,恵まれた面があったことも確かです。ただベルモント競馬場はアメリカでは例外的に大きな競馬場であり,最初から早いペースにならない傾向はあると思われ,この前哨戦を選択した陣営の判断も素晴らしかったといえるかもしれません。
 管理する藤沢和雄調教師の海外重賞制覇,日本馬によるアメリカ重賞制覇は一昨年のキャッシュコールマイル以来。日本馬の海外重賞制覇は昨年のシンガポール航空国際カップ以来。日本馬の海外ダート重賞制覇は一昨年のゴドルフィンマイル以来。日本馬がアメリカのダート重賞を制したのはこれが初めて。それをキャリア1戦の3歳馬が達成したのですから歴史的快挙といえるでしょう。鞍上は藤沢調教師とも親交深いアメリカのケント・デザーモ騎手でした。
 最大目標のベルモントステークスは現地時間7日。場所は同じベルモント競馬場。距離は600メートルほど伸びますが,姉と兄が勝っていますから血統面での不安は少ないでしょう。問題は相手関係で,本当のトップクラスは先週のケンタッキーダービーに出走している筈で,またレベルはぐんと上がることになります。しかし,期待をもって迎えられるのは間違いないところ。とにかく無事にいってほしいです。

 明日は棋聖戦の挑戦者決定戦。本戦トーナメントを勝ち上がってきたのは羽生善治二冠と久保利明八段。対戦成績は羽生二冠が25勝,久保八段が8勝です。

 ゼノンZeno Eleatesがいっている今というのは瞬間,すなわち最小時間でなければならず。またそのような最小時間が実在するためには,それ以上は分割することができない場所あるいは空間というのが実在しなければなりません。そこでもしもそれ以上は分割することができないような空間というのが実在しないならば,瞬間もまた実在し得ず,ゼノンの逆説,少なくとも第三の逆説は崩壊することになります。ゼノンに対するスピノザの最初の反論は,この論理構成に従っています。すなわちスピノザは,それ以上は分割することができない空間なるものは実在しないと考えているのです。そこでこのスピノザの主張を詳しく検討してみることにしましょう。
 しかしこのことは『エチカ』では触れられていません。そこでまず,『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』においてこのことがどのように証明されているかを検証し,それが『エチカ』に代表されるようなスピノザの哲学と齟齬を来さないかどうかを探求するという順序を経ることにします。
 このときに重要となってくるのがアトムという概念notioです。これは『デカルトの哲学原理』の第二部定義三で定義されている概念で,そこでは「アトムとはその本性上不可分的な物質部分である」といわれています。不可分的であるとは分割できないという意味に理解していいでしょう。したがって,アトムが実在し得るかどうかということが,当座の問題となってくるわけです。
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NHKマイルカップ&時間と場所

2008-05-11 19:20:06 | 中央競馬
 3歳マイル王者決定戦の第13回NHKマイルカップ
 押していったゴスホークケンが先手を奪い正攻法の逃げ。ダンツキッスイ,エイムアットビップ,レッツゴーキリシマ,セッカチセージまでが先団を形成。前半の800メートルは46秒7のミドルペース。ただわりにばらけた展開になりました。
 馬場状態もあり直線は外へ進路を取る馬が多く,逃げたゴスホークケンも馬場中央へ。そのすぐ内に忍び寄ってきたのがブラックシェルで,この馬がまず抜け出しました。さらにこの内に馬体を併せてきたのがディープスカイで,しばらく叩き合いましたが,最後はディープスカイが抜け出して優勝。ブラックシェルが2着で,3着はさらに内から追い込んできたダノンゴーゴー。4着以下は離されてしまいました。
 優勝したディープスカイは前走の毎日杯で重賞初制覇。皐月賞はスキップしてここに照準を合わせていました。3勝目で大レース初制覇。父はアグネスタキオン。鞍上の四位洋文騎手は昨秋の菊花賞以来,管理する昆貢調教師は昨年暮れの全日本2歳優駿以来の大レース制覇で,ともにNHKマイルカップは初制覇となります。
 ペースとはあまり関係なく,ある程度後方に控えて内を回ってきた馬が上位を占め,ほかは離されましたので,馬場の巧拙が多分に結果に影響を与えたかもしれません。

