ハードバピッシュ&アレグロな日々

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オスカー・ピーターソン/フランク・シナトラの肖像

2016-09-14 22:46:03 | ジャズ(ピアノ)
久々の更新は「Verve 60th レア盤コレクション」からオスカー・ピーターソン・トリオの作品をご紹介します。50年代前半から60年代半ばまでヴァーヴの看板グループとして活躍したオスカー・ピーターソン・トリオですが、前期と後期ではメンバーが違います。1958年までが前期で、メンバーはオスカー、レイ・ブラウン(ベース)、ハーブ・エリス(ギター)と珍しいドラムレス構成でした。もちろん当時のトリオも人気は高く、有名な「エラ&ルイ」のリズム・セクションを務めたり、スタン・ゲッツやベン・ウェブスターと共演したりと引っ張りだこの存在でした。ただ、ジャズファンにより馴染みが深いのは後期のトリオでしょうね。エリスがグループを去った後、1959年にドラマーとしてエド・シグペンが加入。ここからはピアノ、ベース、ドラムのオーソドックスなピアノ・トリオとなり、数多くのヒット作を生み出します。本作「フランク・シナトラの肖像」は1959年5月18日に録音されたもので、後期トリオの記念すべき初レコーディングだそうです。(なお、同日にトリオはソニー・スティットとも共演し、名盤「シッツ・イン」を吹き込みます)



さて、本作はタイトルにある通り全てがフランク・シナトラのヒット曲です。シナトラに関しては言うまでもないですよね。ジャズ歌手にとどまらず、「地上より永遠に」「オーシャンズ・イレブン」等ハリウッド映画でも活躍した20世紀最高のエンターテイナーの一人です。日本でも“My Way”を歌ってるおじさんと言えばジャズに何の興味のない人でもわかるのではないでしょうか?特に50年代から60年代初頭にかけてが人気の絶頂で、ショービズ界の頂点に君臨していました。曲は全12曲。そのうち“All Of Me”“I Get A Kick Out Of You”“How About You”等はシナトラに限らずスタンダードの定番で、多くのジャズメンにカバーされていますが、“Come Dance With Me”“Learnin' The Blues”“Saturday Night”等はまさにシナトラがヒットさせた曲で、他のジャズメンによるカバーもあまりないので新鮮ですね。“Witchcraft”はビル・エヴァンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」のバージョンが有名ですが、これも実はシナトラのヒット曲だったんですね。他ではチェット・ベイカーも歌った“You Make Me Feel So Young”もとても良いです。一番長い曲でも3分半強、残りはすべて3分前後と軽めの構成ですが、オスカー・ピーターソン・トリオのツボを押さえた演奏で最初から最後まで飽きることなく楽しめます。シナトラのヴォーカル・バージョンも今では簡単にYoutubeで再生できますので、聴き比べてみると楽しいですよ。
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