自民党懇談会。
まるで化け物小屋。マイクを持って皆が絶叫した。あれが断末魔の叫びというものか。
月も雲間に隠れた丑三つ時、妖怪たちが墓場に集まり、墓堀をやるような雰囲気だった。墓掘り番人の顔を持つ細田が開会の挨拶を行い、その次に、例によって口をひん曲げ、目を険しくした男が、ダミ声を上げた。
時間は30分にも満たない一方的なシナリオ。出陣式というより、ご臨終式ではなかったか。麻生は最後の最後までブレまくった。 135名の署名を否定して総会を開かず、懇談会は非公開としたが、シナリオを作ってからは公開に突然変えた。そして会場となった自民党本部は、通常行なう8階の広い部屋ではなく、9階の狭い場所を指定し、議員とメディアを制限した。
さて、静岡の原田が一人、総会を開かぬのは理解に苦しむと批判したが、あとは西川京子、大村秀章らの麻生擁護発言だけで、細田はいきなり懇談会を打ち切った。麻生は苦しい選挙を前にして涙声になった。中川秀直は麻生の手を強く握った。何かそこに感動があっただろうか。欺瞞と駆け引きの薄ら笑いだけが記憶に残ったような気がする。
★平成維新。
天皇の詔勅が降り、解散がなった。いずれにしろ三分の一の選良は、国会議事堂に再び戻ることはない。いよいよ暗闇明けの朝靄の中、自民と民主は征旗をはためかせ、中原に怒涛の勢力が、今や遅しと満ち溢れ、いざ決戦の火蓋を、と切り口上を述べたいところだが、自民は戦意喪失のまま、自らの逃げ道を確保するのに精一杯ではないのか。ただ、麻生新選組だけが、静岡知事選、横須賀市、千葉市、奈良市長選という鳥羽伏見で敗退し、都議選という上野の山で壊滅的敗残を舐め、次は函館五稜郭での、土方歳三の憤死、白旗降参で徳川幕藩体制は終焉を迎える。
一方、近藤勇は甲府勝沼での戦いに一敗地にまみれた。 ついには江戸で処刑され、京の都まで顔首が運ばれ、三条河原で晒された。 しかし、時を置かずして人知れず消え去ったという。おそらく叡山か高野山の頂に、近藤勇の贔屓の筋によって埋められたものか。 叡山の高みから、夏草やつわものどもが夢のあと、京の夜景に独りごちているのだろう。
★解散詔書
昨日、河野議長が解散詔書を読み上げたが、あれれと首を傾げた。前回解散時の小泉さんと大きく違ったからだ。前回は白の制服を着た近衛兵(皇宮護衛官)が先導して詔勅を本会議場にもたらしたが、今回は官房長官が持参した。また河野議長が読み上げた内容は「内閣総理大臣から詔書が発せられた旨伝えられ、憲法第7条により衆議院を解散する」であったが、前回は「ただいま、天皇の詔勅が発せられたのである。憲法第7条により衆議院を解散する」であった。つまり今回の詔書はあたかも総理大臣が発令したかのような誤解をもたらす文脈になっている。これは麻生サイドの作為なのであろうか。
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自民党の親分衆と有名代議士の選挙予測。
(落選確実)
石原宏高、伊藤公介、猪口邦子、井脇ノブ子、太田誠一、山崎拓、尾身幸次、片山さつき、久間章生、古賀誠、佐田玄一郎、佐藤ゆかり、島村宣伸、高市早苗、二階俊博、丹羽雄哉、深谷隆司、藤野真紀子、船田元、堀内光雄、森山真弓、柳沢伯夫、西川京子
(危険水域)
中川秀直、武部勤、赤城徳彦、甘利明、大村秀章、高村正彦、塩崎恭久、額賀福志郎
(もしかして、あっと驚く)
麻生太郎、町村信孝、森喜朗、与謝野馨、加藤紘一、谷垣貞一、小泉進次郎。
(ムラマサ、月光に蒼く冴える)