 ピーターパンステークスはカジノドライヴが圧勝しました。現時点では登録しないとレース映像が見られない状況なので詳細は明日。

 『デカルトの哲学原理』においてスピノザが瞬間,すなわち最小時間なるものはないと考えるときにも,スピノザはそうした最小時間を物体の運動,より厳密にいうならば物体の場所的運動と関連させて示しています。したがって時間の実在性に関する考え方は,すでにこの時点でスピノザ自身のうちにあったと考えられます。実際,岩波文庫版のこの『デカルトの哲学原理』に附されている『形而上学的思想』の第一部第四章では,スピノザは時間なるものが思惟の様態であるということ,そしてそれが観念とは異なる思惟の様態,すなわち理性の有であるということを示しています。この『形而上学的思想』は,スコラ哲学における概念をデカルトの哲学の立場からスピノザが説明を与えたものですし,また『デカルトの哲学原理』においてもこのようにいわれていることを考えれば,これは単にスピノザの哲学にのみ妥当なことではなく,デカルトの哲学にも共通であるといえるでしょう。
           
 さて,スピノザが該当部分で示していることは,要するに,もしも最小時間,すなわちそれ以上は分割することができない時間が実在するためには,同時にそれ以上は分割することができない場所,あるいは空間がなければならないということだと僕は解釈します。実際,ある空間がどんなに小さなものであったとしてもある幅を有するなら,この幅の中を物体は運動することが可能であって,物体が運動する限り知性は時間を,幅のある時間を表象し得るでしょうから,この点に関してはスピノザのゼノンに対する指摘は正当なものではないかと思います。
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グローバルタッグリーグ最終戦①&時間の実在性

2008-05-10 18:55:26 | NOAH
 NOAHのグローバルタッグリーグ戦'08は4月27日の日本武道館大会が最終戦でした。この日の公式戦は3試合。いずれも優勝争いに関係する試合となりました。
 得点の関係で最初に行われたのは森嶋・ヨネ組と丸藤・杉浦組。森嶋組はここまで8点。勝てばこの後の結果如何では優勝決定戦に進出する望みが持てる状況。一方,チャンピオンチームの丸藤組は広島大会で秋山組に敗れた後,25日のRO&Dとの試合にも負けてしまいここまで7点。論理的に優勝の可能性は残すものの,ほぼ絶望的な状況でした。
 試合は森嶋組のペースで進展。パワーで圧倒し,森嶋選手が杉浦選手にパワーボム,ラリアット,バックドロップと繋いだあたりは大チャンス。しかしここで丸藤選手がカットに入ると状況が一変。杉浦選手が森嶋選手の再度のラリアットを交わすと,ジャーマン。さらにもう一発ジャーマンで投げた後,ジャンピングニーパットからドラゴンスープレックス。さらにオリンピック予選スラムの連発で森嶋選手をフォール。最後の最後で王者組が意地を見せる格好になりました,これで森嶋組は完全に脱落。丸藤組はほんのわずかな可能性を残しました。
 タッグマッチとはいえ,現GHCヘビーの王者である森嶋選手から完璧なフォールを奪った杉浦選手は金星といえます。この結果,次のシリーズで森嶋選手に挑戦することが決定しました。

 明日はNHKマイルカップです。まったく自信ありませんがサダムイダテン◎とドリームシグナル○に期待。ファリダット▲,サトノプログレス△,エイムアットビップ△,ディープスカイ△,ゴスホークケン△。

