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秋田空港リムジンに路線車

2024-02-09 20:01:03 | 秋田のいろいろ
秋田市街地(県庁市役所前、秋田駅西口など)と秋田空港を結ぶ、秋田中央交通の空港リムジンバス。
その車両は、同社の貸切バスと同じ車種・外観(塗装)の大型バスを用いて、秋田県内完結の高速バスと共通運用使用されている(2011年の記事)。それらだけでやり繰りがつかないこともあるのか、仙台行き高速バス・仙秋号用の車両(いわゆる緑こけし塗装【3月3日追記・青こけし塗装も】)が充当されることも、それなりにある。

当ブログのコメントで、2023年10月1日に、一般路線用の中型バス(緑色塗装)が、「秋田空港」という行き先表示を出して、秋田駅東口で待機していたという目撃情報をいただいていた。何らかの事情で路線車が駆り出されたのか、あるいは東口を発着するリムジンは今はないので誤表示かと思っていた。いずれにしてもレア表示で、そういうコマが用意されていることを初めて知った。
その後、注意深く見ていたわけではないが、自分で見る機会はなかった。


今年2月6日。中央交通公式サイトに「秋田空港リムジンバスをご利用のお客様へ」が掲載された【25日補足・各バス停にも同内容の掲示がある】。
通常の「座席定員制の専用車両」でなく、「運用の都合上、一般路線バス(緑色車両)で運行する場合がございます。」とのこと。トランクがないので荷物は車内持ちこみで、立席になることもあるとしている。

確かめてみると…
秋田駅西口
空港へ行くバスと、空港から来たバスが1台ずつ入線。どちらも従来通りの車両。
羽田便に接続する空港行きは、数十人が乗車しており、路線車だったら座れない。

ほかの便は、
!!!
小田急中古、大型ノンステップ・いすゞエルガ。秋田営業所1004号車。
正面と後部の行き先表示は、系統番号なし「秋田空港 AKITA AIRPORT」。側面には経由地も表示されていた(昨秋の記事のコメントも参照)。
「空港リムジン」「路線バス」の紙を掲出しているが、これは従来の車両でも実施している。どちらの車にしても、貸切・高速/一般路線との誤乗防止対策だろう。

さらに別の便。
空港発秋田市内行き
中型ノンステップ・日野レインボー。秋田営業所1640号車。
2023年11月頃に導入されたばかりの、新車も登板。
ちなみに、同時に臨海営業所には1639号車が導入されたが、そちらはいすゞエルガミオ。
1639号車
共通車種なので、エンブレムやメーカーシール以外は見分けがつかない。

空港発の行き先表示は社名。空港行きはあるクセに「秋田駅西口・秋田市内」のコマは用意していなかったのか(だとすればこの会社らしい)、あるいはそれを用意してはいるが表示してしまうと、一般路線バスとまぎらわしいため、あえて使っていないか(だとすればこの会社にしては親切)、どちらかだろう。【14日追記・路線車の表示器にも「秋田駅西口・秋田市内(英字あり)」の表示が用意されており、秋田空港出発時点では表示しているようだ。上の写真では、それを使わずに社名表示にしていたか、運行途中で社名表示に切り替えていたか、どちらかになる。】

ということで、従来の車両とともに、一部の便では大型・中型問わず、一般路線車も使われていた。
2日にわたって確認した限りでは、同じ便であっても、2日とも従来車、2日とも路線車、1日は従来車・もう1日は路線車と、まちまちであった。
ただし、羽田便に接続するバスは従来車が充当され、路線車が充当されるのは、伊丹・中部国際・札幌といった定員100人に満たない小型機(DHC-8やエンブラエル170)就航路線に接続するバスなのかも、という感じがした。※推測であり、確証はありません。また、小型機接続でも従来車が充当されることもありました。【末尾の追記の通り、羽田便接続便で従来車と路線車が1台ずつ充当され、乗客は全員が従来車に収まるというケースもあった。】
そんなわけで、見た限りでは立ち客はいなかった。【9日補足・従来車両は前にしかドアがないので前乗り・前降り方式だが、路線車両では一般路線と同じく中ドアから乗車させていたようだ。整理券・ICカードタッチの都合もあるので。】


