不慣れな場所を歩く時、頼りになるのが道しるべ(道標)。
先日行った津には、それがまったくなくて、迷子になるかと思ったが、秋田市には秋田駅前から山王周辺までや土崎港地区などに、たくさん設置されている。
秋田市内の道標
同じデザインだが、緑色のものと茶色のものがある。信号機のボディ色同様、その場所の雰囲気に合わせて使い分けているようだ。
てっぺんに秋田市の花、サツキのイラスト(イラストについて)があるので、秋田市が設置したものだと思われる。
一部、施設名が変わってもそのままだったり、表示板が曲がってしまったりしたものもあるので、もう少しメンテナンスに力を入れてほしい気もするが、お客様へのもてなしの1つとしては、親切だと思う。
観光都市の弘前市だって、これほど多くはないはずだから。
そして、秋田駅自由通路「ぽぽろーど」周辺には、天井や壁に、青緑色の案内板が出ている。
ハングル表記もある
これも秋田市が設置したのだろう。
ここで注目するのは、これらの英字表記。まずは、路上の道標
「竿燈大通り」は「Kanto O - dori(St.)」
ところが、ぽぽろーどでは
「Kanto Odori Ave」
「かんとうおおどおり」の部分は、日本語の発音なので、多少の表記違いはやむを得ないとして、「通り」を示す語が、「St.」と「Ave」で異なる。
他の地点も見てみると、
新国道は「Shin-kokudo(St.)」
路上の道標は、すべての「○○通り」を「○○(St.)」と訳していた。
一方、ぽぽろーどは、
「Ave」と「St」が混在(ピリオドはなし)
写真に写っていないものも含むと、竿燈大通り、広小路、中央通りが「Ave」、仲小路と川反通り(ってどこ?)が「St」と、同じ看板内でも使い分けていた。
そういえば中学生の頃、海外では、通りの方向が南北か東西かで「street」と「avenue」を使い分けていると聞いた記憶があるが、ぽぽろーどはそうではない、広小路・中央通り・仲小路とも並行しているのだから。
goo辞書(プログレッシブ英和中辞典)によれば、
「street」は「…街, …通り」だそうだ。
「avenue」は主にアメリカで「大通り, 本通り」を意味し、「米国の都市では縦横に交差する道路の一方をAvenue, 他方をStreetと呼ぶことが多い. New York市ではAvenueは南北, Streetは東西に走る道路を指す」そうだ。
これを踏まえると、ぽぽろーどで「Ave」とされているのは、いずれも大きな通りで、「St」は小さな道。
ということは、道標はイギリス式で、ぽぽろーどはアメリカ式ってこと?
イギリス人、アメリカ人、それ以外にも英語の案内を必要とする人はさまざまだから、万人が納得する表示は不可能だろうが、英語のネイティブの人がこの表示を見たら、どう思うだろうか?
などと考えて、秋田駅北側、今となっては影が薄くなってしまった東西連絡歩道橋「Weロード」。
2年前に自転車も通行できるように改装されたので、その後、新たな案内表示が設置された。ぽぽろーどのと同デザインだが、安っぽい。