 また日本時間で明朝,ピーターパンステークスが行われます。カジノドライヴのほかに帯同馬の1頭,スパークキャンドルも出走することになりました。

 これで瞬間という最小時間があるなら第三の逆説が成立するということ,また最小時間があると考えなければ第三の逆説は成立し得ないということが明らかになりました。したがってスピノザが主張するように,そうした最小時間が存在しないとすれば,少なくとも第三の逆説は成立しないということになります。そこで今度はそのスピノザの主張の妥当性を検討してみることにします。
 しかしその前に,ひとつ注意しておかなければならないことがあります。これはとくに最小時間というものだけに限らず。一般的に時間というものに関しては,それが形相的な意味で実在する,すなわち知性の外に実在するということについては,スピノザはこれを認めません。『エチカ』で訴えるならこのことは第二部定理四四の備考で示されていて,そこではスピノザは時間というものを,ある物体の運動がほかの物体の運動に比べて速やかだったり緩やかだったりあるいは等しかったりする概念を人間が有することによって生じる表象であると規定しています。いい換えれば,第二部自然学①公理二が,時間なるものが表象される規準となるのです。したがって,時間というのが表象の有,ないしは理性の有といわれるような思惟の様態であり,しかも観念は必ずその対象を形相的に有しますから,観念とも異なるような思惟の様態であるということは,スピノザの哲学における大前提となります。
 そこで僕はこれから,あくまでも便宜的に最小時間なるものが実在するかどうかといういい方でこれについて考えていきますが,これは表象の有として実在し得るかどうかという意味であって,形相的に実在するかどうかを探求するわけではないということをお断りしておきます。
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平塚記念&幅

2008-05-09 19:57:07 | 競輪
 すべての記念競輪が毎年同じ時期に行われるというわけではないですが,平塚記念はゴールデンウィーク中の開催が定着しています。今年は4日が決勝(動画)でした。
 Sは伏見選手で山崎選手の前受け。中団は中川選手で後方から武田選手で周回。
 定跡通りに武田選手から上昇していきましたが,中川選手が合わせる構えをみせると再び引いて7番手。残り2周のホームから中川選手が上昇し,バックで山崎選手を叩き,ラインで出きったところでスローに落としました。打鐘から武田選手が巻き返していきそのままかまし先行。やや踏み遅れた感のある中川選手が離れた4番手で,さらに遅れた感のある山崎選手はまた離れた7番手。中団の中川選手は動けず,バックから山崎選手の捲り。ただ,直線に入るまで前には届きませんでしたので,番手から手島選手。普通は手島選手に絶好の展開なのですが,直線では山崎選手がようやく届いて優勝。マークの伏見選手も2着まで届き,手島選手は3着まで。
 優勝した福島の山崎芳仁選手は先月の川崎記念に続く記念競輪優勝。普通に考えれば絶望的と思える位置から巻き返してのもので,強かったとしかいいようがありません。マークして2着まで届いた伏見選手もさすがであったと思います。

 今度は逆の場合について考えてみましょう。すなわち,ゼノンが示そうとしている今という瞬間が,スピノザが指摘するように最小時間ではなく,さらに分割することができるような時間であると仮定するのです。するとこの瞬間は,ある時間の幅を有することになります。これはこの瞬間の全体をXと仮定し,XがAとBに分割可能であると考えれば,少なくともXはAという時間にBという時間を加えただけの幅を有するということから明らかだと思います。
 そこでこの場合,Xという瞬間に矢はこの瞬間にある位置にあるということができますが,このあるということの意味は,明らかに矢が静止しているということを意味することができなくなります。それどころかむしろ矢は,分割されるAからBへと運動しているということになるでしょう。このことから,ゼノンがいっている今というのが,どんなに小さいものであったとしても,分割できるような幅を有するような時間であったとすれば,ゼノン自身はむしろ矛盾していることを主張しているということになります。第三の逆説の論理構成に照らし合わせていうならば,第二のものと第三のものが正しいからといって,それ自体で公理に属すると考えられるような第四のものは,必ずしも正しくないということになってしまうからです。
 よって,第二のものにおける今というのが,それ以上の幅をもたないような時間,すなわち最小時間でなければならないということは明らかです。したがって,スピノザがゼノンのいう今というのを,最小時間と考えることは,妥当であると考えていいと思います。
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武雄記念&瞬間

