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脳梗塞の診断 問診 TIAについて

2008年11月07日 | 脳梗塞
脳梗塞の診断 その1は問診です。

脳梗塞になるといろいろな症状が出ることが知られていますが、実際には
1)片方の手足の動きが悪い
2)言葉が話しにくい
がほとんどです。
もちろん重症例では意識を失って倒れてしまいます。こういうケースは救急車で病院に搬送されてきます。

問題なのは、一旦症状が出て、すぐに元に戻った状態です。
一時的に脳に血が足りなくなったために症状が出たことを、医学的には一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)といいます。
英語ではtransient ischemic attack (TIA)とよばれています。
このTIAはくせもので、脳梗塞の診断をやっかいにしています。
なぜならCTとかをとっても異常がないからです。
一旦詰まった血管が再開通して起きる症状と考えられています。
麻痺が出て戻らない、だんだん悪くなる、というようなことがあれば誰しも病院へ行きますが、一時的に症状が出ても1-2分で戻ったらどうでしょう。
忙しい現代人が仕事を休んで病院を受診するなど、なかなかできることではありません。
せいぜい近くのクリニックを受診するぐらいです。
しかしクリニック全てがこのTIAを診断できるとは限りません。
「薬で様子を見ましょう!」となることがほとんどです。
そして家に帰ってから再発作で救急車で病院に運ばれる...
我々がしょっちゅう経験することです。

ですから皆さんは「一時的に言葉が出にくくなった」とか「右手足が1-2分動かなくなった」という時には、夜間でも遠慮なく救急病院(できれば脳の専門家がいる病院)を受診してください。
何も遠慮はいりません。
脳の血管が「一旦詰まった」のですから、「また詰まる」原因があることがほとんどで、TIAがあった人の2-3割が脳梗塞に移行すると言われています。
次の発作で取り返しがつかなくなる前に専門家に診てもらいましょう。

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