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山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり

2020年11月08日 09時03分42秒 | 懐かしい小倉百人一首

(奥多摩御岳渓谷 2018年11月29日)


昨年 書棚に詰め込まれていた古い書籍、辞書等を 大胆に整理処分したことが有ったが、その際に 多分 長男か次男かが学生時代に使っていたものに違いない 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が 目に止まった。パラパラと ページを捲ってみたところ、なかなか 詳しく、分かりやすく、子供の頃、正月になると、必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなり、「今更 向学心?」なーんてものではなく ブログネタに?、頭の体操に?等と思い込んで 処分せず、以後座右の書にしてしまっている。「小倉百人一首」は 奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を 藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが 時代が変わっても 日本人の心情が呼び起こされるような気がする。
季節は 秋。「小倉百人一首」で、季節を詠んだ歌の中では 「秋」を詠んだ歌が 最も多いという。今も昔も 秋は 日本人の心情を映す季節なのかも知れない。「秋」を詠んだ歌、昨年の秋にも 一部取り上げていたが その続きをしている。


百人一首で「秋」を詠んだ歌 その12

山川に 風のかけたる しがらみは
流れもあへぬ 紅葉なりけり

出典 古今集(巻五)

歌番号
32

作者
春道列樹(はるみちのつらき)

歌意
山あいを流れ谷川に 
(人間ではなく)風がかけ流したしがらみは 
流れようとしても流れることが出来ずに
散りたまっている紅葉であったことよ。


注釈
「山川」・・「やまがわ」と読む。山間の川、谷川の意。
「やまかわ」だと 「山と川」の意味になる。
「風のかけたる」・・「風がかけ渡した」、擬人法の表現。
「の」は 主語を示す格助詞。
「しがらみ(柵)」・・川の流れをせき止めたり
川岸の崩れを防いだりするため
 杭を打って竹や柴等を絡ませるもの。
「しがらみ」が この歌の主語になっており、
述語は「紅葉なりけり」。
「流れもあへぬ」・・流れようとしても流れることが出来ないの意。
「あへ」は「敢え」の未然形で可能(出来る)の意味をもっている。

古今集の詞書によると
志賀の山越え(京都から大津への山越えの道)で詠んだ歌で 
谷川の細い流れに散ってたまっていた紅葉の美しさを歌った作品。

春道列樹
平安朝前期の歌人。
壱岐守に任ぜられたが赴任しない内に没している。
「昨日といひ今日とくらして明日香川流れて早き月日なりけり」(古今集)という歳末の気持ちを詠んだ歌が有名で 技巧をこらした作品が多い。

 

 


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2 コメント

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Unknown (かみやん)
2020-11-21 20:55:54
この読んだ人の 人柄が現れていていいですね🎵(^-^)
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かみやんさん、こんばんは、 (takezii)
2020-11-21 22:10:58
わずか31文字で 情景、心情を詠み込む和歌ですが、作者の人柄、個性が 現われますね。
かみやんさん、お気に入りの歌でしょうか。
コメントいただき有難うございます。
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