2008-05-08 21:03:25 | 競輪
 ゴールデンウィーク中はいろいろあって遅くなってしまいましたが,4月29日に決勝(動画)が争われた玉野記念を回顧します。想定の段階である程度は予想されましたが,地元の九州勢が大挙して乗ってきました。
 Sは荒井選手で北津留選手の前受け。坂本選手が5番手に入り,佐藤選手が8番手での周回。残り2周半から佐藤選手が上昇すると,坂本選手がこれに続きました。しかし北津留選手は引かず,打鐘前のバックから突っ張って早くも先行争い,これは北津留選手が突っ張りきってそのまま先行。残り1周のホームから坂本選手も発進。しかし荒井選手が十分に引き付けてバックから番手捲り。坂本選手がいけなかったので大塚選手が斬り込み,しかしさすがに九州の邪魔はできないので,これが自力捲りの形に。一旦は捲りきって先頭に出ましたが,荒井選手が続き,直線では再び抜き返して荒井選手の優勝。大塚選手が2着で,3着はゴール寸前で藤野選手を交わした原選手でした。
 優勝した佐賀の荒井崇博選手は,記念競輪の優勝は久しぶりで昨年1月の立川記念以来。純粋な地元となる武雄記念は初優勝。大塚選手に捲られたのは本人としてもびっくりだったのではないかと思うのですか,その後は冷静に対処しました。久しぶりとはいえ,決勝にはコンスタントに乗っているイメージですので,またすぐにチャンスがあるものと思います。

 まず最初に,スピノザがゼノンがいっているというのを,瞬間,すなわち最小時間と考えることの妥当性を吟味しなければなりません。これはたぶん,次のように考えるのがいいのではないかと思います。
 仮にこのような瞬間というのが存在するものとして,これを1秒という単位に固定してみます。そしてより分かりやすくするために,矢は1秒間に1メートル進むものと仮定してみましょう。
 すると矢は,飛び始めるときに0の位置にあり,1秒後には1メートル先に,2秒後は2メートル先に,3秒後は3メートル先に位置する,といった具合に進み,いずれ止まるでしょう。そしてこの矢は確かにそれぞれの位置で静止しているということになり,ゼノンの主張していること,すなわち飛んでいる矢は止まっているということに合致するということになります。
 ここで重要なのは,この1秒というのが,任意に仮定された時間であるということです。僕たちは実際には0秒と1秒との間にはまだ指定できるような時間があるということを知っていますから,矢の運動というのをこのように規定することには違和感を感じます。しかしこの論理は,瞬間というのを仮定さえすれば,それが何秒であろうと,つまりそれをさらにどんなに細かく考えようとも同様に成立しますし,その際に矢が飛ぶ速度とは何の関係もありません。
 したがって,少なくとも,今という瞬間が実在すると仮定する限りでは,第三の逆説が成立しているということだけは,これで証明されたことになると思います。
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東京湾カップ&今

2008-05-07 19:34:03 | 地方競馬
 1着馬には来月4日の東京ダービーへの優先出走権が与えられる今日の第22回東京湾カップ
 好発はギャンブルオンミーもモエレラッキーがハナを主張しこちらの逃げ。ギャンブルオンミーは2番手で,3番手は内にジャイアンツゲット,外にノースダンデー。最初の900メートルは54秒9で,ペースだけでいうならばハイペースでしょうが,隊列が決まるのは早かったので,前の馬にはわりと楽な展開に。
 直線に入るところでノースダンデーが外から上がり,モエレラッキー,ギャンブルオンミーの3頭は並ぶような形に。直線に入るとギャンブルオンミーがモエレラッキーを捕えて先頭に。ノースダンデーは後退し,変わってギャンブルオンミーの外まで持ち出したのがジャイアンツゲット。結局抜け出したギャンブルオンミーが優勝。ゴール前でジャイアンツゲットがモエレラッキーを交わして2着。モエレラッキーは3着。
 優勝したギャンブルオンミーは昨年12月の白鳥特別以来となる勝利でこれが3勝目。南関東重賞は初制覇。ここ2回と比べると,今日は前でレースを進められたのがよかったのではないかと思います。騎乗したのはJRAの内田博幸騎手で,南関東重賞は2月の金盃以来の優勝。当時は大井所属でしたので移籍後は初制覇。内田騎手,船橋の佐藤賢二調教師と,東京湾カップは初優勝です。
 2着のジャイアンツゲットは上がり馬。ここでこのくらい走れれば,トップクラスを相手にしても入着級の評価はできそうです。

 『デカルトの哲学原理』におけるゼノンの逆説に対するスピノザの言及というのは,僕の解釈では,前半の部分が第四の逆説に,後半の部分が第三の逆説に関係しています。しかしここでは第四の逆説は扱いませんので,その部分は必要ありません。そこで第三の逆説に対するスピノザの反論というのをみてみます。
           
