1999年刊行の東野圭吾の長編小説。
1973年に大阪で起きた質屋の店主殺人事件に始まり、
被害者の息子:桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂を描いた作品。
事件の起きた1973年に小学校5年生だった二人が
19年後の1992年までに何処でどう生きたのか・・・。
高校時代から悪事に手を染めた亮司と、実母が怪死(事故と
片づけられた)した後、養女になり貧乏だった過去を捨てて、
お嬢様然と生きて行く雪穂。
友人達を巻き込み(犯罪の片棒を担がせて)、
偽名を使い架空の人物に成りすまし人を欺き、
邪魔者を排除していく亮司とセレブに上り詰めていく雪穂の
接点は直接は書かれていないが、それとなく匂わせている。
迷宮入りした殺人事件の初動捜査が間違っていた事に気づき、
時効になった後も追い続ける元刑事・笹垣。
点と点であった事件が結びついて線になっていく。
主人公とは同世代である事もあり、その時代の描写には、
うなづける部分が多かった。
途中で驚いたのは亮司が悪事を働くために作った会社名が、
なんと私がインドで作った会社名と同じだった事。
インドでは漢字は使えないからアルファベットなのだが、
そこも一致するとは偶然過ぎる・・・。弊社は個人商店であるが、
(亮司の会社もそうだが)悪事は行っていない。
それから亮司に絡んでいく女性が新潟県出身と言うのも・・・。
まぁこっちは47分の1の確率だけどね。
定年した笹垣が亮司は雪穂の近くに必ず現れるはずと、
張り込みをしている所へ亮司が現れ、追い詰めるが・・・。
私は昔、松本清張シリーズを読みつくしたのだが、
「砂の器」のような感じがした。
結末は・・・被疑者死亡になるのであるが・・・
死人に口なしで、未解決の事件が多すぎる。
この部分の謎解きをしてこそじゃないのかなぁ。
すっきりしない気持ちが残ってしまった。
後ろ盾尾を失った雪穂がどうなるのか?
関係する人々を不幸にしまくる雪穂が一人でやっていけるのか?
不透明な部分が気になって仕方ない。
2005年に舞台化され、2006年にTV化され、
主演は山田孝之と綾瀬はるか。韓国でもドラマ化されたそうだが、
確かにこのストーリーは韓国ドラマの方がはまりそうだ。
2011年に高良健吾と堀北真希で映画化されている。
「白夜行」と言うタイトルは当たっていると思う。
昼でも夜でもない・・・白夜を行く様・・・。
「幻夜」が続編とも違うとも言われているが、
どうなんだろう・・・読むしかないのだが。