いよいよ脳動脈瘤の治療についてお話しします。
まずは破裂していない状態で検査で見つかった場合、つまり未破裂脳動脈瘤についてまず説明したいと思います。
家族や知り合いに脳動脈瘤が見つかった場合には、どうしたらいいのでしょうか?
自分の頭の中にあれば、なおさら心配ですよね。
よく「頭の中に爆弾がある」という説明をされたという話も聞きますが、それは患者さんの恐怖心を高めてしまう良くない説明だと思っています。まずどんな病気なのかを正確に知る必要があります。
「脳動脈瘤ってどんなもの?」で年間破裂率を説明しましたね。まとめると、年間0.5-3.0%ぐらい。大きい動脈瘤や脳の後ろの方にある動脈瘤は破裂しやすい、ということでした。もう一度この部分を読んでみてくださいね。
さて、ですから動脈瘤が見つかった場合の対応は、(1)そのまま様子を見る、(2)クリッピング手術、(3)コイル塞栓術、の3つとなります。まず今回は(1)について考えてみましょう。
「そのまま様子を見る」ことを医学用語では「経過観察」といいます。未破裂脳動脈瘤では「定期的画像検査」とほぼ同じ意味になります。一般的には、半年か一年に一度、外来でMRI, MRAを行って、動脈瘤の形が変わったり、大きくなっていないか確認することが多いようです。しかし実はそのようなことは非常に稀であり、破裂を予測することはほとんど出来ません。私は「動脈瘤が大きくなったり形が変化すること、他の動脈瘤が出来てくることは非常に稀ですので、頻繁に検査をする必要はありません」ときちんと説明しています。それでも皆さん不安ですから、患者さんたちの大多数は定期的にMRIに通ってこられます(^^;)。しかしその結果、ここ数年動脈瘤の増大を認めたケースはありません。一方、その間に破裂してしまった患者さんは何人かいます。他施設で、動脈瘤が治療を待っている間に破裂してしまい治療に駆けつけたケースもあります。
動脈瘤が破裂してしまい、患者さんが重症くも膜下出血になると、「もっと強く治療を勧めた方が良かったのではないか?」と後悔してしまいます。一方、最近はほとんどないのですが、未破裂脳動脈瘤の治療で合併症を起こすと、「本当にこの人の動脈瘤は将来破裂する運命にあったのだろうか?」と悩みます。「神のみぞ知る」世界ですが、いずれにしても患者さんが悪くなられるのは辛いものです。もっと一人一人の動脈瘤の破裂率を正確に知ることが出来れば、このような悩ましい状況が改善されるのかもしれません。
ですので動脈瘤の破裂に関する研究は非常に重要です。治療法も今後さらに改善されて合併症率が減れば、もっと多くの患者さんが安全に予防治療を受けられるようになる。早くそうなってほしいものです。
動脈瘤治療の新しい器具も徐々に承認される方向にあります(これに関してはまた後に詳しく述べたいと思います)。次回から脳動脈瘤治療についての現状と最新情報をお知らせしたいと思います。
まずは破裂していない状態で検査で見つかった場合、つまり未破裂脳動脈瘤についてまず説明したいと思います。
家族や知り合いに脳動脈瘤が見つかった場合には、どうしたらいいのでしょうか?
自分の頭の中にあれば、なおさら心配ですよね。
よく「頭の中に爆弾がある」という説明をされたという話も聞きますが、それは患者さんの恐怖心を高めてしまう良くない説明だと思っています。まずどんな病気なのかを正確に知る必要があります。
「脳動脈瘤ってどんなもの?」で年間破裂率を説明しましたね。まとめると、年間0.5-3.0%ぐらい。大きい動脈瘤や脳の後ろの方にある動脈瘤は破裂しやすい、ということでした。もう一度この部分を読んでみてくださいね。
さて、ですから動脈瘤が見つかった場合の対応は、(1)そのまま様子を見る、(2)クリッピング手術、(3)コイル塞栓術、の3つとなります。まず今回は(1)について考えてみましょう。
「そのまま様子を見る」ことを医学用語では「経過観察」といいます。未破裂脳動脈瘤では「定期的画像検査」とほぼ同じ意味になります。一般的には、半年か一年に一度、外来でMRI, MRAを行って、動脈瘤の形が変わったり、大きくなっていないか確認することが多いようです。しかし実はそのようなことは非常に稀であり、破裂を予測することはほとんど出来ません。私は「動脈瘤が大きくなったり形が変化すること、他の動脈瘤が出来てくることは非常に稀ですので、頻繁に検査をする必要はありません」ときちんと説明しています。それでも皆さん不安ですから、患者さんたちの大多数は定期的にMRIに通ってこられます(^^;)。しかしその結果、ここ数年動脈瘤の増大を認めたケースはありません。一方、その間に破裂してしまった患者さんは何人かいます。他施設で、動脈瘤が治療を待っている間に破裂してしまい治療に駆けつけたケースもあります。
動脈瘤が破裂してしまい、患者さんが重症くも膜下出血になると、「もっと強く治療を勧めた方が良かったのではないか?」と後悔してしまいます。一方、最近はほとんどないのですが、未破裂脳動脈瘤の治療で合併症を起こすと、「本当にこの人の動脈瘤は将来破裂する運命にあったのだろうか?」と悩みます。「神のみぞ知る」世界ですが、いずれにしても患者さんが悪くなられるのは辛いものです。もっと一人一人の動脈瘤の破裂率を正確に知ることが出来れば、このような悩ましい状況が改善されるのかもしれません。
ですので動脈瘤の破裂に関する研究は非常に重要です。治療法も今後さらに改善されて合併症率が減れば、もっと多くの患者さんが安全に予防治療を受けられるようになる。早くそうなってほしいものです。
動脈瘤治療の新しい器具も徐々に承認される方向にあります(これに関してはまた後に詳しく述べたいと思います)。次回から脳動脈瘤治療についての現状と最新情報をお知らせしたいと思います。
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