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未破裂動脈瘤の治療法選択ー血管内手術(近未来編)

2008年04月11日 | 動脈瘤
今回は動脈瘤塞栓術の近未来編 その1です。
前回お話ししたようなバルーン併用でも対処できないケースがあります。
非常に広いネックを持つ動脈瘤の場合には、バルーンをしぼませるとコイルが出てきてしまうのです。
このため何らかの「支え」が必要です。
この「支え」になるのがステントです。
上の図に示したように、バルーンでコイルが出てきてしまうようなケースでも、ステントを併用するとうまく治療ができます。

     

私自身も、この方法しか治療ができない患者さんに対して心臓の動脈(冠動脈)用のステントを使って治療したケースがあります。
見事にうまくいった症例もあれば、心臓用では固くて、目的のところまで挿入できなかったケースもありました。
しかもこれは保険診療外(!)なので、病院が負担するのです。だから普通には使えません。
一本何十万円もするんですよ、ステントって。知ってましたか?
あんな小さな金属と風船が!いくら何でも高すぎると思うのは私だけでしょうか ...。

     

でもアメリカやヨーロッパでは動脈瘤塞栓用のステントがすでに使われているんですよ。
去年のアメリカ見学で実際に見てきました。
自分で広がるタイプ(自己拡張型)のステントですから血管を傷つける心配も少ないのです。
日本では治療不可能な形状の動脈瘤がステント併用で治療されていて、ドクターたちもいい結果に満足げでした。
自分は正直ショックを受けました。アメリカがうらやましいです。
日本でも早く使えるようになるといいですね。
コメント (3)
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