古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

海辺の光景 安岡章太郎

2024-12-03 04:04:49 | 小説の紹介

新潮文庫  昭和四十年

 

狂いつつあり、そして、狂ってしまい精神病院

 

に入れられてしまった母に捧げるバラード。

 

人が狂っていくのを見るのは辛いだろう。それが、

 

母となると、これはもう耐えられないほど

 

辛かろう。

 

看護人が手製のジュースをやり、それが死に水

 

となり、亡くなってしまう。いったい、わしは何

 

を読ませられとるんだろう、ツラいだけやないかい。

 

いったい、なんの意味があるのだろう。イヤなだけだし

 

イヤなものを読ませられている、と云う想いのみに

 

陥ってしまう。それでも、それが文学というもの

 

すごさなのだ。

 

彼(安岡氏)は、もっと身を切るような思いを

 

されたのだ。ぼくらはもっと忘れてしまっている

 

人間の深みを知らなければならないだろう、と思った。

 

(読了日 11・20(水)14:29)

           (鶴岡 卓哉)

 

 

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