広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

キリン力水

2022-11-04 17:40:33 | 各地お土産・食べ物
静岡市へ行った続き(旅程の順通りではありません)。
2022年9月下旬の台風で、大きな被害と断水が生じた、清水区興津(おきつ)に宿泊した。「ちびまる子ちゃん」の舞台の旧・清水市中心部からは離れているが、平成の大合併以前からの清水市エリア。国のカンキツ類の試験場がある(過去の記事)。

JR興津駅からちょっと歩いた(清水駅・興津駅などから送迎バスあり)、国道1号と太平洋(駿河湾)の間にある、「駿河健康ランド(最近は“するけん”と略すらしい)」に宿泊。
巨大な健康ランド・スーパー銭湯(一部温泉)に巨大なビジネスホテルが一体化した、東北などにはない規模の施設。大きな風呂に入りながら気楽に滞在できるので、何度か利用している。
【4日補足・駿河健康ランドは2002年オープン(運営会社は甲府にある)。ちびまる子ちゃんに「まるちゃんヘルスセンターに行く」という話があるが、それはここではないことになる。】

朝。11階廊下の窓から
すぐ下が興津川(二級河川)の河口。上流で台風の被害が大きかったようだが、この辺りはどうだったのだろう。河口すぐが、国道1号・新興津川橋、その上流に浦安橋とJR東海道本線。
そして、国道の奥にはさった峠(昔の記事)と富士山がちらり。10月としては雪が多めで、かつ、くっきりと見えた。

本題は、ここの自動販売機で売られている飲み物。
自販機は玄関~健康ランドゾーンに多く設置される。ハーゲンダッツやヤクルトなど珍しいベンダーも。コカ・コーラは、通常の缶・PETボトルのものはたしかなくて、瓶専用の自販機があった。
ここでは、現金のほか、ルームキーのバーコードを読ませて、チェックアウト時の一括精算もできる(ただし瓶コーラは現金のみ)。自販機、あるいはベンダー側が対応するかどうかもあるのだろう。そういえば、もう10年以上前から、キーも自販機も変わっていないように見えるのだが、システム更新などしないのか。

宿泊フロア各階には、キリンの自販機。そこに入っていたのが、
キリンビバレッジ「力水(ちからみず)」 300ml 150円(メーカー希望小売価格は145円)
懐かしい! と思うとともに、こんなのだったっけ? とも感じた。
なお、現行パッケージは3種類あり、間違い探しのイラスト付き。

製造所固有記号によれば、製造は静岡市の南隣の焼津市にある「株式会社ニッセー」。
ちなみに、JR東日本の駅のコンビニNewDaysのカフェオレ缶は、ここ興津の「静岡ミツウロコフーズ 興津工場」製。買うには熱海や甲府まで行かないといけないけど。
EKI na CAFE カフェ・オ・レ 143円
ツナ、ミカン、お茶といった食品加工技術と、地理的条件によるものだろう。

さて、力水とは、秋田県湯沢市にある湧き水の名前でもあるが、ここは相撲で勝った力士から、次の取り組みの力士へ渡される、清めの水が由来だろう。
なお、大相撲で使われる力水には、福岡で同名のミネラルウォーターを販売する製菓会社が、1992年から無償提供しているとのこと。

Wikipediaによれば、キリンビバレッジの力水は、1994年発売。当初は瓶入り(245ml?)。後に製造中止、2008年に300mlボトル缶で再開・2011年に再び中止を経て、2013年に再々発売されたものが続いているようだ。
ただ、スーパーでも、自販機でも、売られていることは少ない。


力水を懐かしいと感じたのは、大学生の時に時々飲んでいたから。
通学時、弘南鉄道・西弘前駅(現・弘前学院大前)の北か南どちらかの踏切を渡る。そのどちらにも、特徴的な自販機があって、帰宅途中に買うことがあった。
西弘商店街を抜けて南側の踏切へ曲がる角の「三栄商会」の自販機(現在は建て替えられて、自販機も変更)。ここは複数メーカーが入り、低価格(110~120円が標準の時に100円?)なのが魅力で、ポカリスエット、ファンタグレープ、アクエリアスレモン(アクエリアスマルチビタミンの前身)など。
一方、商店街を通らず北側の踏切を渡る時は、踏切と商店街との曲がり角(今は新しいアパートができて、自販機はない。昔は何だったか?)に、キリンの自販機があった。価格設定は忘れたが、管理があまり良くないのか、賞味期限切れの缶コーヒーが出たことがあった。そこで、JIVE(缶コーヒー。FIREの前身)や力水を買うことがあった。

