簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

南アルプスあぷとライン(JR乗り潰しの旅)

2011-08-08 | Weblog
 「美女づくりの湯」と呼ばれる寸又峡温泉は、南アルプスの麓に位置する、山深く自然に恵まれた
10軒余りの静かな温泉郷である。 寸又峡を巡る遊歩道や、町営の露天風呂などが整備されている。
温泉と大井川鐵道の奥泉駅や千頭駅には、便数は少ないがバスが連絡しているので不便さは無い。





 千頭駅からは井川駅まで、井川線のトロッコ列車が走っている。
「南アルプスあぷとライン」と呼ばれるこの路線は、昭和29年に中部電力がダム建設のために
開通させた専用軌道がその前身である。



 広い千頭駅の横に、「南アルプスあぷとライン」の乗換駅は有る。
赤色に塗られ白いラインの入った可愛らしいミニ列車(トロッコ列車)は、ここから南アルプス
の懐深く入り込む。千頭駅の標高は約300m、終点の井川駅が約700mだから、25Km余りの
路線で400mほどの急勾配を登る山岳列車でもある。



 トロッコ列車だけに、天井も低く車内は狭い。
両側に有る二人掛けのシートに大人が座ると、肩が触れ合う程で、通路を塞いでしまう。
乗り心地は、お世辞にも良いとは言えないが、ここからは、大井川上流域の渓谷が車窓の友と成り、
奥大井への旅の期待感を掻き立てる。


 
 途中の奥泉駅は、寸又峡温泉への玄関口。
駅前のバス停やトイレは、近くにある下開土遺跡を模した形をしている。
駅には沿線のポスターや写真が壁いっぱいに貼られている。
トロッコ列車のホームらしく、その高さは無く、足元と同じ位置に線路が引かれているのが面白い。(続)


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日本一短いトンネル(JR乗り潰しの旅)

2011-08-05 | Weblog




 再び川根温泉笹間渡駅に戻り電車に乗る。
次の地名駅を過ぎ、暫く走ると何とも小さなトンネル(?)を潜る。
うっかりしていると見過ごしてしまいそうなくらい、アッと言う間の通過である。
長さ約11メートル、地元では日本一短いトンネルとして親しまれているらしい。

 元々は、この線路の上を横切っていた荷物運搬用の索道の施設で、線路に物が落ちないように
保護する目的で造られたものらしい。



 ここら辺りは、大井川もかなり上流域に成るはずなのに、まだまだ川幅も広く滔々と流れている。
雨を受ける対岸のさくら並木や、茶畑の広がる風景を見ながら、40分程で終点の千頭駅に到着する。



 駅に着いて驚いた。
ホームの手前には、明治三十年製と言われる手回し式の転車台が有る。
まだ現役で使われているらしく、有形文化財として登録されている。

 広い駅構内には、C11形、C10形や9600形のSLや、トロッコ列車、電気機関車、京阪や南海の
車両などが見える。しかもこれらは動態保存と言うよりは、今も現役として活躍しているのだから
驚かされる。
土をむき出しにした長いプラットホームには、濃いチョコレート色の、長い客車が停留されている。



 突然目の前に広がったセピア色の世界、幼いころのSL全盛時代を彷彿させる情景に、遠い昔に
帰ったようで、なんだか涙が出る程の懐かしさが込み上げてくる。
温か味の有る客車は、いつまで見ていても見飽きないのが不思議だ。

 興奮冷めやらぬ昂ぶりを残したまま、今晩の宿のある寸又峡温泉に向かう。
山深い温泉は、ここからバスで40分程の距離だ。(続)


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川湯温泉・ふれあいの湯(JR乗り潰しの旅)

2011-08-03 | Weblog
 ここら辺りからも富士山を望む事が出来るらしいが、生憎の雨模様、遠くは薄い灰色に
煙っていて何も見る事が出来ない。
 電車は「越すに越されぬ・・」と唄われた大井川の雄大な流れを見ながら、およそ40分で
川根温泉笹間渡駅に到着する。黒く塗られた木造のしっとりとした駅舎を出て、5分ほど
線路脇を歩くと、県道63号に合流する辺りに「道の駅・川根温泉」が有る。





 宿泊棟を併設した日帰り入浴施設は、男女11か所もの浴槽を持ち、ナトリウム・塩化物泉で、
源泉かけ流しの湯を楽しむ事が出来る。
 この入浴施設の人気が高いわけは、何といっても、露天風呂の湯に浸かりながら、大井川の
鉄橋を渡るSLを見る事が出来るからだ。浴槽脇には、その日のSL通過時刻が書かれている。



 SLが通過するまでにはまだ少し時間が有り、それまでの長湯にはとても耐えられそうも
無いので、早々に湯から上がり食事処で通過を待つ。
 暫くして近づいた事を知らせているのであろうか、遠くでボーッと汽笛の音が聞こえてくる。
それを合図に、お客の多くが川に向かって造られたベランダに出て行った



 川向うの木々の、更にその向こうに、微かに上る白い煙が見える。
力強い音が段々に近付いてくる。
 やがてドラフトが響き、白い煙を誇らしげに噴き上げ、鉄橋を渡る轟音が轟く。
待ち構えていた人々の口から一斉に歓声が上がり、あちこちでカメラのシャッターを
切る音が重なる。川面に白い煙幕を広げ、ながい汽笛を響かせて鉄橋を渡り、やがて建物の
陰に姿を隠す。

 つかの間のショーが終わると、辺りには一抹の淋しさと雨音だけが残っていた。(続)





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大井川鐵道 (JR乗り潰しの旅)

2011-08-01 | Weblog
 天浜線の終着駅掛川で、東海道本線に乗り換える。
沿線の周辺には、有名な牧ノ原の大茶園が広がっている。
次の目的地、金谷までは二駅、15分程の距離だ。ここ金谷駅は大井川鐵道の分岐駅。



 イカダと舟に頼るしか交通手段の無かった奥大井の人びとにとって、鉄道の開通はまさに文明開化
そのもので、生活は一変した。
 しかし鉄道もやがて衰退、当時の主流であった蒸気機関車が、一旦は廃止されることになる。
そしてSLは、昭和51年に「SLかわね路号」として見事に復活するのである。

 ここから井川駅までの65Kmに及ぶ大井川鐵道では、途中の千頭駅まで、その復活したSLが
日に三往復運行されている。
また、千頭から先は、トロッコ列車の旅を楽しむ事が出来る。

 列車を降り、JR駅に併設された小さな大井川鐵道の金谷駅に駆け込む。
この時間帯にSLは運行されてはいないので、それは明日のお楽しみだ。



 ホームで列車を待っていると、どこかで見覚えのある車両がゆっくりと入線してきた。
濃いオレンジ色のボディ、窓枠に塗られた濃い紺色。
「あれっ、この車両は・・・」
車内のオレンジチェックのカーテン、えんじ色のリクライニングシートもどこかで見たような、
なぜか懐かしいにおいがする。





 これは、昭和40年代以降、近鉄線を走っていた車両で、吉野行き特急専用車として活躍
していたものだ。
大井川鐵道にはSL以外にも、京阪線や南海線で活躍した車両など、全国で活躍していた懐かしい
電車が今も現役で活躍しているらしい。
さながら、「懐かしの車両博物館」と言ったところだ。(続)



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