アミターブ・バッチャン主演で1990年に公開された、
作品のリメイクでリティック・ローシャン主演。そして、
当時の監督ヤシュ・ジョハールの息子カランが監督。
さすがに1990年にバッチャンが演じただけの事はあり、
ヤクザ組織と警察と汚職と復讐劇と家族愛と恋愛と・・・
盛りだくさん。マサラ・ムービーと言う感じ。リティックも
単なる恋愛映画ではなく軽やかなアクション映画でもなく、
重みのある伝統的なインド映画の路線を演じていた。
タイトルのアグニパトはヒンディー語で「火の道」と言う意味で、
アミターブ・バッチャンの父親で詩人のハリワンシュラーイの作品。
ハリワンシュラーイは人生訓のような詩が多い。
今回、日本語字幕版で観たが、ヒンディー語翻訳者の大御所が
字幕を担当しており安心して観る事ができた。
映画も現代劇ではないのでヒンディー語も正確だったので、
ヒンディー語版で観た時と大きな乖離はなかった。
<ストーリー> 
1970年のマハラシュトラ州のマンドゥワと言う島が舞台。
ハリワンシュラーイ・バッチャンの詩「アグニパト」は、
父が日常的に息子に人生訓として聞かせている様子。
教師のディナナント(チェタン・パンディット)は人格者で、
村民からの信頼も厚いが村長は面白く思っていなかった。
そこで凶悪な息子カンチャ(サンジャイ・ダット)を呼び戻し、
塩を生成すると見せかけてコカインを作るために土地を買収するが、
ディナナントは村民に売らないようにと説く。

サンジェイ・ダット・・・怖い~。この人、更生したけど
アル中でヤク中で懲役経験もある本物の悪人。
村長とカンチャはディナナントを罠にはめて少女殺しの罪をかぶせ、
大衆の目の前で木に吊るして殺害してしまった。
12歳の息子ヴィジェイ(アリッシュ・ビワンダワーラ)は、
事件を目撃していたが取り合ってもらえず身重の母親と一緒に、
舟で島を離れムンバイの売春街に辿り着いた。
産気づいた母親はそこで女の子を出産する。

ある日ヴィジェイはカンチャを見つけ後をつけた。
そこでムンバイを牛耳るヤクザの親分ララ(リシ・カプール)を知る。

人の良いお父さん役が多かった今は亡きリシ・カプール、
ヤクザの親分役も凄みがあった。
ララの殺人を目撃したヴィジェイだったが、
警察ガイトンデ(オーム・プリ)に犯人を問われララを庇った。
さらに母親の出産の手助けをしてくれた女性に対して、
横暴な態度をとった警官を拳銃を奪って射殺した。
父親を惨殺したカンチャを殺したいほど憎んでいたヴィジェイ
(リティック・ローシャン)は、母親と妹の元を飛び出し、
15年後・・・・・ヤクザのララの右腕になり、
警察署長ガイトンデともつながりを持っていた。

母親と妹に会いに行くが名乗れず、
プレゼントと花を妹に手渡すヴィジェイ。
酒に酔ったヴィジェイは、GFのカーリー
(プリヤンカー・チョープラ)の美容院のオープンに駆けつける。

カンチャはマンドゥワ島からムンバイへ
コカインを流通させるために手下のシャンタラムを送り込み
州の内務大臣を買収した。
ヴィジェイはララの息子マザールが狙撃された時に、
身を盾にして庇い負傷し、さらにララの信頼を得た。
しかしマザールの結婚式の日にシャンタラムを消すため、
マザールと一緒に行ったが逆にシャンタラムにマザールを撃たせた。
そしてシャンタラムも始末してしまった。
マザールの死でララは倒れてしまい、
ララの縄張りをヴィジェイが引き継いだ。
そしてカンチャからの誘いに乗りマンドゥバ島へで出かけるが、
拷問されてしまう。
倒れたララは回復し自分の縄張りへ戻り息子の死は、
ヴィジェイが仕組んだことを知りヴィジェイの妹をさらう。
そこへヴィジェイが戻ってきてララを倒して妹を取り戻す。
妹は初めて自分に兄がいた事を知る。
妹はヴィジェイを訪ねて売春街へやって来てカーリーに会い、
カーリーと一緒に住んでいたヴィジェイと三人で遊ぶが、
送ってもらった家で母親ともめる。
カンチャはヴィジェイが15年前に自分がなぶり殺した、
ディナナントの息子だった事を知りヴィジェイに、
警察署長ガイトンデを殺すように指令を出すが、
逆に手下を殺されてしまう。
ある日ガイトンデが訪ねて来た事でカーリーは、
ヴィジェイがカンチャを殺したいと思っている事を知り、
カーリーは泣いてすがる。ヴィジェイはカーリーに、
結婚資金を貯めていた事を話し二人は式を挙げる。
ところが結婚式をカンチャの手下が襲撃し、
カーリーは殺されてしまう。
ヴィジェイは父親とカーリーの仇を討つために、
単独でマンドゥバ島へ乗り込む。カンチャはヴィジェイの
母親と妹を監禁していた。ヴィジェイは刺されて、
致命傷を負ってしまう。それでも最後の力を振りしぼり、
カンチャを倒し、父親が吊るされた大木に吊るした。
ヴィジェイは母親と妹に抱かれ、遠のく意識の中で、
迎えに来た父親を見た。そして天国へ旅立った。
最後は父親の恨みをはらし、カーリーの仇を討つが、
死んでしまう。天国には二人がいるから寂しくないけれど。

ダンスシーンでカトリーナ・カイフがカメオ出演していた。
本編とのかかわりはなし。
細かい事だが気になった事。
ヴィジェイが再会した母親の所で食事をするシーン。
リティックは恐らく左利きなのだろうけれど、
左手でご飯を食べていた。この時代(1970年)であれば、
左手は不浄の手であろうから右手で食べた方が良かったかな。
それほど長いシーンでもなかったのだから、
左利きでも右手を使えたのではなかったか? と思った。
もう一つは、12歳のヴィジェイ少年が母親の妊娠に
全く気づいていなかった事。家族で話をしてないのかな?
不思議だった。