 これも僕の解釈だと,この反論は主にふたつの観点からなされています。そのうちのひとつが,ゼノンが物体は運動するとするなら今運動するのであるというとき,そのように考えられる今なるものは実在しないとする反論です。この点に関しては僕はスピノザ哲学との関係から少しいい換えたのですが,仮にそのようにいい換えたとしても,この反論は同様に成立していると思います。
 スピノザがいうには,ゼノンがこのように示している今というのは,最小時間に属します。最小時間というのは,もうそれ以上は細かく分割することができないような時間と考えればいいでしょう。僕たちが使うことばでいえば,瞬間というのがこれにあたるかもしれません。しかしスピノザの考えでは,そのような瞬間としての最小時間なるものはないのです。そこでこれからは,このスピノザの考え方の妥当性をもっと詳しく考察していくことにします。
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かきつばた記念&逆説の全体

2008-05-06 19:27:37 | 地方競馬
 公営競技には年に3回の稼ぎ時があり,年末年始,お盆,そしてゴールデンウィーク。連休最後の今日は名古屋でかきつばた記念(動画)が行われました。
 発走はキングスゾーンが最もよく,最初の直線では先頭に立ちましたが,内から押して出ていったコンゴウリキシオーがコーナーワークで先手を奪い返しこちらの逃げ。キングスゾーンは2番手で3番手にはアグネスジェダイ。前半の600メートルは36秒2で,ハイペースには違いないのかもしれませんが,それほど厳しいものにはなりませんでした。
 逃げたコンゴウリキシオーが3コーナーからさらに後続との差を広げにかかると,キングスゾーンとアグネスジェダイはついていけず,外からメイショウバトラーとリミットレスビッドが進出。しかし直線に入ったところではもう差が広がりすぎていた感があり,逃げ切ったコンゴウリキシオーが優勝。直線では大外のリミットレスビッドの方がよく伸び,こちらが2着で,メイショウバトラーは3着でした。
 優勝したコンゴウリキシオーは昨春のマイラーズカップ以来の勝利。それを含めて過去に芝の重賞を3勝していて,重賞は4勝目ですが,ダートの重賞は初勝利。マイラーズカップはレコード勝ちで,その次の安田記念でも僅差の2着になったほどの馬。昨秋以降は不振に陥っていた感がありますが,力を出せばこの勝利も当然とはいえます。逃げて,あまりペースを緩めずに後ろを引き離すというのが好走パターンで,今日はその通りのレースになりました。今後どういう路線に進むのかは分かりませんが,今日の勝利が復活のきっかけになればいいと思います。藤田伸二騎手,山内研二調教師のコンビはかきつばた記念初制覇。

 明日は船橋で東京湾カップ。もう1度オーラガイア◎に期待してみます。モエレラッキー○とヴァイタルシーズ▲。そしてブライトフェース△にギャンブルオンミー△。

 ゼノンが逆説の全体を通じて示したかったことは,一般的に物体なるものは運動をしないということでした。そこでまず,第一の逆説と第二の逆説で数列の稠密性という原理がいかに不条理な事柄を発生させるかを示し,しかる後に,第三の逆説の矢の運動から,運動なるものが静止状態の集積であるということを示したのだと考えられます。
 しかしスピノザの実在論,とりわけ第二部自然学①公理一に対するゼノンの批判というものを考える場合には,たぶんこの順序を逆にした方が理解しやすいでしょう。すなわちまず第三の逆説が物体の運動が静止状態の集積であるということを示し,この結果として,運動の非連続性を抽出します。そこでこの非連続性を解消するためにもしも数列の稠密性という原理を導入すれば,今度は第二の逆説で示される事柄を認めなければならなくなるわけです。
 したがって,もしもゼノンの原理の全体を認めるならば,全体の構図としては次のどちらかでなければならないことになります。つまり,物体の運動は静止状態の集積である,いい換えれば,物体は運動なるものをしないか,そうでなければ,アキレスは亀を追いかけても永遠に追いつくことができないということを認めるかです。
 したがって,実際の問題というのは,単に第二の逆説か第三の逆説についてのみ生じているのではなくて,むしろ第二の逆説と第三の逆説の両方にまたがるような原理,あるいは両方に共通するような原理のうちに生じているのです。そこでこの逆説に対する反論は,そうした観点からなされなければならないのです。
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かしわ記念&数列の稠密性の導入

