四つの物語・・・?
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事故により重度の障害を抱える妻を献身的に支える夫。
彼の日課はブログに生活を綴ることだった――。
一方、設計士の一志は編集者の妻・摂と将来の家について揉めていた。
子供部屋をつくるか否か。
摂の考えが読めない一志は彼女の本心を探るが――。
四つの物語が問いかける「人間の尊厳とは何か」。
著者渾身の長編!
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「デフ・ヴォイス」シリーズでおなじみの丸山正樹さんの作品。
4つのストーリーが交互に語られて行きます。
★重度の障害を抱える妻を献身的に支える夫。
★子供を持つか否か、もめる夫婦。
★不倫相手の父親が病で意識不明の寝たきりとなり、密かに見舞いに通う女性。
★自分の素性を隠して、とある女性とチャットで会話を交わす重度の障害のある男性。
やはり丸山正樹さんなので、「障害」のことが根っこにある物語。
・・・しかし、何しろ本作は読んでいる最中にあることに気づいて、驚かされるのです。
何という巧みな物語・・・。
あとがきにもあるのですが、本作は「ミステリー」と言われることがある、と。
別に殺人事件も起きないし、不可解な謎もない。
でも、私も確かにこれは「ミステリー」だと思います。
が、これは単にそうした構成上の面白さばかりでなく、
もちろん障害のある人とそうでない人はどのように向き合えば良いのか・・・、
本来そんなことは悩むようなものではないはずなのですが、
でも実際問題としては難しいところもありますよね。
じっくりとそのような事も考えさせられる作品。
「ワンダフルライフ」 丸山正樹 光文社文庫
満足度★★★★☆