拡大
「Hirokoji(St.)」
あれ? こちらは広小路なのに「St.」だ。
ぽぽろーどより後に設置されたもので、これが最新版だと思われるので、市では「Ave」と「St」を使い分けるのをやめ、「St.」に一本化することにしたのだろうか。
ついでに、ほかの英語表記も見てみる。
5枚目の新国道の写真の道標の下段には、「秋大付属小・中学校」とある。
なお、正確には「秋田大学教育文化学部附属…」(付でなく附)で、幼稚園と特別支援学校も同じ敷地にある。
その英語は「Elementary & Junior High School Attached to Akita University」。なるほど。
一方、
門の前の案内標識
ここは市道なので、道路管理者の秋田市が設置したものだと思われる。
旧「教育学部」が「教育文化学部」、旧「養護学校」が「特別支援学校」に変わったので、その部分を貼って修正している。
英語は「Faculty of Education and Human Studies Attached School and Kindergarten」。ふ~ん。
「秋田大学」が省略されてしまったが、学部名は大学側の公式な英名と同じだ。
門の前に立つ看板だから、大学当局に問い合わせたのかもしれないから、こっちがより正確な表現なのだろうか?
最後に、2枚目と6枚目のぽぽろーどの「市民市場」は「City Market Plaza」。
一方、道標は、
「Akita Citizen's Market」
うーむ。
まず、どちらも日本語表示は「市民市場」だが、正しくは「秋田市民市場」。商店の協同組合が運営しているようだ。
「市民の台所」と言われるだけでなく、観光客も訪れる。露店市ではなく、商店街のように屋内にそれぞれが店舗を構える形態。
英語表記はどっちもどっちという気がする。
ぽぽろーどの「City Market Plaza」は、「市の市場の広場」?
「city」というと、自治体としての「市」、すなわち「秋田市営」の公設市場だと思われそうな気がするし、「plaza」が付くと屋外の露天市みたいに思われないだろうか。
一方、道標の「Akita Citizen's Market」は、「秋田市民のための市場」と、秋田市民でないと利用できないような印象がしてしまう(日本語の「“市民”市場」だって同じ理屈だけど)。うまく言えないけど、この場合は「市民」の英訳として「citizen」は適切でないように思う。
それに、現代では「citizen」という語には「市民」よりも「国民・公民」という意味合いの方が強いそうだ。
僕は英語は苦手だし、ネイティブの方なら分かる微妙なニュアンスがあるのだろうけれど、どちらも「秋田市民市場」の訳としては少し違う気がする。
「Public Market」だと「公設市場」だそうだから不適切だし、「Akita-Shimin Market」じゃダメ?
※続きというか後日談はこちら
※由利本荘市本荘地区の道標についてはこちら
※英語表記に関する関連記事はこちら
※秋田市内で後に設置された別タイプについてはこちら
※2014年になっても、まだ統一されていない
※2018年にこの道標が1本だけ追加設置された。
先日行った津には、それがまったくなくて、迷子になるかと思ったが、秋田市には秋田駅前から山王周辺までや土崎港地区などに、たくさん設置されている。

同じデザインだが、緑色のものと茶色のものがある。信号機のボディ色同様、その場所の雰囲気に合わせて使い分けているようだ。
てっぺんに秋田市の花、サツキのイラスト(イラストについて)があるので、秋田市が設置したものだと思われる。
一部、施設名が変わってもそのままだったり、表示板が曲がってしまったりしたものもあるので、もう少しメンテナンスに力を入れてほしい気もするが、お客様へのもてなしの1つとしては、親切だと思う。
観光都市の弘前市だって、これほど多くはないはずだから。
そして、秋田駅自由通路「ぽぽろーど」周辺には、天井や壁に、青緑色の案内板が出ている。

これも秋田市が設置したのだろう。
ここで注目するのは、これらの英字表記。まずは、路上の道標

ところが、ぽぽろーどでは

「かんとうおおどおり」の部分は、日本語の発音なので、多少の表記違いはやむを得ないとして、「通り」を示す語が、「St.」と「Ave」で異なる。
他の地点も見てみると、