2008-05-05 19:02:36 | 地方競馬
 フリオーソ,アジュディミツオーという船橋の大レース勝ち馬が回避し,やや小粒なメンバーでの争いになってしまった感もある第20回かしわ記念
 発走後,ワイルドワンダーが少し外によれましたがあまり問題なし。先手を奪ったのはケイアイフウジンでこれをケイエスゴーウェイが追い,外にシャドウゲイト。ブルーコンコルドはこの3頭の直後のインにつけました。前半の800メートルは48秒1でこれはミドルペース。
 3コーナー過ぎからシャドウゲイトが上がっていき先頭に。この外を捲り気味に進出したのがワイルドワンダーで,ブルーコンコルドはその内へ。直線に入ってシャドウゲイトは下がり2頭の叩き合いになりましたが,その外を伸びたボンネビルレコードが2頭を鮮やかに抜き去って優勝。2着は最後まで叩き合いましたが,ブルーコンコルドが確保,ワイルドワンダーは3着。
 優勝したボンネビルレコードは昨年の帝王賞以来の勝利で大レース2勝目。母系はダイナゴンの一族。能力はあるけれども安定しては走れないというタイプの馬で,今後も凡走することが多いと思われますが,どこかでまた大駆けすることもあるのではないでしょうか。昨年のこのレース4着,3月のダイオライト記念も2着で,船橋は意外と合っているのかもしれません。大井の的場文男騎手,堀井雅広調教師ともに帝王賞以来の大レース勝ちです。
 実力上位と思われた2頭が2・3着。差はないのですがこの距離だとどうしてもワイルドワンダーはブルーコンコルドに先着できません。

 明日は名古屋でかきつばた記念。これはメイショウバトラー◎が中心になります。アグネスジェダイ○とリミットレスビッド▲。そしてキングスゾーン△まで。

 このようにスピノザの哲学との関連で考えてみても,現実的に存在する物体が運動するならばそれは今といえるようなときに運動するということは,確かに十分に示すことができるように思われます。そして本当にそうであるとすれば,これは第三の逆説の論理構成が十分に成立しているということを示すでしょう。このことはすなわち,運動している物体は実際には運動している間はずっと静止しているということ,すなわち運動なるものが静止状態の集積であるということを意味するに十分であるといえます。
 僕の考えでは,この難点を解消するのが数列の稠密性という考え方なのだろうと思うのです。というのは,今というものは,たとえ数列が稠密であろうと指定できるかもしれません。しかしこの今の直後とか,逆に今の直前というのは,数列が稠密でない場合には指定できますが,数列が稠密でない場合には特定できなくなるからです。なぜなら,たとえば今をAとしてAの直後としてBを指定したとしても,数列が稠密である限り,AとBの間にはさらなる点があるということになりますから,BはAの直後ではないということになるからです。
 したがって,今という地点だけを抽出するなら,たとえその物体が静止しているとしても,物体が運動するその運動の連続性だけは何とか確保できることになります。いい換えればこれは,単に今だけを抽出するだけではその物体は静止しているとも運動しているともいえないということを示すともいえるのですが,単に今だけを考えるならば,やはり一般的に物体は運動なるものをしない,つまり運動は静止状態の集積であるということも意味していることになると思えるのです。
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天皇賞&スピノザ哲学との関係