どういう事情で、路線車がリムジンに入ることになったのだろう。昨今の運転士不足はあまり関係なさそうだし、「運用の都合上」としているし…と思っていたら、2月9日付で公式サイトに「高速 湯沢秋田線 一部運休のお知らせ【緊急】」がアップされた。
秋田市と横手・湯沢を結ぶ、羽後交通と共同運行する高速バスのうち、現在は土日祝1往復だけを中央交通が担当している。それが2月17日から運休するとのこと(羽後交通担当2往復は継続)。その理由は「当社におきまして故障車両の修理のめどが立たないことから」。

上記の通り、県内高速とリムジンは車両が共通運用だから、リムジンの車両変更もこれが理由だろう。
これらの車両は、中古車を中心に、新車がちらほらというラインナップ。空港リムジンバスのほうが必要台数は多いし、空港利用者のアクセスを欠くわけにはいかないので、湯沢線を運休することにしたのだろうか。


考えてみれば、秋田空港リムジンバスを運行するのは、なかなか大変だと思う。
多くの地方空港同様、航空機1便に対して、バス1便が対応したダイヤになっている(何分間隔で運行というダイヤではなく、航空ダイヤに連動して毎月バスダイヤも変わる)。
そして、大型機だろうが小型機だろうが、飛行機が1機発着すれば、その分だけバスを走らせないとならない。ただし、複数の航空機が同時刻~15分程度の間隔で発着する時は、バスは1本にまとめるようだ(20分空くと、バスは2本になる)。
さらに、航空機利用客のうちどれだけがバスに乗るかは予想が難しく、1本に対してバスは2台以上必要になることもある。実際には、必ずバス2台を割り当てているようで、乗客が多くない時は、空港行きでは1台が秋田駅に立ち寄らず木内前からの運行(=木内前以降から乗るとガラガラのバスに乗れることが多い)、空港発では1台は回送で車庫に戻るという運用になっているようだ。※今回の路線車充当では1便につき1台しか入っていないかもしれない。
航空ダイヤの時間の偏りもあるし、最近は航空機材が小型化して便数が増えている感じもする、運転士も車両も、確保とローテーションに苦労するのではないかとは考えていた。


利用者としては、快適性で難があることになってしまう。札幌駅から定山渓温泉まで1時間以上、一般路線バスに乗るような事例もあるけれど。
秋田空港に一般路線バス車両が乗り入れるのは初めてではない。1990年代までは、リムジンとは別に(航空便と接続しない)、牛島旧道経由で秋田駅と空港を結ぶ路線があった。今は、国際教養大学と空港を結ぶ路線(空港線?)が、ごくごく限られた日に運行されている。

ちなみに、弘南バスの弘前市と青森空港を結ぶリムジンバス(「空港バス」と呼ぶようだ)も、貸切・高速車が使われるが、新型コロナウイルス感染症流行当初の緊急事態宣言中に、「弘前⇔青森空港」表示の中型路線バスで運行されたことがあった。


【27日追記】午後のボーイング767の羽田行きに接続する空港行き便で、専用車と大型路線車が1台ずつ充当されるケースがあった。乗客は全員が専用車に乗り、路線車が「回送」表示(「空港リムジン」の紙は掲出)で追随するという、おそらくこれまではなかった形。
【3月7日追記】高速湯沢線は、3月9日から運行を再開。車両不足が解消されたのか。
一方で、「深刻な乗務員不足」を理由に、2024年4月から当面の間、全便運休(休止とも表記)することになった。
※この直後、絵入りご当地ナンバープレートの車両が登場した。

【3月27日追記】3月下旬の平日午後の羽田行き・ボーイング767便に接続する空港行きは、路線用の中型1台、大型1台で運行されていた。先行の中型の乗車率は見られなかったが、後続の大型は数人が乗る程度だった。

【5月28日追記】5月20日付で、公式サイトに「秋田空港リムジンバスをご利用のお客様へ(2024/5/20現在)」が掲載。「一般路線バス(緑色車両)で運行する場合、一部運行経路を変更いたします。(秋田市内~国道13号線~わだ方面~秋田空港) ※あきたびラインを運行しません。」とのこと。
途中バス停はないので、大きな影響はないと思われるが、5月20日以前はどうしていたのだろう。
コメント (10)
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