監督と俳優、三つ巴の競合
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大富豪の実業家が、自身のイメージアップを図るため、
一流の映画監督と俳優を起用した、傑作映画を制作しようと思いつきます。
そこで白羽の矢が立ったのは、変わり者の天才監督、ローラ(ペネロペ・クルス)、
世界的スター、フェリックス(アントニオ・バンデラス)、
老練な舞台俳優、イバン(オスカル・マルティネス)。
ベストセラー小説の映画化に挑みます。
本作は主にこの3人の練習風景をとらえています。
奇想天外な演出論を振りかざす監督。
そして各々独自の演技法を貫こうとする俳優たちがぶつかり合います。
映画のストーリーは、2人の兄弟が対立し合うというもので、
まさにライバル関係である2人の俳優が互いを出し抜こうと必死。
いえ、時にはキスの演技を監督も含めて3人で競い合ったりする・・・。
ということで、劇中劇、「演技をしている演技」が重要となる本作。
さすがの名優揃いで楽しませてもらいました。
ペネロペ・クルスが映画監督役というのも極めて意表を突く感じなのですが、
名うての変人監督ということで、これもまた悪くないのです。
そしてまた、終盤は思いも寄らない展開となりまして、ビックリさせられました。
コメディっぽい作品ながら、ちょっとブラックでもあります。
映画界で生きてきた彼、彼女ら自身にも楽しい作品だったのではないでしょうか。
<Amazon prime videoにて>
「コンペティション」
2021年/スペイン・アルゼンチン/114分
監督:ガストン・ドゥプラット、アリアノ・コーン
出演:ペネロペ・クルス、アントニオ・バンデラス、オスカル・マルティネス、ホセ・ルヌス・ゴメス
競合度★★★★☆
満足度★★★★☆