折込に行った。
テアトル・エコーの公演に。
場所は恵比寿。彼らの拠点。
稽古場は渋谷。
電車に一駅乗るか、歩くか。
乗っても駅から東急本店あたりまでは歩く。
『ヘッダ・ガブラー』の会場は
恵比寿と渋谷の間にあるから、
その下見がてら徒歩を選択。
これが奇跡のとっかかりになる。
時刻は三時過ぎ。
昼食がまだだった。
せっかくだから、滅多に歩かない
明治通り沿いの店に入ろうと
定食、カレー、そば、パスタetc…
飲食店を見つけては店の雰囲気と、
忘れてはいけない値段を吟味しつつ進んだ。
もうじきルデコという、
渋谷駅まで10分弱と思われる場所の
味噌ラーメン店に吸い寄せられた。
実は醤油派で、次に塩。
たまに食べたくもなるけれど
僕の中では順位が低い味噌ラーメン※
けれど昨日は何故だか足が止まった。
(※=でも味噌汁は大好きだし
味噌焼おにぎりは得意料理の一つだ)
カウンターのみの店。
時間的にお客は三人。
ぽつりぽつりと間隔をとって座っていた。
その真ん中の男の横顔が知人に似ている。
凝視。
やはり武重だ。
「よぉ」
まるで待ち合わせしてたみたいに
彼の隣の椅子に掛けた。
あの界隈にいったい何軒の「めし処」があるのか。
渋谷警察の向かいの釣具屋に務める彼とは
幼稚園から高校まで同じなのに、
クラスが一度も一緒になっていない希有な友人。
確かに彼の昼休みは、三時過ぎと以前聞いた。
その店は彼がよく利用していて、
ただ地価高騰の影響で
だんだん駅から離れていって、
つまり常連になった頃は
もっと勤め先に近かったらしい。
てな要素を「人生の寸胴鍋」にいれ
掻き回した結果、偶然の遭遇となった。
武重に聞く「お勧めは?」
「赤味噌」と答える。
ほかにたいした話はない。
ずるずるラーメンをすすりながら近況を語り、
彼は職場に、僕は稽古場に渋谷駅まで
肩を並べてさらに他愛ない話をし、
最後は市が尾に780円の床屋が出来た
と彼から聞いて別れた。
アトリエ・センターフォワード
『ヘッダ・ガブラー』初日まで
六日と迫った昼下がりの話。
テアトル・エコーの公演に。
場所は恵比寿。彼らの拠点。
稽古場は渋谷。
電車に一駅乗るか、歩くか。
乗っても駅から東急本店あたりまでは歩く。
『ヘッダ・ガブラー』の会場は
恵比寿と渋谷の間にあるから、
その下見がてら徒歩を選択。
これが奇跡のとっかかりになる。
時刻は三時過ぎ。
昼食がまだだった。
せっかくだから、滅多に歩かない
明治通り沿いの店に入ろうと
定食、カレー、そば、パスタetc…
飲食店を見つけては店の雰囲気と、
忘れてはいけない値段を吟味しつつ進んだ。
もうじきルデコという、
渋谷駅まで10分弱と思われる場所の
味噌ラーメン店に吸い寄せられた。
実は醤油派で、次に塩。
たまに食べたくもなるけれど
僕の中では順位が低い味噌ラーメン※
けれど昨日は何故だか足が止まった。
(※=でも味噌汁は大好きだし
味噌焼おにぎりは得意料理の一つだ)
カウンターのみの店。
時間的にお客は三人。
ぽつりぽつりと間隔をとって座っていた。
その真ん中の男の横顔が知人に似ている。
凝視。
やはり武重だ。
「よぉ」
まるで待ち合わせしてたみたいに
彼の隣の椅子に掛けた。
あの界隈にいったい何軒の「めし処」があるのか。
渋谷警察の向かいの釣具屋に務める彼とは
幼稚園から高校まで同じなのに、
クラスが一度も一緒になっていない希有な友人。
確かに彼の昼休みは、三時過ぎと以前聞いた。
その店は彼がよく利用していて、
ただ地価高騰の影響で
だんだん駅から離れていって、
つまり常連になった頃は
もっと勤め先に近かったらしい。
てな要素を「人生の寸胴鍋」にいれ
掻き回した結果、偶然の遭遇となった。
武重に聞く「お勧めは?」
「赤味噌」と答える。
ほかにたいした話はない。
ずるずるラーメンをすすりながら近況を語り、
彼は職場に、僕は稽古場に渋谷駅まで
肩を並べてさらに他愛ない話をし、
最後は市が尾に780円の床屋が出来た
と彼から聞いて別れた。
アトリエ・センターフォワード
『ヘッダ・ガブラー』初日まで
六日と迫った昼下がりの話。