2008-05-04 19:01:06 | 中央競馬
 3200メートルという古馬の大レースではやや異質な距離で争われる第137回天皇賞
 アドマイヤジュピタが出遅れ。好発を決めたのはホクトスルタンで,一旦は後ろを引き離しました。トウカイトリック,アサクサキングスと続きましたが,1周目の直線でアドマイヤメインが2番手に上がり,ホクトスルタンのリードもやや縮まって隊列が落ち着きました。最初の1000メートルは61秒1のスローペース。
 向正面の終りあたりからメイショウサムソンが外を上昇。出遅れた関係でこの直後にいたアドマイヤジュピタもマークするように上昇。直線に入るところでホクトスルタンを捕えに出たアサクサキングスが外の方に出てきたのでメイショウサムソンにちょっとした不利。アサクサキングスが先頭に出ましたが,これを大外から捕えたアドマイヤジュピタが一気に抜け出しました。普通ならこれでレースは決まりですが,立て直したメイショウサムソンが2頭の間をぐいぐいと伸びてきたので,アドマイヤジュピタはゴール前でかなり迫られましたが凌ぎきって優勝。メイショウサムソンが惜しい2着で3着はアサクサキングス。
 優勝したアドマイヤジュピタは3歳3月に2勝目を上げた後,骨折。1年4ヶ月強の休養を経て昨夏に復帰。準オープンの身で挑戦したアルゼンチン共和国杯で重賞初制覇を達成すると,今年に入って阪神大賞典も制していました。大レースはこれが初制覇。5歳とはいえそれほどキャリアがあるわけではなく,まだこれからも活躍できる馬と思います。岩田康誠騎手は昨秋のジャパンカップ以来の大レース優勝で,天皇賞は初制覇。友道康夫調教師はこれが初の大レース制覇です。
 メイショウサムソンは不利がなければあるいはというレース。力のあるところをみせました。アサクサキングス,ホクトスルタンの4歳2頭も,レベルの低い世代と思われたわりには頑張ったといえると思います。

 明日は船橋でかしわ記念があります。これはブルーコンコルド◎とワイルドワンダー○の争い。ほかはボンネビルレコード△,フジノウェーブ△,トップサバトン△。

 この論理構成をスピノザの哲学との関連でもう少し詳しく分析します。
 まず第一の点は,第二部自然学①公理一の意味と同じです。
 次に第二の点は飛ばして,第三の点と第四の点についていえば,これは一般的な公理に属すると考えることができると思います。
 第五の点は第三の点と第四の点が正しいならば必然的に帰結しなければなりません。
 第六の点は第三の点を一般的にいい換えたものです。
 第七の点は,厳密にいうならば,何ものも運動することはないというべきではないかと僕は思うのですが,この点に関しては許容することにしましょう。
 問題となるのは第二の点ですが,スピノザの哲学に近づけるために,これを次のようにいい換えます。
 物体は延長の個物ですので,現実的に存在するとも存在しないとも考えられるあるものです。しかし,もし今という時間を設定するならば,ある物体Xは現実的に存在しているか存在していないかのどちらかです。そこで現実的に存在すると仮定しましょう。
 次にこのXは,運動しているか静止しているかのどちらかです。そこで運動していると仮定するなら,Xは今は運動しているということになります。よってどんな物体も,それが運動しているならば,今といえるようなときに運動しているということになるでしょう。
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アメリカ遠征&論理構成

2008-05-03 19:19:50 | 海外競馬
 アメリカのダート競馬は現在は全天候型馬場,いわゆるポリトラック・ニューポリトラックコースへの移行期にあるといえますが,いずれにしてもこうした馬場では世界のトップにあることは間違いありません。そのアメリカ競馬に,藤沢和雄厩舎の馬が挑戦します。
           
 遠征したのは3歳馬3頭ですが,中心になるのはカジノドライヴ。ほかの2頭もレースに出走するかもしれませんが,この馬の調整のための帯同という意味が強いと思います。
 カジノドライヴはアメリカ産。母がBetter Than Honourという馬で,産駒のJazilとRags to Richesがアメリカ三冠レースの三冠目にあたるベルモントステークスを,一昨年,昨年と連続で制しました。カジノドライヴのアメリカ競馬挑戦にはこうした背景があります。さしあたっては現地時間の10日に行われるピーターパンステークスGⅡに出走する予定で,すでにアメリカ入りしています。
 カジノドライヴは日本では新馬を楽勝しただけでキャリアもその1戦のみ。常識的に考えてかなり厳しい戦いになると思われ,それ自体では無謀な挑戦という感じがしなくもありません。ただこれだけの血統的背景のある馬を,日本でレースをさせるだけでは終らせずに,アメリカでも走らせるという関係者の決断には,スポーツマンシップという観点からは敬意を表したいと思います。

 明日は天皇賞。アサクサキングス◎,アイポッパー○,トウカイトリック▲の3頭に期待。あとアドマイヤモナーク△,メイショウサムソン△,ドリームパスポート△,ポップロック△。

