高校に春田という男がいた。
一年のとき同じクラスだった。
色鉛筆の白くらいな肌の色で
坊主頭のおでこが、くっきり見事な
Мだったので渾名は、ずばり「エム」。
彼の特徴はもう一つ、
ピンと伸びた姿勢だった。
剣道をやっていたせいか、
はたまた生来の春田の気質か、
棒を通したみたいに真っ直ぐで
江戸っ子ばりに「まっつぐ」
と言った方が、そのピンが伝わる程。
とはいえ、我々の高校は
東京から多摩川を越えた川崎にあった。
私なんぞは基本猫背。
家の折畳式ソファで寛ぐ時も、
その角度を無視して
だら〜りと座るのが常だ。
座るというより寝ているが近い、
春田とは真逆の姿勢である。
体に良くないのは承知だが、
暴飲暴食、夜更かしなどと同様に
心地よいのだから仕方がない。
Yogiboも、その延長線上に開発!
と思うのはアタイだけかにゃあ
※
「あんた、お父さんそっくりね」
と妻がソファでダラけるのを見て言う。
ただこの父は、彼女の実父を指し、
つまり私とはDNA的繋がりがない。
いや、男性というオオマカなくくりで
同じっちゃぁ同じなのか?
今時、そーゆー物言いは叱られるし、
或いはまた、綾小路きみまろのネタに
登場する「おばさま達」も、
ソファに〈胡獱〉のように居るから
性は関係ないのやもしれない。
※
カタカナだとダイレクト過ぎて、
色んな方向からモノが飛びそう。
なので難解漢字にしたけれども
アシカ科の黒褐色の哺乳類で、
個体によるが体重1トンに達し、
野生は太平洋北部で繁殖する。
冬場に北海道などでもみられる
「あの」動物のことである。
アシカやアザラシなどとも似て、
加えてオットセイ、セイウチなど
写真と名前を結びつけなさい
と問われたら、結構困るたぐいの……。
高校に春田という男がいた。
出身中学は僕が柿生、彼は白鳥。
実は我が柿中から分かれた姉妹校の
向こうは花の一期生
「地域」としては同じで、
我々東柿生小は全員柿中だったが、
柿生小からは二校に分かれた。
あの頃、日本としてはピーク過ながら
ベッドタウンの川崎市北部は
まだ人口増加たけなわ。
僕の中学三年間、毎年新設校を生んだ。
白鳥、王禅寺、白山と。
そして少子高齢化の今、
白山中学は廃校になっている。
閑話休題。
高校卒業以来会っていないが、
彼は今尚ピンと伸びた姿勢だろうか。
還暦間近だけれど
そして額は、くっきりМだろうか……。
高1のクラスには柿中だった山川達也もいて、俺春田山川は駅も当然柿生でよく一緒に帰ったりした。その山川も双子だった。なかなか珍しいことだ\(^o^)/