芸能人が路線バスに乗って出かける番組(特にT光氏が、Rっちゃんとゲストを引き連れ、バスの中で寝て、好き勝手に行動するだけのテレ朝の番組)を(見たくもないのだが)見ていると、こんなシーンが時々ある。
「押す」ほうじゃなく「光る」ほうを押してしまう。
秋田のバスに乗っていても、同じことをして、あわてて押し直す人がたまにいる。
先日など、光るほうばかり、何度も一生懸命押して、押しているのにチャイムが鳴らないと、さらにあわてる人もいた。高齢者コインバス事業の証明書を持っていたから、まったくバスに乗らない人ではなさそうだが。
※秋田中央交通などでは、個別のボタンがほんとに壊れていることもたまに(? 一昨年は2度指摘させていただいたが、最近は遭遇してないな)ある。正しくボタンを押しても反応がない時は、あわてずほかのボタンを押してみましょう。
外国では、ランプがなく、「STOP」と書かれた赤くて四角い押しボタンだけの降車合図ボタンが普通だそうだが、ここ数十年の日本のバスでは、上部が光って、下部が押しボタンなのは常識(窓枠配置により横置きもあり)。我々バスに乗り慣れた者には、上を押してしまう心理が理解できなかった。
ただし、日本の降車ボタンは、現状で主に2メーカーあり、それぞれ時代でデザインが変わったり、同時期に複数デザインを製造したりしてきた。他社の中古車両を導入する地方バス会社では、車によってボタンがばらつくこともあり、不慣れな人が悩んでしまうのは分からなくもない。
上の写真(オージ「WS-260」)のような最近の降車ボタンは、ボタンの枠が黄色、押す部分がオレンジ色、点灯部は消灯時はほぼ黒く見えるので、オレンジ色がいちばん目立つはず。
どうしてそこを押さずに、目立たない黒いところを押すのか。
以下、考察。参考サイト:「つぎとまります」http://bus-kun.my.coocan.jp/tsugitoma/index.htm
昔も取り上げたが、光る降車ボタンとしてはこれ以前にも存在したようだが、全国的に広まって圧倒的シェアを誇ったのがこれ。※以降「初代」とします。
(再掲)オージ「WS-20」
平成の初め(※)まで、このボタンが全国的に主流だった。
※「平成の初めまでに『製造されたバスに取り付けられた』」という意味。後でボタンを取り替えるようなことはまずやらないので、物持ちのいいバス会社ではその後20年以上は見られた。今も残っている所もあろう。秋田市内ではなくなっているはず。
その後継が出た。「WS-220」。※以降「2代目」とします。
(再掲)横向き仕様
秋田市営バスでは、1992年度導入車両(初のオートマ車や秋田八丈塗装ワンロマ車など)から採用。
WS-220は、おそらく降車ボタン史上、いちばん大きいボタンだと思う。冒頭のWS-260など現行タイプは、WS-220の8割くらいの面積・容積か。
WS-20と比べると、非常に軽い力で押すことができ、画期的に思えた。
ただ、それは欠点でもあり、設置位置によっては、袖や肩や荷物が触れただけで押されてしまうことがあった。そのため、あえて押しづらくするカバーを付けたり、場所ごとに作りが違う別のボタンを使い分けたりするようになった。
(再掲)これもオージ製
この時から、ボタンの“多様化”が進んだのかもしれない、それにバリアフリーやユニバーサルデザインもあり、「押しやすく、かつ間違って押しにくい」ものへ進化してきた。のだが、それを正しく「押せない」人もいる…
この2代目WS-220の登場が、光るところを押してしまう人の原因ではないだろうか。
まず、押し間違うのは、高い年齢層の人が多いように見受ける。
その人たちが、子どもの頃に乗ったバスの降車ボタンは、(光らなかったボタンもあったかもしれないが)初代WS-20。
2代目WS-220が登場した平成初期には成人しており、芸能界で活躍したり自家用車に乗るようになったりでバスに乗る機会が減り、ボタンが変わったのを知らないもしくは印象にないのだと思う。
そして、光る初代WS-20は、押すところは白くて丸いだけ。その上の車体の壁や窓枠に「お降りの方はこのボタンを押してください」というプレートが貼られていた。
ところがWS-220以降では、押す部分の面積が広くなり、その押すところ自体に「お降りの~」と表示されるようになった(WS-220になってしばらくは、プレートも併せて貼っていた車もある)。
これが、初代ボタンのみを知る人には、単なるプレートが形を変えた部分=押しても反応しないと認識させ、ここは押す場所でないと思わせるのではないか。
さらにもう1点。
バスに限らず、何かの「押すボタン」をイメージしてほしい。例えば絶対に使われてほしくない「核のボタン」。※核のボタンの実態には諸説あるようですが、イメージとして。
その形は「丸」「円形」ではないでしょうか?
