広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

羽越線を走るE6系

2013-06-23 21:01:52 | 秋田の季節・風景
秋田新幹線の新型車両「E6系」電車の新製投入が続いている。
通常、メーカーの工場ででき上がったJR東日本の新幹線の車両は、トレーラーと船を使って、仙台の新幹線総合車両センターへ輸送・納入される。
E6系も今まではそうだったが、9番目(量産先行車を含めて)の「Z9」編成からは、在来線の線路を使って輸送する「甲種輸送」で秋田車両センターへ直接納入する方法も行われるようになった。
「甲種輸送」は、車両をJR貨物による貨物列車の扱いで運ぶもので、JR貨物の機関車やハイブリッド車両(こちらこちら)が甲種輸送されるのを以前に紹介した。


新幹線と在来線では、レールの幅が違う(標準軌と狭軌)上、トンネルや橋、途中駅のホームなど構造物の幅が違う(在来線のほうが狭い)から、フル規格の新幹線車両を在来線の線路を使って輸送することは、物理的にできない。
ところが、レール幅を広げただけで構造物は在来線規格のミニ新幹線では、その車体幅は在来線と同じなので、「台車」を履き替えれば在来線で甲種輸送できる。ミニ新幹線車両E6系ならではの納入方法ということになる。
なお、E3系の時も、一部は甲種輸送されたが、わずかな幅の違いで北陸本線のどこかの駅のホームに車体がこすれて傷が付いたことがあったかと思う。また、秋田に到着する日は天候が悪い日が多く、見に行かなかった。

甲種輸送の予定は「鉄道ダイヤ情報」という愛好家向けの雑誌(大きな書店ならたいてい置いている)にダイヤが掲載されるので一般人でも知ることができるし、今はネットで情報が広がる。
今回は、神戸の川崎重工で完成したE6系が、東海道線、上越線、羽越線などを通って足掛け3日かけて秋田まで運ばれた。
5月31日発と6月21日発の2回行われ、いずれも神戸を金曜日の午前中発、秋田に日曜日の昼過ぎに到着するダイヤ。週末に近畿・中京・首都圏と大都市を、斬新なデザインの車両が走行するとあって、狙って見た人・たまたま目にした人、それぞれ多くの人々に注目されたようだ。

6月2日着は「Z9」編成だったが僕は見に行かなかった。
今日23日着は「Z11」編成が予定通り輸送されているとのネット上の情報を得て、羽越本線・羽後牛島-秋田間の住宅地の線路沿いで待つことにした。天気もほぼ晴天。
※抜けている「Z10」編成は日立製作所製(E3系には日立製車両はなかった)で仙台に搬入されたとのことだが、もう10編成を突破してしまった。

どこで情報を得たのか、何組かの親子連れなどが線路沿いに出ていた。
羽後牛島駅で数分間停車するダイヤが組まれている。直前に上りコンテナ貨物列車があるので、羽後牛島で交換するようだ。
コンテナが通過した後、再び踏切が閉まり、羽後牛島を発車したであろう機関車の警笛が聞こえ、やがてEF81形電気機関車のヘッドライトがゆっくりと近づく。(通常の列車よりは遅いが、思ったよりは速い)
「EF81 633」牽引
JR貨物所有の初期型のEF81は、昨年、改番が行われたので、「633」号機は元「33」号機。
逆光気味の場所で、古い機関車と新しい車両の明暗差、そもそも前からは機関車に隠れてよく見えないけれど、普段は走らない場所を新幹線が走っていると思うとすごいし、どこを走ってもE6系は目立つ。

見に来ていた子どもたちは「スーパーこまちだよ。すごい!」と騒ぎ、機関車はサービスで「ピッ!」と軽く警笛を鳴らしてくれていた。
鼻先がだいぶ汚れていますな

連結部に注目
新幹線と在来線(の機関車)では連結器が違うため、間にアダプターのような「中間連結器」を挟んでいるのだろう。
ホースもつながっていて、これはブレーキ用。自走しないものの、止まる時はE6系側でもブレーキが作動するようだ。

 側面はピカピカ
最近の新幹線は、車体間の連結部がすっぽりと「幌」で覆われていてE6系もそうだけど、輸送中は幌がない。
それに車輪の辺りもスカスカして見える。上記の通り、本来とは違う仮の台車を履いていて、レール幅は仮台車の方が狭いので、その分だけ台車が奥まった位置にあって引っ込んで見えるのだ。
さらに、E6系では台車部分も防音のため覆われているそうだが(今日まで気付かなかった! 後の写真参照)、その覆いもない。
パンタグラフは黄色いテープでぐるぐる巻きにされていた。

後部連結器もむき出し。同様に中間連結器やホースが付いている


そのまま歩いて秋田駅まで行ってみたら、到着したE6系Z11編成は2番線に入っていて、EF81が切り離されたところだった。
楢山の秋田車両センターへ入るには、進行方向が変わるので、反対側にディーゼル機関車「DE10 1187」が連結された。このDE10はJR東日本の所有。この段階でJR東日本に引き渡されたということなのかな?

この時、反対側の12番線には、14時10分発の「スーパーこまち12号」が入線している(Z3編成だった)。だから、
2本のE6系が秋田駅の両端に!
日曜日でもあり、自由通路にはスーパーこまち見物の人が多かったが、2番線にもE6系がいて、それが何を意味するか分かっただろうか。


12番線で撮影しているのはほとんど女性だ

仮台車。番号が振られている

スーパーこまち12号が発車。台車(車輪)が覆われて見えない

その後、11番線に「こまち29号」として到着していたE3系が車両センターへ引き上げた直後、2番線のZ11編成も車両センターへ向かった。

車両センターで台車を正式なものに履き替え、幌など装備を施し、近々営業運転に入ることだろう。

E6系は24編成(24本)投入される計画なので、あと13編成が未完成。そのうち何本かは、また甲種輸送されるかもしれない。



E6系が増備される一方でE3系は減っていくわけで、E3系の量産先行車で特徴的な外観だった「R1編成」もついに引退することが、先週JR東日本秋田支社から発表された。
それによれば、「他のE3系車両とはライトの位置や、先頭部分の形状が異なることから、鉄道ファンの間では「R1」と呼ばれ親しまれておりました。」とのこと。

7月20日(土)の秋田12時57分発「こまち36号」が、R1編成のこまちとしての最終運行で、秋田駅でセレモニーなどを行うという。(実際には、東京到着後折り返し「やまびこ215号」が最終運行になると思われる)
引退後はどうなるのだろうか。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする