浅野佳織が「蛭ノ尼鬼」に関する
論文をスメ=ルヨルーノ市の学会で
発表してから3年になる。
その成果が評価されて、
隣市に小ぶりなキャンパスを構える
国立大学の助教に招かれた。
長く付き合って倦怠期すら越えた彼と
別れる良いキッカケになったし、
正直この国のことは知らなかったが、
気候も食事も合って快適な千余日。
正確にいえば1089日で、
まる3年にはまだ少し時間がある。
※
「ヒルノニオイ」は、長らく日本の
地方のある小さな村の固有の信仰と
考えられていました。
しかし、朽ちかけた神社の資料から
渡来人による影響ではとの仮説が立ち、
確かに鬼を「オイ」と呼ぶ謎に一石。
……それは私が大学に入った年の冬、
フィールドワークで末席にいた10代の、
確か初めて髪を染めて、その色落ちが
目の前の重要な古文書より気掛かりで。
まさか、その研究に長く携わり、
ついにはこの国との関連に辿りつくとは。
佳織はまずそんな入り方で壇上から語った。
地味な研究だから、専門家は両手で足り、
おそらくこの国の教授が集めただろう
学生が大半を占めた階段教室。
この地方特有のこまかな雨が降る午後。
※
つい調子に乗ってキーを叩いたが、
先月25〜27日に書いた
あさのかおり、ひるのにをひ、
よるのすめるの三題を使って
短い文章が出来ないかなぁという
出来心でした、ごめんなさい。
朝昼夜に対して、夕刻。
ドゥフトはDuftで独語の香り、匂い。
世の中は黄金週間の谷間、
こんな戯れも許されるかしらん。
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