「ボタン」といえば「丸い」という固定観念が、日本人? 人間? にはあるのではないか。(だけど、家電のリモコンボタンや玄関インターホンのボタンは四角が多いな…)
だから、降りる時に丸い部分を探すのだが、見つからず、やむなく、文字が書いていない黒い部分へ指が伸びてしまうのではないか。
以上、つまりは昔の経験による先入観と固定観念により、どこを押せばいいのか分からなくさせていると推測する。
冒頭の写真のWS-260では「お降り~」の文字だった部分が、最近のWS-280では「おります STOP」に指で丸い部分を押すアイコンに変わっている(秋田ではぐるるの新車に設置)。
でも、小さくて見づらく、上記のような先入観や固定観念には打ち勝てない気がする。降車ボタンのバリアフリー・ユニバーサルデザインは、この点では未達成と言えるかもしれない。
オージに次ぐ降車合図ボタンメーカーが、レシップ。
秋田中央交通では中古車でもほぼ見かけないが、羽後交通では新車に採用しているようだ。その最新版。
レシップホームページより
オージWS-260、WS-280と似た雰囲気。オージよりさらに若干小さく、個人的には押しにくいと思った。
ところで、レシップでは別にこんなボタンも並行して製造している。
KSP-400
10年以上前から存在したが、当初は枠は白かった。比較的大振りなサイズ。
秋田中央交通では、一般路線車では中古車で1台は確認しているが、高速バスでは自社による新車購入車に設置されている。2012年頃買った仙秋号用「919」は黄色い枠のこれ。
(再掲)バスまつり展示にて
このボタンは、光る部分のカバーが、下まで回りこんでいて、押す部分以外全部が光りそうな(実際には上部しか光らない)構造。最初見た時は、なんか仰々しくてヘンに感じた。
しかし、改めて見ると、押す部分はまん丸。直感的に丸いほうに手が伸びやすいように思える。ひょっとしたら、これがいちばん押され間違いにくいボタンかも?! これでも、面積が広い光るほうを押してしまう人はいるでしょうけれど…
【5月31日追記・↑レシップのこのタイプの欠点について】中央交通の中古車のボタンを見たところ、2つの欠点に気付いた。1つは、文字がはがれてしまうこと。押される頻度が高い位置のボタンは、ほぼ文字が消えていた。オージ製ではそのようなものは見たことがなく、文字の印字方法が違うようだ。もう1つは、点灯部の透明度が高いのか、光源のLEDランプの粒が強く見えてしまい、「とまります」の文字がまぶしくて見づらいこと。なお、近年の製品では、とまりますを反転表示にして見やすくする改良がされているそうなので、ボタン部分の文字も違っている可能性もある。
レシップさん、ライバルのオージさんにも、さらに使いやすい降車合図ボタンを追求していただきたい。
乗客の分かりやすさ、(直前での急停車や押せなくてパニックになった客が立ち上がることなどによる)車内事故防止、乗務員の負担軽減の点からも、改善の改善の余地があるとも言える。日本バス協会や国土交通省、さらに各バス会社も協力して。
Rっちゃん 「次のバス停で降りますよ。T光さん起きてください。(ゲストの)○○さん、(降車合図の)ボタンを押してもらえますか?」
ゲスト 「私、普段バスに乗らないから、押してみたかったんです!(or 押すの何十年ぶりかな~)」
とボタンに手を伸ばすも、押したのは、下の写真の赤矢印の所。
そこじゃない!! ※指をかけているところが正しい場所。ゲスト 「私、普段バスに乗らないから、押してみたかったんです!(or 押すの何十年ぶりかな~)」
とボタンに手を伸ばすも、押したのは、下の写真の赤矢印の所。
「押す」ほうじゃなく「光る」ほうを押してしまう。
秋田のバスに乗っていても、同じことをして、あわてて押し直す人がたまにいる。
先日など、光るほうばかり、何度も一生懸命押して、押しているのにチャイムが鳴らないと、さらにあわてる人もいた。高齢者コインバス事業の証明書を持っていたから、まったくバスに乗らない人ではなさそうだが。
※秋田中央交通などでは、個別のボタンがほんとに壊れていることもたまに(? 一昨年は2度指摘させていただいたが、最近は遭遇してないな)ある。正しくボタンを押しても反応がない時は、あわてずほかのボタンを押してみましょう。
外国では、ランプがなく、「STOP」と書かれた赤くて四角い押しボタンだけの降車合図ボタンが普通だそうだが、ここ数十年の日本のバスでは、上部が光って、下部が押しボタンなのは常識(窓枠配置により横置きもあり)。我々バスに乗り慣れた者には、上を押してしまう心理が理解できなかった。
ただし、日本の降車ボタンは、現状で主に2メーカーあり、それぞれ時代でデザインが変わったり、同時期に複数デザインを製造したりしてきた。他社の中古車両を導入する地方バス会社では、車によってボタンがばらつくこともあり、不慣れな人が悩んでしまうのは分からなくもない。
上の写真(オージ「WS-260」)のような最近の降車ボタンは、ボタンの枠が黄色、押す部分がオレンジ色、点灯部は消灯時はほぼ黒く見えるので、オレンジ色がいちばん目立つはず。
どうしてそこを押さずに、目立たない黒いところを押すのか。
以下、考察。参考サイト:「つぎとまります」http://bus-kun.my.coocan.jp/tsugitoma/index.htm
昔も取り上げたが、光る降車ボタンとしてはこれ以前にも存在したようだが、全国的に広まって圧倒的シェアを誇ったのがこれ。※以降「初代」とします。
(再掲)オージ「WS-20」
平成の初め(※)まで、このボタンが全国的に主流だった。
※「平成の初めまでに『製造されたバスに取り付けられた』」という意味。後でボタンを取り替えるようなことはまずやらないので、物持ちのいいバス会社ではその後20年以上は見られた。今も残っている所もあろう。秋田市内ではなくなっているはず。
その後継が出た。「WS-220」。※以降「2代目」とします。
(再掲)横向き仕様
秋田市営バスでは、1992年度導入車両(初のオートマ車や秋田八丈塗装ワンロマ車など)から採用。
WS-220は、おそらく降車ボタン史上、いちばん大きいボタンだと思う。冒頭のWS-260など現行タイプは、WS-220の8割くらいの面積・容積か。
WS-20と比べると、非常に軽い力で押すことができ、画期的に思えた。
ただ、それは欠点でもあり、設置位置によっては、袖や肩や荷物が触れただけで押されてしまうことがあった。そのため、あえて押しづらくするカバーを付けたり、場所ごとに作りが違う別のボタンを使い分けたりするようになった。
(再掲)これもオージ製
この時から、ボタンの“多様化”が進んだのかもしれない、それにバリアフリーやユニバーサルデザインもあり、「押しやすく、かつ間違って押しにくい」ものへ進化してきた。のだが、それを正しく「押せない」人もいる…
この2代目WS-220の登場が、光るところを押してしまう人の原因ではないだろうか。
まず、押し間違うのは、高い年齢層の人が多いように見受ける。
その人たちが、子どもの頃に乗ったバスの降車ボタンは、(光らなかったボタンもあったかもしれないが)初代WS-20。
2代目WS-220が登場した平成初期には成人しており、芸能界で活躍したり自家用車に乗るようになったりでバスに乗る機会が減り、ボタンが変わったのを知らないもしくは印象にないのだと思う。
そして、光る初代WS-20は、押すところは白くて丸いだけ。その上の車体の壁や窓枠に「お降りの方はこのボタンを押してください」というプレートが貼られていた。
ところがWS-220以降では、押す部分の面積が広くなり、その押すところ自体に「お降りの~」と表示されるようになった(WS-220になってしばらくは、プレートも併せて貼っていた車もある)。
これが、初代ボタンのみを知る人には、単なるプレートが形を変えた部分=押しても反応しないと認識させ、ここは押す場所でないと思わせるのではないか。
さらにもう1点。
バスに限らず、何かの「押すボタン」をイメージしてほしい。例えば絶対に使われてほしくない「核のボタン」。※核のボタンの実態には諸説あるようですが、イメージとして。
その形は「丸」「円形」ではないでしょうか?
