通常のクリッピングが困難でかつ根本の血管も止められないものもあります。
それは動脈瘤の付近から重要な細かい枝が出ている場合です。
脳底動脈(のうていどうみゃく)先端部動脈瘤がその代表で、もっともクリッピングが困難な動脈瘤として知られています。クリッピングができないわけではなく、クリッピングによる合併症が多く、かつ重症であるということです。
まずこの部位は読んで字のごとく、脳の底に位置するため、深く狭い術野で手術を行わなければなりません。しかもこの部位からは視床(ししょう)という重要な部分に細かい枝が出ています。深く狭い術野でなんとかクリップをかけても、この枝の流れが悪くなると術後に意識が戻らないのです。自分は研修医の頃、この動脈瘤の手術後遺症で寝たきりになる人を何人も見てきました。いくら難しい動脈瘤と分かってはいても、自分の主治医の患者さんが手術で悪くなるのは非常にショックでした。意識なく横たわった患者さんを処置しながら、「先週まで会話ができたのにどうして...」と悲しく思っていました。あれから20年が経過しようとしていますが、現在でもこの場所の大型動脈瘤はクリッピング術が最も困難なものの一つです。
一方、この20年間で大幅な進歩がありました。それは脳血管内手術の開発です。この部位の動脈瘤はコイル塞栓術によりかなりうまく治療することができるのです。特に動脈瘤のネック(入り口の部分)がせまければ、いとも簡単に治療ができます。ですから脳底動脈瘤と診断された場合には、必ず血管内治療の指導医・専門医にも一度相談してみることをおすすめします。

しかし脳底動脈瘤の中にも、ネックが非常に広くてコイル塞栓術すら難しいケースがあります。このような動脈瘤にはステント併用の塞栓術が有効です。ステントとは心臓で良く用いられる金属の筒状の網です。アメリカではすでに脳動脈瘤専用のステントが開発されており、コイルと併用されています。私自身は難しい症例に対して、これまで心臓用ステントを併用した動脈瘤治療を行ってきました。しかしとうとうこの1-2年で脳動脈瘤専用のステントが日本でも使えるようになりそうです。これについては後述しますが、脳動脈瘤治療を一変させる可能性を秘める画期的な機材と言えます。乞うご期待!
それは動脈瘤の付近から重要な細かい枝が出ている場合です。
脳底動脈(のうていどうみゃく)先端部動脈瘤がその代表で、もっともクリッピングが困難な動脈瘤として知られています。クリッピングができないわけではなく、クリッピングによる合併症が多く、かつ重症であるということです。
まずこの部位は読んで字のごとく、脳の底に位置するため、深く狭い術野で手術を行わなければなりません。しかもこの部位からは視床(ししょう)という重要な部分に細かい枝が出ています。深く狭い術野でなんとかクリップをかけても、この枝の流れが悪くなると術後に意識が戻らないのです。自分は研修医の頃、この動脈瘤の手術後遺症で寝たきりになる人を何人も見てきました。いくら難しい動脈瘤と分かってはいても、自分の主治医の患者さんが手術で悪くなるのは非常にショックでした。意識なく横たわった患者さんを処置しながら、「先週まで会話ができたのにどうして...」と悲しく思っていました。あれから20年が経過しようとしていますが、現在でもこの場所の大型動脈瘤はクリッピング術が最も困難なものの一つです。
一方、この20年間で大幅な進歩がありました。それは脳血管内手術の開発です。この部位の動脈瘤はコイル塞栓術によりかなりうまく治療することができるのです。特に動脈瘤のネック(入り口の部分)がせまければ、いとも簡単に治療ができます。ですから脳底動脈瘤と診断された場合には、必ず血管内治療の指導医・専門医にも一度相談してみることをおすすめします。

しかし脳底動脈瘤の中にも、ネックが非常に広くてコイル塞栓術すら難しいケースがあります。このような動脈瘤にはステント併用の塞栓術が有効です。ステントとは心臓で良く用いられる金属の筒状の網です。アメリカではすでに脳動脈瘤専用のステントが開発されており、コイルと併用されています。私自身は難しい症例に対して、これまで心臓用ステントを併用した動脈瘤治療を行ってきました。しかしとうとうこの1-2年で脳動脈瘤専用のステントが日本でも使えるようになりそうです。これについては後述しますが、脳動脈瘤治療を一変させる可能性を秘める画期的な機材と言えます。乞うご期待!