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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

柏餅の街・本荘?

2018-05-24 00:23:18 | 各地お土産・食べ物
端午の節句の和菓子「柏餅(かしわ餅)」。
一晩明けた5月6日以降は、扱う店がほとんどなくなって、とたんに入手困難になるのが一般的。
他の季節・行事限定のお菓子の多くも似たような状況で、それが季節感を大切にする日本の文化ではあるのだろうけど。

ところが、通年は無理にしても、5月下旬の現時点においてなお、多くの菓子店でかしわ餅が手に入る土地がある。
秋田県由利本荘市(旧・本荘市エリア?)である。

本荘では、ひなまつりやお盆などのように、月遅れで端午の節句をやるというわけではないはず。【2022年6月3日補足・旧暦の5月5日は比較的重視されるようで、その日までは扱う店が多いようだが、それ以降でもしばらく売る店があるようだ。】
ただ単に、少し遅い時期までかしわ餅を作って売っているだけだと思う。


このことに関して、こんな話を複数の筋から聞いた。
「本荘では、カシワの新しい葉が出る頃、山へ葉を採りに行って、それでかしわ餅を作る。」
今はともかく昔は、お菓子屋さんも一般の家庭も、そうしていたのだとか。

西日本方面ではサルトリイバラの葉を使うそうだけど、秋田ではその名の通りカシワの葉を使う。
ところが、新暦の5月5日の秋田では、まだ新芽が開いていない。だから、端午の節句は終わってしまったけれど、“天然物”の葉で“旬”のかしわ餅を作ろうということなんだろうか。

本荘と多少のゆかりがある我が家は、そんな話を知っているものの、なかなか食べる機会はなく、また最近は他地域同様輸入もののカシワの葉っぱを使ったかしわ餅が多くなっているらしく(そして民家では作らなくなって)、伝説めいた話になっていた。

このほど、久しぶりに本荘のかしわ餅を、複数食べることができた。葉っぱは新しいものではないような気がしたけれど。
2018年の今も、5月23日でも本荘ではかしわ餅が間違いなく売られているのだ!


※僕は餅&こしあんが好きなので、かしわ餅は大好きです。と言っても、本当のかしわ餅がどういうものかは知りません。

由利橋近くの「勇助堂」。
昔はみそあんなどもあったらしいが、今はこしあんだけだそう。
地元の菓子店の組合(?)のツイッター@annkoyadesuによれば、2014年には草餅のかしわ餅も製造されていて、6月5日頃まで販売との情報あり。
外観は一般的

あんをはさんだ平たい餅を半分に折っているようだ
大きさは今どきの菓子店のかしわ餅としては、標準サイズでしょう。
餅の分量が若干多め、餅生地が軽めでふわっとした感じ。あんこは甘すぎず、しょっぱくもない。


飛鳥大橋近く、イチジクのお菓子が有名な「吉野屋菓子舗」。
本荘周辺ではスーパーにも納入されており、イオンスーパーセンター本荘店では、産直コーナーでなくパン・和生菓子コーナーで、3個入りと5個入りのパックを置いていた。
パック入りのせいか、葉っぱ表面が汗をかいている


やはり標準サイズだけど、丸めて作ったようで形状はコロンとしている。
こちらは餅が濃密な食感。あんこは甘すぎず、しょっぱくもない。
こちらは原材料名表示を確認でき「餅粉(国産)、練りあん」のみ。賞味期限は2日間のようだけど、「純餅米粉使用の為、早く固くなり易いので」早く食えとの注意書き。
かしわ餅は、うるち米の粉(上新粉)を使うのが標準的のようだけど、これはもち米だから食感が独特なのかな。

ツイッター@annkoyadesuによれば、吉野屋菓子舗では、新しい葉を使うこともあり、その在庫がなくなるまでは製造を続けるそうで、2014年は「6月一杯ぐらいは、作る」とのことだった。


結論としては、どちらもおいしいけれど、秋田市のかしわ餅と比べても際立った違いは分からなかった【24日補足・それぞれ同じじゃないのは分かるけれど、甲乙つけ難いということ】。これらと秋田市のいくつかの店のかしわ餅から、1個だけ選んで食べろと言われたら、迷う。
なお、飛鳥大橋近く川口の「かまた菓子舗」の前には「かしわ餅」の表示が掲出されていた。イオンスーパーセンターでは、「日進堂菓子舗」の団子なども扱っているが、そのかしわ餅は置いていなかった。

【24日追記】葉は、勇助堂が裏面を外側、吉野屋は表を外にして包んでいる。みそあんなど複数種を製造する菓子店では、葉の裏表を変えることで識別しやすくする店もあり、見栄え以外には裏表どっちでも違いはないのかもしれない。でも、植物学的には裏表でロウ物質のクチクラ層や気孔の数が違うだろうから、保存性や汗のかきやすさに何らかの違いが、実はあったりして?!


由利本荘や隣のにかほでは、イチジクの甘露煮が著名で、最近は「シュークリームロード」と銘打ったキャンペーンも定着。
かしわ餅については、別段そういった取り組みも名物だという話もないようだけど、端午の節句後にもかしわ餅を売る街なんてほかにあるだろうか(全国的には、店単位でちらほらあるみたいだけど)。「本荘はかしわ餅に思い入れがある街」と言えるのではないだろうか。
【30日追記】秋田市のたけや製パンでは、5月下旬時点でもかしわ餅を作ってはいるようだ。ただ、それを発注して販売するスーパーなどは、とても少ない。

あと、本荘では笹巻き(全国的には「ちまき」)もわりと食べられるようだ。巻き方がちょっと独特なのかな。
本荘の餅菓子について、続きます
本荘のおはぎについて

※参考までに2021年の秋田市内のスーパーの惣菜コーナーの柏餅
2022年5月3日の本荘の柏餅状況。やはり柏餅の街だと確信した。
コメント (2)
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