文春文庫 1998年
約三千キロを三年にわたり、夏の間だけ二か月間、
計六か月かけて、カヌーで下った冒険譚。
一週間も川辺のキャンプで泊まってしまうとは、
ぼくには考えられない。なんとも自由、気まま、漂泊
を繰り返し、ああ、と溜め息しか出ない。
ある村で、鮭のイクラの売買をしている村の日本人に
会って、つれなくされ、逆に白人に手厚く歓待された、
と云う話しは心に残った。けど、分かるような気もする。
外地で同じ日本人に会うバツの悪さみたいなものも
多少あったのかもしれない。本の中の本を読む場面が
ぼくは好きで、この本の中でも度々、本を読んでいる。
犬のガクも登場し、野田氏とふたりきりで心が通じ合って
いたと思っていたのに佐藤秀明氏と合流して、意気が分か
らなくなってしまって、ガクはすごく怒ったらしい。そういう
気持ち、よく分かる気がする。
(読了日 2024年11・20(水)12:40)
(鶴岡 卓哉)