今月は、まもなく本番を迎える『見果てぬ夢』に演出家、美術家、照明家をお迎えしている文学座の、アトリエの会『エスペラント~教師たちの修学旅行の夜』~(4/1観劇)に始まり、遊戯空間『世界が脳になってしまったので少年は左に回らない』(4/29観劇)まで10本。
ちなみに遊戯空間は、昨年の東演アトリエ自主公演『子宝善哉』の演出に招いた篠本賢一さんが主宰。05年12月に続いて和合亮一さんの現代詩をテキストにした“詩×劇”だった(作/和合亮一、演出/篠本賢一、音楽/田中佐和子 於/コア石響 4/28~5/1)。今回は前回より、まず観客がこの斬新なスタイルに馴れることを計算して、さらに高度な作品に挑戦した、と僕は見た。あえて詩の持つ世界と異なった身体を駆使するなどの演出で楽しませてくれた・・・。
また『エスペラント』(作/青木豪 演出/坂口芳貞 於/文学座アトリエ 3/25~4/19)は、今注目されている作家の一人、青木豪さんが「独特の毒」を封印した劇作。僕はそれが苦手なので、今回は楽しめました。
で、その中でというより今年の1月からの4ヶ月で一番良かったと言えるのが、劇団昴『チャリング・クロス街84番地』(作/ヘレーン・ハンフ 訳/江藤淳 潤色/吉岩正晴 演出/松本永実子)だった!
女流作家と老舗の古書店の、おもに書簡のやりとりだけで、第二次世界大戦後からの時代の流れまでを描く、小品ながら上品でかつ力強い作品。
がさつというか、ユーモア溢れるバイタリティ豊かなニューヨーク在住の女流作家ヘレーン(望木祐子)の注文に、ロンドンの古書店マークス社のフランク(牛山茂)が礼儀正しく美しい返信をしたためる・・・やがて二人の交流は、他の店員へと広がり、しかも長きに渡って、それは深まっていく!!
本当に日常のささいな言葉の積み重ねなのに、一幕からボロボロと涙が零れる作品。「戦争」を扱う舞台よりもむしろ「平和」の大切さが伝わる戯曲だ。
前述二人の演技はもちろん、アンサンブルも本当に素晴らしい!
昴の財産演目で、新村礼子-内田稔の本邦初演(85年)からキャストをかえながら、その度に高い評価を得て来た作品・・・。劇団ならではの「仕事」と言えるでしょう。是非これからも上演を続けて欲しい名作だ!!!
演出の松本永実子さんには、東演No.107『ドライビング・ミス・デイジー』(演出/野沢那智)以来久しぶりに翻訳していただきます(『マーヴィンの部屋』演出/松本祐子 来年2月本多劇場)が、この『チャリクロ』は、繊細で優しい、また長くアメリカに住まわれていた空気感が伝わる素敵なタクトでした。
また『チャリクロ』の世界観を精密に魅せた古宮俊昭さんの照明と、本棚の大量の書物が一瞬に消える“伝統の技”も素晴らしかったことを附記します。
ちなみに遊戯空間は、昨年の東演アトリエ自主公演『子宝善哉』の演出に招いた篠本賢一さんが主宰。05年12月に続いて和合亮一さんの現代詩をテキストにした“詩×劇”だった(作/和合亮一、演出/篠本賢一、音楽/田中佐和子 於/コア石響 4/28~5/1)。今回は前回より、まず観客がこの斬新なスタイルに馴れることを計算して、さらに高度な作品に挑戦した、と僕は見た。あえて詩の持つ世界と異なった身体を駆使するなどの演出で楽しませてくれた・・・。
また『エスペラント』(作/青木豪 演出/坂口芳貞 於/文学座アトリエ 3/25~4/19)は、今注目されている作家の一人、青木豪さんが「独特の毒」を封印した劇作。僕はそれが苦手なので、今回は楽しめました。
で、その中でというより今年の1月からの4ヶ月で一番良かったと言えるのが、劇団昴『チャリング・クロス街84番地』(作/ヘレーン・ハンフ 訳/江藤淳 潤色/吉岩正晴 演出/松本永実子)だった!
女流作家と老舗の古書店の、おもに書簡のやりとりだけで、第二次世界大戦後からの時代の流れまでを描く、小品ながら上品でかつ力強い作品。
がさつというか、ユーモア溢れるバイタリティ豊かなニューヨーク在住の女流作家ヘレーン(望木祐子)の注文に、ロンドンの古書店マークス社のフランク(牛山茂)が礼儀正しく美しい返信をしたためる・・・やがて二人の交流は、他の店員へと広がり、しかも長きに渡って、それは深まっていく!!
本当に日常のささいな言葉の積み重ねなのに、一幕からボロボロと涙が零れる作品。「戦争」を扱う舞台よりもむしろ「平和」の大切さが伝わる戯曲だ。
前述二人の演技はもちろん、アンサンブルも本当に素晴らしい!
昴の財産演目で、新村礼子-内田稔の本邦初演(85年)からキャストをかえながら、その度に高い評価を得て来た作品・・・。劇団ならではの「仕事」と言えるでしょう。是非これからも上演を続けて欲しい名作だ!!!
演出の松本永実子さんには、東演No.107『ドライビング・ミス・デイジー』(演出/野沢那智)以来久しぶりに翻訳していただきます(『マーヴィンの部屋』演出/松本祐子 来年2月本多劇場)が、この『チャリクロ』は、繊細で優しい、また長くアメリカに住まわれていた空気感が伝わる素敵なタクトでした。
また『チャリクロ』の世界観を精密に魅せた古宮俊昭さんの照明と、本棚の大量の書物が一瞬に消える“伝統の技”も素晴らしかったことを附記します。