goo

「種は誰のもの」




種苗法改定のドキュメンタリー映画「種は誰のもの」を観て、
改めて、種って誰のものなのだろうと考えてみました。
映画の中で、「育種権」という言葉が出て来ます。
農産物の新しい品種を開発する、音楽、美術などの芸術や
製品などで云う、著作権のようなものです。
この映画では、ブドウの育種家の方を例に上げて、
解りやすく解説していて、ひとつの品種を作り出すためには、
7年、登録するのに3年という年月と数千万円の経費がかかるそうです。
ですから、農家さんが1本だけ苗を購入して、
自家増殖されたら成り立たないので、改定には賛成のお立場だそうです。
しかし、農家さんの方は苗代の負担が増え、それがブドウの価格に
上乗せされて私たち消費者のもとに届く事になります。
また、別の方法として苗は農家さんが自由に自家増殖する事を
認める変わりに、収穫の量に応じたロイヤリティーが
支払われる方法も考えられます。
その方が、育種権者さんも収入を多くするために、開発意欲も湧き、
より優良な品種がどんどん生まれる可能性があります。
また、農家さんも苗代の負担無く、たくさん収穫出来るよう努力して、
双方にとって、前向きな良い方法だと思いました。
この場合、種苗法改定は必要ありません。
音楽などの芸術作品は、人間がゼロから作り出したものですが、
種や苗は人間がゼロから作り出すものではなく、自然との共同作業です。
自然は天の恵みなのだから、種や苗は皆のものでもあると思います。
一部の企業だけが独占して得をして、農家さんや消費者が
犠牲になって損をしたり、生産者が減って、食料不足になったり、
遺伝子組み換えやゲノム編集、一代限りのF1種のように、
自然をねじ曲げたものを生産するのは、やはり間違っていると思います。
映画の最後の方に出演されている、北海道でお米や野菜を
自然栽培されている農家の方は種苗法改定の事は知らずに
自家採種されていたそうです。
この方のように、知らずに自家採種されている農家さんは
たくさんあるそうです。
しかし、種苗法が改定されたら、知らなかったでは済みません。
違反すれば、10年以下の懲役と1000万円以下の罰金です。
また、知っていても「お上がそんな事をするはずは無い、大丈夫!」と
思っている農家さんもたくさんいらっしゃるように思います。
2018年の種子法廃止の後に成立した農業競争力強化法は、
国の財産とも言える、各都道府県が有する種苗の知見を民間の企業に
提供する事を促進する法律です。
農産物を作るための大切な情報を民間企業に渡して、
その上、種取りするな、苗を増殖するなと、言っているのです。
何でもかんでも取り上げておいて、それを今度は、
お金を出して買わないと、刑務所と罰金だよ、
と言っているようなものです......こんなのって、あります?
出演されているこの農家さんは、
「これからは気候変動などで、食料不足は目前、
権利を主張したら、自分で自分の首を絞める事になる。
食べ物は、音楽や製品とは違うので、良いものは皆で分け合う事が大切」
と仰っていました。
種苗法改定で、グローバル企業に種や苗の権利を握られて、
儲けさせている場合ではありません。
育種する方、それを育てて出荷する農家さん、そして
買って食べる私たち.........誰もが納得出来る方法が絶対あるはずです。
政治や社会の事に関心が無い方も、食品が高騰したり、無くなったら、
無関心ではいられないと思います。
今は、皆で「種は誰のものなのか?」考える岐路だと思います。


















コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )