爪楊枝に隠された意味
* * * * * * * * * *
昼はハリウッド映画のカースタントマン、
夜は強盗の逃走を請け負う運転手。
この男が、愛する女性とその子供を守るため、裏社会を相手に命がけの戦いを挑みます。
―――と言ってしまえば、ありがちなストーリーなのですが、
単なるアクションものとは明らかに異なっていて、つい引き込まれてしまう、
不思議な魅力があるのです。
なぜなんだろう・・・、いろいろ考えてしまいました。
まずこの“ドライバー”、最後まで名前が出てきません。
非常に寡黙です。
クールに口の端に爪楊枝をくわえ、背中に黄金のサソリの刺繍入りジャケット。
この爪楊枝で、ちょっぴり「木枯し紋次郎」を思い起こします。
お若い方は、ご存じないのかな?
「あっしには関わりのないことでござんす。」
と言いつつも、いつも関わって、弱いものの見方をしてしまう、
一見クールな無宿人。
彼もいつも長い楊枝をくわえていました。
思うに、この爪楊枝は、あまり人と関わらないことのサインなのです。
爪楊枝をくわえたままでは、そう多くは人とおしゃべりできませんよね。
人を拒むというよりは、うっかり自分が人と多くの関わりを持ってしまうことへの戒めなのでしょう。
それはなぜなのか。
多分彼は、自分の危険性を自分で認識しているのです。
人と関わることは、結局その人物に災厄を与えることになる、と。
背中のサソリも同じ意味を持っていますね。
うっかり近寄ると危険だゾ、とのサイン。
しかし、男は自分から禁を破ってしまいます。
おなじアパートの隣人の母子と知りあってから。、
3人でドライブに出かけたり、なんとも平和でほのぼのとした日々。
男は、これまでこうした陽だまりのような生活の経験がないように見受けられます。
愛だ恋だのセリフもなし。
ただ寄り添っていればそれでいい。
そんな3人。
彼女と付き合い始めてからの彼は、爪楊枝をくわえません。
(記憶に間違いがなければ・・・^^;)
ところがこの男、自分で認識しているとおりに、非常に危険な男でもあるのです。
愛するものを守るためには、人を殺すことに何の躊躇もない。
物静かな男が瞬時に怒りを爆発させるその瞬発力に、ただ圧倒されます。
この男、実はちょっと壊れている?と思えるほどに・・・。
銃を持たない彼の武器は、ハンマーであり彼自身の肉体であり、そして車そのものでもある。
このような直接的な暴力のシーンは結構過激で、
こうしてみると銃が実に慎ましい武器のように思えてしまいます。
こんなふうな彼の静と動のギャップに驚かされてしまうんですね。
名前も明かされないこの男、実はナニモノなのでしょう?
人知れぬ過激な過去があるのでは・・・と、つい想像してしまいます。
さて、アイリーンの夫は服役中。
そしてその夫が出所した時、私はてっきり男同士険悪なことになってそこから争いになるのだと思いました。
でも、そうではないのです。
夫は刑務所で多大な借金を作ってしまい、そのお金が返せないと妻と息子の命が危ない。
なんとか母子を助けたいという夫の思いを、“ドライバー”が引き継ぐという意外な形での協力関係となる。
この展開も重要です。
また、今作では「エレベーター」が重要な舞台となっていますね。
はじめに“ドライバー”とアイリーンが出会ったのが、エレベーターのなか。
そして終盤、二人のキスシーンと直後の凄まじいバイオレンスシーンも、そこで展開されます。
ひたすらにクールで、暴力的で、そしてロマンチック。
これらが同居してしまうこの作品は、やはりタダモノではない。
この手の作品で、こんなに面白いと思うのも私には珍しいのです。
参りました。
この監督作品には今後も注目したいと思います。
そしてまた、ミーハーな一言。
ライアン・ゴズリングがカッコイイ!!。
「ドライヴ」
2011年/アメリカ/100分
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
原作:ジェームズ・サリス
出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、クリスティーナ・ヘンドリックス
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昼はハリウッド映画のカースタントマン、
夜は強盗の逃走を請け負う運転手。
この男が、愛する女性とその子供を守るため、裏社会を相手に命がけの戦いを挑みます。
―――と言ってしまえば、ありがちなストーリーなのですが、
単なるアクションものとは明らかに異なっていて、つい引き込まれてしまう、
不思議な魅力があるのです。
なぜなんだろう・・・、いろいろ考えてしまいました。
まずこの“ドライバー”、最後まで名前が出てきません。
非常に寡黙です。
クールに口の端に爪楊枝をくわえ、背中に黄金のサソリの刺繍入りジャケット。
この爪楊枝で、ちょっぴり「木枯し紋次郎」を思い起こします。
お若い方は、ご存じないのかな?
「あっしには関わりのないことでござんす。」
と言いつつも、いつも関わって、弱いものの見方をしてしまう、
一見クールな無宿人。
彼もいつも長い楊枝をくわえていました。
思うに、この爪楊枝は、あまり人と関わらないことのサインなのです。
爪楊枝をくわえたままでは、そう多くは人とおしゃべりできませんよね。
人を拒むというよりは、うっかり自分が人と多くの関わりを持ってしまうことへの戒めなのでしょう。
それはなぜなのか。
多分彼は、自分の危険性を自分で認識しているのです。
人と関わることは、結局その人物に災厄を与えることになる、と。
背中のサソリも同じ意味を持っていますね。
うっかり近寄ると危険だゾ、とのサイン。
しかし、男は自分から禁を破ってしまいます。
おなじアパートの隣人の母子と知りあってから。、
3人でドライブに出かけたり、なんとも平和でほのぼのとした日々。
男は、これまでこうした陽だまりのような生活の経験がないように見受けられます。
愛だ恋だのセリフもなし。
ただ寄り添っていればそれでいい。
そんな3人。
彼女と付き合い始めてからの彼は、爪楊枝をくわえません。
(記憶に間違いがなければ・・・^^;)
ところがこの男、自分で認識しているとおりに、非常に危険な男でもあるのです。
愛するものを守るためには、人を殺すことに何の躊躇もない。
物静かな男が瞬時に怒りを爆発させるその瞬発力に、ただ圧倒されます。
この男、実はちょっと壊れている?と思えるほどに・・・。
銃を持たない彼の武器は、ハンマーであり彼自身の肉体であり、そして車そのものでもある。
このような直接的な暴力のシーンは結構過激で、
こうしてみると銃が実に慎ましい武器のように思えてしまいます。
こんなふうな彼の静と動のギャップに驚かされてしまうんですね。
名前も明かされないこの男、実はナニモノなのでしょう?
人知れぬ過激な過去があるのでは・・・と、つい想像してしまいます。
さて、アイリーンの夫は服役中。
そしてその夫が出所した時、私はてっきり男同士険悪なことになってそこから争いになるのだと思いました。
でも、そうではないのです。
夫は刑務所で多大な借金を作ってしまい、そのお金が返せないと妻と息子の命が危ない。
なんとか母子を助けたいという夫の思いを、“ドライバー”が引き継ぐという意外な形での協力関係となる。
この展開も重要です。
また、今作では「エレベーター」が重要な舞台となっていますね。
はじめに“ドライバー”とアイリーンが出会ったのが、エレベーターのなか。
そして終盤、二人のキスシーンと直後の凄まじいバイオレンスシーンも、そこで展開されます。
ひたすらにクールで、暴力的で、そしてロマンチック。
これらが同居してしまうこの作品は、やはりタダモノではない。
この手の作品で、こんなに面白いと思うのも私には珍しいのです。
参りました。
この監督作品には今後も注目したいと思います。
そしてまた、ミーハーな一言。
ライアン・ゴズリングがカッコイイ!!。
「ドライヴ」
2011年/アメリカ/100分
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
原作:ジェームズ・サリス
出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、ブライアン・クランストン、クリスティーナ・ヘンドリックス
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