ハードバピッシュ&アレグロな日々

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チャイコフスキー/交響曲第3番「ポーランド」

2018-06-07 12:28:14 | クラシック(交響曲)
本日はチャイコフスキーの交響曲第3番を取り上げたいと思います。チャイコフスキーの交響曲と言えば、後期のいわゆる3大交響曲(第4番第5番第6番)が圧倒的に有名で、CDも数え切れないほど存在します。一方で1番から3番までは影も薄く、私も今までスルーしてきました。とは言え、そこはチャイコフスキー。この3番も駄作なんてことは全くなく、規模も雄大ですし、チャイコフスキーらしい親しみやすい旋律に溢れた作品となっています。歴史に「もし」は禁物ですが、もしこの後チャイコフスキーがこの後1曲も交響曲を書かなかったとしたら、この曲ももっと人気が出ていたのではないでしょうか?



「ポーランド」の愛称で知られるこの曲ですが、名前自体に特に意味はなく、最終楽章にポーランドの民族舞踊であるポロネーズのリズムが使われているというだけです。とは言え、そもそもロシアもポーランドも同じスラヴ民族ですので、普段のチャイコフスキー節とそんなに違いがあるわけではありません。曲は5楽章からなりますが、うち第2楽章と第4楽章はそれぞれ橋渡し的な印象で、聴き所はずばり第1楽章、第3楽章、そして最終第5楽章です。第1楽章冒頭部分は葬送行進曲風の暗く静かな序奏ですが、3分過ぎから明るく力強い主題が現れます。15分弱とスケールも大きく、これだけで独立した楽曲として成立するぐらい堂々とした内容です。第3楽章アンダンテ・エレジアーコはチャイコフスキーの真骨頂ともいえる甘く切ない旋律。第5番のアンダンテ・カンタービレに通じる世界観です。“ベタ”と評する人もいますが、私は好きです。第5楽章は序盤は前述したとおりポロネーズの軽快なリズムですが、終盤にかけてドラマチックに盛り上がって行き、最後は感動的なフィナーレを迎えます。CDはマイナー曲だけに数も少ないですが、カラヤンのベルリン・フィル盤と並んで定番なのがムスティスラフ・ロストロポーヴィチ指揮ロンドン・フィル盤。20世紀を代表するチェリストとして有名なロストロポーヴィチですが、指揮者としても活躍しており、ロシアもの、中でもチャイコフスキーはお手の物ですね。フィナーレの盛り上げ方が抜群だと思います。
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