路上の道標は、すべての「○○通り」を「○○(St.)」と訳していた。
一方、ぽぽろーどは、

写真に写っていないものも含むと、竿燈大通り、広小路、中央通りが「Ave」、仲小路と川反通り(ってどこ?)が「St」と、同じ看板内でも使い分けていた。
そういえば中学生の頃、海外では、通りの方向が南北か東西かで「street」と「avenue」を使い分けていると聞いた記憶があるが、ぽぽろーどはそうではない、広小路・中央通り・仲小路とも並行しているのだから。
goo辞書(プログレッシブ英和中辞典)によれば、
「street」は「…街, …通り」だそうだ。
「avenue」は主にアメリカで「大通り, 本通り」を意味し、「米国の都市では縦横に交差する道路の一方をAvenue, 他方をStreetと呼ぶことが多い. New York市ではAvenueは南北, Streetは東西に走る道路を指す」そうだ。
これを踏まえると、ぽぽろーどで「Ave」とされているのは、いずれも大きな通りで、「St」は小さな道。
ということは、道標はイギリス式で、ぽぽろーどはアメリカ式ってこと?
イギリス人、アメリカ人、それ以外にも英語の案内を必要とする人はさまざまだから、万人が納得する表示は不可能だろうが、英語のネイティブの人がこの表示を見たら、どう思うだろうか?
などと考えて、秋田駅北側、今となっては影が薄くなってしまった東西連絡歩道橋「Weロード」。
2年前に自転車も通行できるように改装されたので、その後、新たな案内表示が設置された。ぽぽろーどのと同デザインだが、安っぽい。

拡大

あれ? こちらは広小路なのに「St.」だ。
ぽぽろーどより後に設置されたもので、これが最新版だと思われるので、市では「Ave」と「St」を使い分けるのをやめ、「St.」に一本化することにしたのだろうか。
ついでに、ほかの英語表記も見てみる。
5枚目の新国道の写真の道標の下段には、「秋大付属小・中学校」とある。
なお、正確には「秋田大学教育文化学部附属…」(付でなく附)で、幼稚園と特別支援学校も同じ敷地にある。
その英語は「Elementary & Junior High School Attached to Akita University」。なるほど。
一方、

ここは市道なので、道路管理者の秋田市が設置したものだと思われる。
旧「教育学部」が「教育文化学部」、旧「養護学校」が「特別支援学校」に変わったので、その部分を貼って修正している。
英語は「Faculty of Education and Human Studies Attached School and Kindergarten」。ふ~ん。
「秋田大学」が省略されてしまったが、学部名は大学側の公式な英名と同じだ。
門の前に立つ看板だから、大学当局に問い合わせたのかもしれないから、こっちがより正確な表現なのだろうか?
最後に、2枚目と6枚目のぽぽろーどの「市民市場」は「City Market Plaza」。
一方、道標は、

うーむ。
まず、どちらも日本語表示は「市民市場」だが、正しくは「秋田市民市場」。商店の協同組合が運営しているようだ。
「市民の台所」と言われるだけでなく、観光客も訪れる。露店市ではなく、商店街のように屋内にそれぞれが店舗を構える形態。
英語表記はどっちもどっちという気がする。
ぽぽろーどの「City Market Plaza」は、「市の市場の広場」?
「city」というと、自治体としての「市」、すなわち「秋田市営」の公設市場だと思われそうな気がするし、「plaza」が付くと屋外の露天市みたいに思われないだろうか。
一方、道標の「Akita Citizen's Market」は、「秋田市民のための市場」と、秋田市民でないと利用できないような印象がしてしまう(日本語の「“市民”市場」だって同じ理屈だけど)。うまく言えないけど、この場合は「市民」の英訳として「citizen」は適切でないように思う。
それに、現代では「citizen」という語には「市民」よりも「国民・公民」という意味合いの方が強いそうだ。
僕は英語は苦手だし、ネイティブの方なら分かる微妙なニュアンスがあるのだろうけれど、どちらも「秋田市民市場」の訳としては少し違う気がする。
「Public Market」だと「公設市場」だそうだから不適切だし、「Akita-Shimin Market」じゃダメ?
※続きというか後日談はこちら
※由利本荘市本荘地区の道標についてはこちら
※英語表記に関する関連記事はこちら
※秋田市内で後に設置された別タイプについてはこちら
※2014年になっても、まだ統一されていない
※2018年にこの道標が1本だけ追加設置された。