当時は瓶入りだったことになる(当時は小容量PETボトルはほぼなくて、缶か瓶だった)が、姿は思い出せない。
ネットで画像検索すると、ころんとした瓶。そうだった!
ラベルは水色系統だが、商品名の書体は何度も変わっている。あまり印象にない。

味もあまり覚えていない。
「エナジードリンク」というくくりができたのは最近だが、それ系統でそれ以前からある国内メーカーの、リアルゴールドとかデカビタCのような系統の味の炭酸飲料だったような…

現行商品は、公式サイトによればDHAを配合した「リフレッシュ炭酸」。「適度な甘さのソフトフルーツフレーバーを使用した、後味すっきりの炭酸飲料」。
飲んでみると、たしかにそういう味だけど、思ったより柔らかい(味も炭酸の強さも)というか、リアルゴールドなどとは少し違う。


なんとなくだけど、昔飲んだのとも違う味。昔も、そんなにキツイ味ではなかったとは思うけど。
発売当初ははちみつが入るなど、原材料も異なっていたようだ。
少なくとも現時点では、リアルゴールドやデカビタCのような、ビタミンやアミノ酸のたぐい、それにローヤルゼリーとかカフェインは入っていない。
となると、力水は「DHA入り炭酸ジュース」ってところか。
フラッシュをたいて
風呂上がりに悪くない。
ところで、キリンビバレッジで力水と同年の発売なのが、果汁30%オレンジジュース「きりり」。
「キリンオレンジ」の後継として発売され、瀬戸朝香・アジャコングなどのCMが流れ、主力商品となった。しかし、やがてトロピカーナや小岩井「純水果汁」にシフトし、業務用(宴会場などで出る瓶入り?)だけになり、それも2020年で発売終了したとのこと。力水は地道に残っていくだろうか。

続きは、旅行記らしい内容で
コメント (2)
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九十九鶏弁当

2022-11-02 22:21:17 | 各地お土産・食べ物
少々“劣化”してしまった山形駅弁を取り上げた。今回は、それとは別の山形の“準駅弁”と言える弁当の話。以前から話に聞いていて、食べてみたかった。

ところで、「駅弁」の定義は、場合や人によってまちまち。狭義では、「日本鉄道構内営業中央会」に加盟する業者が、駅構内(改札内や改札口周辺)で販売する商品ということになるだろう。それに従えば、山形駅では上記もりべんと、輸送される米沢の2社の商品が該当する。

今回取り上げるのは、中央会に加盟しない業者が製造し、駅ビルS-PALのテナントに委託して販売する弁当。ただし、元々は正規の山形駅弁だったものの流れをくんでいる。
そんなわけで、そういう事情は知らないけれど、存在を昔から知っている人には、「今でも山形駅弁」という位置付けなのだろうし、「駅弁なのに(改札口前などの)駅弁売り場には置いていない」という、謎の存在になっているかもしれない。

その名は「九十九鶏弁当」。
個人ホームページ「駅弁資料館(https://kfm.sakura.ne.jp/ekiben/06yamagata_yamat.htm)」などによれば、元は「紅花軒(こうかけん)」が製造販売。
後に紅花軒が駅弁から撤退するも、製造と市中店舗での販売は続けられ、2000年代前半には、駅ビル内の精肉店で売られていた。
そして、2000年代後半頃には、別の業者「九十九鶏本舗」が同名で同内容の弁当を作るようになり、駅ビルの別の店で販売。紅花軒のほうは、中身はほぼ同じで名前が違う弁当になって、引き続き精肉店で売られていた。
2017年に駅ビルから精肉店がなくなったが、市中では紅花軒版を引き続き販売する店があるらしい。今、駅ビルで売られるのは九十九鶏本舗版。
といった経緯。つまり、駅弁でなくなった後、2派に分かれ、名称は後からできたほうに受け継がれている。なんか複雑な事情がありそう。

九十九鶏本舗は、九十九鶏弁当だけ(サイズ違いや肉だけの販売はあり)で商売をしており、山形市内に店舗がある。地域に定着し、親しまれている証。購入できるのは、その店と、市街地の食品館256というスーパーと、駅ビルの3か所らしい。
ちなみに、ネット上の情報では、仙台駅の駅弁屋 祭で、2022年4月頃に販売されていたという情報もある。2022年9月末の平日にはなかった。

山形駅ビルで売るのは土産物店「清川屋 山形S-PAL店」。清川屋は鶴岡市に本社があり、自社ブランドのお菓子なども製造し、庄内地方のお店だと思っていたが、こちらにもあったのか。
駅ビルの中でそれなりの広さの店舗の、レジ前に置かれていた。
16時時点で、最後の1個だった。
透明なポリ袋に入れてくれて(レジ袋は有料)、「傾けずにお持ちください」と駅弁屋ではあまり言われない注意を受けて購入。

