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EXTEND study: t-PA静注療法の発症後9時間までの有効性が報告されました!

2019年02月11日 | 学会/研究会
2013年のこの学会、このホノルルで脳梗塞に対する血管内治療の効果が否定されました。
私たちはそれをホノルルショックと呼びましたが、あれから6年、すでに6時間以内の治療効果は科学的に確立し、6-24時間においてもその有効性が確立しました。
治療時間が早いほど有効なはずのこの治療が、なぜ6-24時間でも有効なのでしょうか?
それは、画像検査の結果をRAPIDというコンピューターソフトで解析して、脳梗塞の体積が小さい患者さんを選んだからです。
では同様の方法で患者さんを選べば、血栓を溶かす薬であるt-PAも有効なのではないでしょうか?
今回の学会ではその効果を調べた臨床研究の結果が報告されました。

この試験EXTENDは、発症後長時間経過した患者さんにおけるt-PA静注療法の有効性を確認するランダム化比較試験です。
発症後9時間以内、または起床時に症状に気づいた人(wake up stroke)で、コンピューターソフトで解析した結果で選ばれた患者さんが対象となりました。
その結果、t-PA静注療法を受けた方が症状がよくなる人が多いという結果でした。

2005年にわが国に導入されたt-PA静注療法。当時の適応時間は発症後3時間でしたが、その後、年に4.5時間まで延長されました。
そして今回の研究結果からは9時間まで延長できる可能性が示されたのです!

ただし、一つ問題があります。それはコンピューターソフトRAPIDです。
このソフトはアメリカのスタンフォード大学で開発され、まだ日本では保険適応になっていません。
私たちの施設には導入する予定ですが、高額であるため、全国の病院に導入するのは難しいのではないかと考えられます。
別の検査法で代用できないか?そういったことも試されていくでしょう。
いずれにしろ、t-PA静注療法の新たな幕開けです。



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