雀の手箱

折々の記録と墨彩画

庭の梅を写す

2018年03月08日 | 日々好日



 忌が明けて二週間が経ち、やっと道具を拡げ、筆を執る気になりました。娘たちがそれぞれ帰って行き、一人の暮らしが、今までとは違った時間の流れで、ゆっくりと過ぎています。
 何も拘束されるものがないことがいささか拍子抜けで、どこかまだ急かされるような気がして、ああ、もう時間を気にしなくていいのだと自分に言い聞かせています。

 久しぶりに整形外科や歯科に自分のためだけに通院して、事情を知っている看護婦さんたちに慰めの言葉をいただきました。
 遅れていた梅が咲きそろい、土佐水木も例年どうりに花を垂れています。今年は蕗の薹を摘むことがなかったので、丈高く伸びた姿が目立っています。椿にクリスマスローズと北国のように何もかもが一斉に咲き競い、遅れてはならじとばかりに馬酔木も今を盛りと春の到来を告げています。
、かの「見すべき君が在りと言はなくに」の歌が自然と口に上ることです。亡き人の愛でた花を今年は殊にしみじみと眺めています。

 奈良の妹からも出かけてこないかと誘いの電話をもらっています。もう少し暖かくなったら、出かけてもいいかなという前向きの気持ちも起こっています。御心配をお掛けしましたが、どうやら心身共に回復基調にあります。


   磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君が在りと言はなくに 大伯皇女 (万2-166)