特製 九十九鶏弁当 1120円 1食454g 828kcal
清川屋のレシートでは「九十九鶏弁当 小」と印字。
九十九鶏本舗ホームページには3種類の弁当が掲載されていて、本品と一致するものは、真ん中の「九十九鶏弁当 鶏肉の巻き物入り」として1000円(2022年1月の改定後の価格らしい)。
なお、安い「九十九鶏弁当 一番人気」は880円、高い「九十九鶏弁当 極上」は要予約で1300円。清川屋での取り扱いは不明。

厚紙の蓋を載せ、白い荷造り紐(いわゆるすずらんテープ)で縛ってあるのが珍しく、取るのにちょっと苦労。

濡れお手ふき付き。箸袋への爪楊枝封入はなし

ここまであえて示さなかった「九十九鶏」の読み。
「九十九」が「つくも」なのは、ちょっと難しいが熟字訓としておかしくない。では「鶏」は「とり/どり」でいいのか、「にわとり」なのか。
蓋と箸袋にふりがなが付いているのだが…
左が箸袋
蓋のほうは「九十九」に「つくも」だけで、「鶏」にはふりがななし。
一方、箸袋は、「九十九鶏弁当」全体に、「つくもべんとう」とある。これでは、「鶏」は読み飛ばすのか??
上記、駅弁資料館サイトに掲載されている、紅花軒時代1970年頃の掛け紙の画像にも、筆跡は異なるが同じ割付で「つくもべんとう」とある。

そして「九十九鶏」とは何者なのか。現在の公式サイトには明確な説明はない。その他のサイトでも同様で、大々的なブランド鶏などではなさそう。
駅弁資料館に1970年代の「九十九鶏弁当の栞」の画像があり、「この鶏はミルクと栄養剤だけで育てた鶏」「全身がササ身の軟かさをもっています。」などとある。製造元が代わり、時が経った今もそうなのかは分からないが。
また、ごはんは、現在は「山形県産ササニシキ100%」であると、公式サイトにある。1970年代の栞では「村山米」使用。


たっぷりのそぼろで埋め尽くされ、その上に2つの「鶏照り焼き」。照り焼きの下にもそぼろ。
この肉の塊は、1970年代の栞では「雉焼」表記となっているほか、分裂後の紅花軒では1つだったり、ないものもあったようだ。

撮影条件により色が悪いですがおかず
左上がパイナップルの缶詰、その下がこんにゃく、中央2切れが880円のには入っていない「鶏肉の巻き物入り」=「手作りのチキンロール」。あとは漬物系で、サクランボがあるのが山形らしい。
なお、1970年代の栞によれば、当時は晩菊、菊の花漬けと、さらに山形らしい漬物が入っていたようだ。


鶏肉の弁当といえば、秋田の大館や、折尾など九州(かしわめし)のものは違うが、「そぼろ」であることは多い。ウェルネス伯養軒(野辺地→仙台?)や高崎など。
九十九鶏弁当も、同じようなそぼろだが、思ったより薄味(個人の感想です。ネット上では「濃いめ」との声もあり)。そぼろにしてはこぼれづらく、食べやすい。
照り焼きは、ボリュームがあるが、歯ごたえもある。某秋田県知事なら「硬い(※)」と言いそう。※大雨被害を訴える生産者団体に面会した際の、比内地鶏に対する発言。そんな場面で言うべきことではないだろうに。
照り焼きは、そぼろとは別の味付けだそうだが、ちょっと“浮いている”ように感じてしまった。なくてもいいかも。
チキンロールは2つ入っているように見えるが、1つずつ異なるようだ。1つは鶏肉を巻いたもの、もう1つはテリーヌみたいなもので細かいニンジンも入っていた。これも薄味。
こんにゃくは、唐辛子のピリ辛。
ごはんがササニシキかどうかは、気にならなかった。さっぱりしたササニシキの味は好きなのだけど。

おいしかったけれど、正直な感想としては、期待が大きすぎたのか、申し訳ないがものすごくおいしいとまではいかなかった。
もりべんの変更前の「みちのく弁当の旅」と比べれば、そっちを選ぶのだが、それが貧素になってしまった現状では、悩むところ。

いずれにしても、これでこの価格なら、安い。山形の弁当は牛肉ばかりじゃない。よそ者には入手が難しいのが難だが、県外の人にもっと知られていい。
コメント (2)
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