脳卒中をやっつけろ!

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脳梗塞 はじめに

2008年11月01日 | 脳梗塞
「脳梗塞(のうこうそく)」という言葉、皆さん聞いたことがありますよね。
脳卒中の中でも最も多い病気です。
日本全国で150万人という多くの人がこの病気にかかっており、寝たきりの原因の一位でもあります。
多くの人たちが「最もなりたくない病気の一つ」と考えているでしょうし、自分自身もそう思います。
田中角栄さん、長島茂雄さん、小渕首相をはじめ、多くの有名人も脳梗塞で倒れました。
最近ではサッカーのオシム監督もそうでしたね。
命をなくしてしまうこともあるし、半身麻痺などの重度の障害をかかえてしまうことの多い、こわい病気です。
しかしこの病に倒れた後も、リハビリで元気になられたり、障害をかかえながらも前向きに人生を送られている方が大勢います。
いろんなところに感動的な「脳梗塞体験談」が紹介されています。

ところで、脳梗塞って脳の血管がきれるの?つまるの?
よく混同されます。
順に説明していきましょう。

まずこの病気を一言で言うと、「脳の血のめぐりが悪くて起きる病気」ということになります。
わざわざこう言ったのは、脳の血管に問題がなくても、心臓が一時的に止まったり、全身の血圧が下がって脳梗塞になることがあるためです。
しかし実際には、ほとんどの場合「脳の血管が詰まる」ことにより脳の細胞に血液が足りなくなり、神経細胞が死んでしまうためにおきます。
詰まる原因にはいろいろあります。(後に説明します)

さて一方、「脳の血管が切れた」というのは、「脳出血」を説明するために使われる言葉です。
「詰まるのが脳梗塞」、「切れるのが脳出血」と覚えてください。

さて「脳梗塞は脳の血管が詰まって神経細胞が死ぬ」と説明すると、「一旦かかったらもうだめなんだ」と思ってしまいます。治らない病気だと。
以前は実際にそう考えられており、「一旦かかったらなおらない」「治療法のない」病気の代表的存在とされていました。
「脳梗塞は安静にして寝かせておく他はない」とされていたのです。

しかし、新しい薬の開発、カテーテル治療の開発、手術治療の普及により、この脳梗塞は「治る病気」「予防可能な病気」になってきました。
最近では血栓を溶かす薬が使えるようになり、脳梗塞は「一刻も早く治療すべき」、「治療により劇的に改善する」病気に変わりました。

次回から順にお話ししていこうと思います。
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