「ボタン」といえば「丸い」という固定観念が、日本人? 人間? にはあるのではないか。(だけど、家電のリモコンボタンや玄関インターホンのボタンは四角が多いな…)
だから、降りる時に丸い部分を探すのだが、見つからず、やむなく、文字が書いていない黒い部分へ指が伸びてしまうのではないか。
以上、つまりは昔の経験による先入観と固定観念により、どこを押せばいいのか分からなくさせていると推測する。
冒頭の写真のWS-260では「お降り~」の文字だった部分が、最近のWS-280では「おります STOP」に指で丸い部分を押すアイコンに変わっている(秋田ではぐるるの新車に設置)。
でも、小さくて見づらく、上記のような先入観や固定観念には打ち勝てない気がする。降車ボタンのバリアフリー・ユニバーサルデザインは、この点では未達成と言えるかもしれない。
オージに次ぐ降車合図ボタンメーカーが、レシップ。
秋田中央交通では中古車でもほぼ見かけないが、羽後交通では新車に採用しているようだ。その最新版。
レシップホームページより
オージWS-260、WS-280と似た雰囲気。オージよりさらに若干小さく、個人的には押しにくいと思った。
ところで、レシップでは別にこんなボタンも並行して製造している。
KSP-400
10年以上前から存在したが、当初は枠は白かった。比較的大振りなサイズ。
秋田中央交通では、一般路線車では中古車で1台は確認しているが、高速バスでは自社による新車購入車に設置されている。2012年頃買った仙秋号用「919」は黄色い枠のこれ。
(再掲)バスまつり展示にて
このボタンは、光る部分のカバーが、下まで回りこんでいて、押す部分以外全部が光りそうな(実際には上部しか光らない)構造。最初見た時は、なんか仰々しくてヘンに感じた。
しかし、改めて見ると、押す部分はまん丸。直感的に丸いほうに手が伸びやすいように思える。ひょっとしたら、これがいちばん押され間違いにくいボタンかも?! これでも、面積が広い光るほうを押してしまう人はいるでしょうけれど…
【5月31日追記・↑レシップのこのタイプの欠点について】中央交通の中古車のボタンを見たところ、2つの欠点に気付いた。1つは、文字がはがれてしまうこと。押される頻度が高い位置のボタンは、ほぼ文字が消えていた。オージ製ではそのようなものは見たことがなく、文字の印字方法が違うようだ。もう1つは、点灯部の透明度が高いのか、光源のLEDランプの粒が強く見えてしまい、「とまります」の文字がまぶしくて見づらいこと。なお、近年の製品では、とまりますを反転表示にして見やすくする改良がされているそうなので、ボタン部分の文字も違っている可能性もある。
レシップさん、ライバルのオージさんにも、さらに使いやすい降車合図ボタンを追求していただきたい。
乗客の分かりやすさ、(直前での急停車や押せなくてパニックになった客が立ち上がることなどによる)車内事故防止、乗務員の負担軽減の点からも、改善の改善の余地があるとも言える。日本バス協会や国土交通省、さらに各バス会社も協力して。
「バスで子供より先に降車ボタンを押して幼子のささやかな夢を壊す奴。」と言うギャグを思い出しました。
どういう訳かボタンがあると、特に男の子は押したがりますよね。
ダチョウ倶楽部の「押すなよ。 絶対押すなよ。」というギャグもありますし。
川崎市営バスでは普通の風景ですが秋田では子供の姿をバスで見掛けることはすっかりレアな風景となってしまいました。
秋田のバスはすっかり高齢者のもの。乗り方を知らない子もいるでそう。若い人にもっと乗ってもらえるようにしないと、先行きは暗いです。