ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

廃鶏が卵産んだ!

2012-01-01 13:55:18 | 暮らし
 鶏が卵産む、あたりまえじゃん!でも鶏の前に廃がつくと、ちょっと考える。卵産まなくなったから廃鶏、つまり処分行き、最後のおつとめ肉になる鶏なわけだから。

 鶏が来て2週間、彼女たちは少し緊張気味ながらいたって元気、特に大根葉なんかの野菜屑が大好きで、育ちの良さを感じさせる。やっぱ、野菜嫌いはダメよ、人間も鶏も。食べ物の好き嫌いは小さい頃の育てられ方が大きくものを言う。鶏たちの育ての親、養鶏家のS氏は当然野菜たっぷりやって育ててきたんだろう。だから体型も羽のつやも実に見事だ。

 廃鶏だからな、卵は無理かな、まっ、春になって気候がよくなったら少しは産んでくれるだろう。我が家の残飯を有効利用してくれるだけだってありがたい。食べ残しや屑米が餌になり、肥料としての鶏糞がとれる。エコサイクルが完結するってわけだ。卵期待値5%、そんな気持ちで引き取った鶏たちだ。

 ところが、ここに来てどかどか産み始めたんだ。1日4個平均、てことは8羽いるから2日に1個は産んでるってことになる。しかも、緑黄色野菜をしっかり摂取してるるから、卵の黄身も黄色い。味も濃厚、鮮度はもちろんって卵を毎日いただけるようになった。廃鶏に感謝!

 こんな元気に産卵する鶏がなぜ廃鶏なのか?その謎の鍵は経済性ってことにある。

 養鶏農家は卵を産ませそれを販売して生計を立てている。鶏を飼うには当然餌代がいる。原価消却も考えなくちゃならない。その他の様々なコストを計算し、それでもなお利益があるから鶏を飼う。鶏は孵化して120日くらいで卵をなし始める。それから産卵率はぐんぐん上がって、1年間は60~90%を維持する。その後だんだんと産む数が少なくなり、二日1個、三日に1個となるのがふ化後二年経過した鶏だ。そして、ここらが養鶏の損益分岐点ということなのだろう。ただし、これは有機農業平飼い養鶏の話しで、一般の大規模ケージ飼いではきっともっと早い時期に廃鶏と判定され淘汰されていることだろう。

 だから、廃鶏が卵を産むのは当然の話なのだ。鶏の産卵という命の力はまだまだ存分に彼女たちの身体の中に詰まっている。まるで生命そのものを否定するような『廃』の字はたんに経済的に割が合わないってことの意味でしかない。

 今、世界中にこの経済の言葉による区分けが充満している。経済的に成り立たない=存在する価値がない、この等式があらゆる領域でまかり通っている。中でもエネルギー問題だ。自然エネルギーは採算がとれない。原発はやはり効率的だ。あれほどの命の破局を引き起こしていながら、未だにこんな議論が偉そうな面してしゃしゃり出ている。

 我が家に来た鶏たち、廃鶏なんて誰にも言わせない。彼女たちの生命力が廃を無効にした。あらゆる領域でそんな作業が進められる必要がある。そんな大きな時代の転換点に今年はなれるのだろうか。

 元旦にこんな大きなこと書いていいのか?でも、産卵から始まる年の初め、悪くはない。


コメント
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