 平塚記念も決勝になります。ここは並びも読みやすく,山崎-伏見-成田の福島,武田-手島-兵藤の関東,中川-井上の九州に三宅。山崎選手から。

 この第三の逆説については,『ゼノン4つの逆理』の著者である山川偉也さんが,アリストテレスの報告を基にして以下のように要約しています。これはおおよそゼノンの主張にそぐうものであると考えられますので,ここではそれをそのまま用いることとします。
           
 第一に,すべてのものは静止しているか運動しているかのどちらかです。
 第二に,もしも矢が運動するとすれば,それは今現在という時間に運動します。
 第三に,今現在という時間には,矢はそれ自身がある場所にあります。
 第四に,もしもある物体がそれがある場所にあるなら,その物体は運動していません。
 第五に,このゆえに,今現在は矢は静止しています。
 第六に,運動している物体は,今現在という時間には,その物体がある場所にあります。
 第七に,よって運動している矢は静止していうということになります。
 僕の考えでは,この論理構成のうち,最も重要なのは第二の論点です。というのは,今現在という時間と,ここと特定されるような場所というのは,リンクしたような関係にあると考えられるからです。これは数列の稠密性の排除というのが,距離の数列を排除するだけでなく,時間の稠密性をも排除するということと関係していると思います。また,今現在という時間に撮影された物体は,写真の中で,ここと特定できるような場所に位置しているということからも,今とここの関係が理解できるのではないかと思います。
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湘南グランプリ&第三の逆説

2008-05-02 19:12:37 | 競輪
 ゴールデンウィーク中の首都圏での記念競輪ということでかなり豪華なメンバーとなっている平塚記念は,今日,2日目の優秀(動画),湘南グランプリが行われました。
 並びですが伏見が石橋につけて東日本,山口は近畿,三宅が九州につけてきれいな3分戦。Sは井上選手が取ってそのまま前受け。伏見選手が中団を取り,石橋選手が4番手。稲垣選手が7番手で周回。
 残り2周のホームから稲垣選手が上昇,石橋選手がこのラインに続きました。バックで稲垣選手は井上選手を叩き,打鐘から石橋選手が発進。稲垣選手も合わせて先行争いでしたが,ここは石橋選手のダッシュが上回り,このラインが出きりました。井上選手もバックから捲っていきましたが,伏見選手は大きく車間を開けて牽制,この捲りに合わせて発進し,そのまま1着。伏見選手マークの手島選手が2着で,稲垣選手が不発で最後尾となってしまった山口選手が,インを突き,最後は伏見選手と手島選手の間に入って3着でした。
 石橋選手が稲垣選手をかまし,稲垣選手が番手で絡むところまでいきませんでしたので,伏見選手にはかなり楽なレース。バックですでに車間を開けていたくらいですから,本人にとっても余裕のあるレースだったのではないかと思います。

 運動というものを静止状態の集積であると考えることは,結局のところ,どんな物体もそれが運動している間はずっと静止しているということを主張しているにほかなりません。これは撮影された写真に写し出された物体は静止しているということ,そしてこの静止状態の連続がこの考え方の場合の運動であると考えられることから明らかだといえるでしょう。ところで,ゼノンの逆説のうち,まさにこのことを主張しているのが第三の逆説であるということになります。そこで今度は一旦は第二の逆説から離れ,この第三の逆説の方を詳しく分析していくことにします。そしてこの分析から,第二の逆説のどこに誤りがあるのかということが,はっきりと理解できるのではないかと思います。
 詳しく分析する前にに注意しておきます。弓から放たれた矢は,放たれる前は静止していて,放たれると運動します。そして現実的にはこの運動は永遠のものではなく,どこかに刺さったり,あるいは地上に落下するなどしてこの矢は静止します。そこでこの場合には矢は,静止→運動→静止という順をたどることになります。第三の逆説はこのときに,矢は運動している間も静止しているということを示すわけですが,これは弓から放たれた矢に特有の事柄ではありません。むしろこの矢についての分析をすることにより,一般的に運動している物体は,運動している間はずっと静止しているということが論理的に導かれます。またゼノンの意図もそうしたことを示すことにあったといえます。よって,ここからは矢の運動を中心に分析していきますが,このことがすべての物体に妥当するということをあらかじめの前提とすることにします。
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