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脳卒中をやっつけろ!

脳卒中に関する専門医の本音トーク
 最新情報をやさしく解説します 

LINNC 2日目

2009年05月27日 | 学会/研究会
LINNC 2日目です。
2日目も朝7時半から、早速Lectureです。
そこではこのブログでも紹介している「血栓溶解療法」についてのプレゼンテーションが連続4つありました。
その後、討論。
われわれの学会ではこの討論のことをDebate (ディベート)とよびます。
ここではProf. Moretが「血栓溶解は超緊急で行う必要のある治療で、血栓が溶ければ劇的な改善をもたらすが、溶けなければ命を落としすことにもなり、非常に重要である。また血管が開通しても出血でまた命を落とすこともある。さあみんなで議論しよう!」と言われました。
彼の語り口は非常に軽快で元気のいいものでしたが、まさにその通りです。
そこでの議論は「静脈投与を否定する気はないが、もっとカテーテルで治療した方が良いのではないか?」ということでした。
「静注よりも動注やカテーテルによる血栓摘出を優先した方が良いのではないか?」という意見が米国のDr. Mawadからだされました。
その通りです。しかし壇上の神経内科医は「全員をまずカテーテル治療するというのはやりすぎだ!」と反論していました。
この議論には一つの重要なデータが欠落しているのです。そのために結論が出ないのです。
そう、tPA静脈前後の血管の変化と患者さんの治療結果です。
われわれがやろうとしている前向き登録、やはり世界的に見ても非常に重要だということが分かりました。
早く取りかからないといけません。

また午後のセッションでも今後の動脈瘤の治療選択という点で良いヒントをもらいました。
米国の最も有名な脳神経外科医であるProf. Robert Spetzlerが、破裂した脳動脈瘤のコイルとクリップの振り分け治療について新たな臨床研究を発表していました。
日本で神戸の坂井先生とともにやっている臨床登録研究があります。
ずっと隣で聞いていた坂井先生と、「これを発展させて新たな臨床研究ができないか?」と相談しました。

やはりLINNCはおもしろい。
こういうところに出てきてはじめて実感できることもあるし、重要な情報を先取りすることができます。
「学会はお祭りで、論文こそが命」という先生もいますが、今回出席してみて、国際学会に出て勉強することの重要性を認識しました。

さてライブは脳虚血に関するもので、これはとにかく頭の中でもどこでもステントを留置するということに終始していて、日本との差がそれほどないことを知りました。
日本でステントが認可さえされれば、すぐに追いつきます。
頚動脈ステントに関しては日本の方がはるかに進んでいるということが分かりました!

ところでLINNCはルーブル美術館の地下、パリコレが開かれる会場で行われているんですよ!
上の写真でわかりますか?
きれいなモデルさんじゃなくて、ここにおじさん達が出てくるのはちょっと笑えますね!
コメント
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