映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

イヌとイタリア人、お断り!

2024年07月03日 | 映画(あ行)

イタリアからフランスへ移住した一族のアニメ

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アラン・ウゲット監督の祖父、ルイジ・ウゲットの人生を
歴史に絡めて描くストップモーションアニメです。

 

20世紀初頭、北イタリア、ウゲッテーラ。
村人は皆ウゲット姓という一族が住む山間の貧しい村。
この地で生活することは非常に困難になってきています。
冬には出稼ぎに行ったりしてなんとかしのぐ年月。
そんな中でもルイジ・ウゲットは出稼ぎ先で出会った妻を連れ帰り、
たくさんの子供を得ます。
時代はやがてファシスト台頭の時。
ルイジは家族を連れてアルプスを越え、
フランスで新しい生活を始め、愛する家族の運命を永遠に変えたのです。

 

祖父ルイジの経験を祖母チェジーラから伝え聞いた監督が、
それをアニメ作品に仕立てたわけですが、
ストップモーションアニメながらドキュメンタリーを見ている感じ。
村の暮らしは貧しく、つらいこともあるのですが、
どこかほんのり温かみを感じるのは
やはりこのユーモラスなフィギュアのおかげですね。

そして家は段ボール、森はブロッコリー、岩は木炭だったり栗だったり、
そしてレンガは角砂糖。
舞台や小道具が身近なモノで表現されていて、柔らかな手触り。
なんとも良い味が出ています。

 

題名の「イヌとイタリア人、お断り!」というのは、
彼らがフランスへ移民した頃、店に張り出されていた告知の文面。
つまりはイタリア人に対してかなり差別的な風潮があったということでしょう。

きつい労働のこと、戦争のこと、移民のこと、
そんな困難も家族とともに乗り越えてきた・・・。
そんな祖父の気概と、その祖父への敬愛の念がにじみ出ています。

彼らの移住先が、ツール・ド・フランスのコース近くらしいというのにも興味を引かれます。

 

ステキな作品でした。

 

 

2022年/フランス、イタリア、ベルギー、スイス、ポルトガル/70分

監督:アラン・ウゲット

歴史発掘度★★★★☆

満足度★★★★☆



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