走るの5回目か?
手慣れたもんで、市内名所を経巡るコースも途中提供されるエイドもほぼ知り尽くしてるからね、気がかりはただ一つ、制限時間内で走り切れるかどうか?
2時間50分!いくらなんでもこのタイム超えるなんてあり得ない、って断言できない衰え状況に陥ってるってことなのさ。
前回の東根サクランボマラソンハーフだって、2時間30分切れなかったし、あれからさらに3か月年取って老化が進んでるわけだから、全然油断はできない。
常に足と心臓と呼吸に気を使いながらのランニングだ。狙いのペースはキロ6分50秒、これをできる限りキープして、そこで貯めた余裕時間で、後半のがっくり落ちるタイムをカバーする。
これが作戦だ。
走るぞ、びくびくしながら。常にガーミンウオッチをチラ見、すぐに7分/キロを越えちまう、いかん、かんぞそれじゃ前半の貯金がてきん。なんとしても6分台は保たねば。
第一関門、余裕だろ、なんとか7分未満のペースで来てるから、と、安心していたら、係員から驚きの一言。
「お急ぎください、制限時間まであと3分です」
うおーっ、なんてこっちゃい!
こんなにせっつかれてたら、第二、第三、通過できんぞ。と、焦ったら、隣を走る2人組、最初は厳しくしてるんだよなって話しが耳に入り、そうか、そうだよな、と胸をになでおろしした。
それにしても、ここでアウトなんて、酷い仕打ちだよな。きっと、何人もいるよ。
七日町の商店街は5キロ地点、やっとこ体がこの過激労働になれて来て、このレース評判のエードは一つ残らず頂くことにする。
バナナだろ、佐藤屋ののし梅だろ、ブドウは今や定番シャインマスカット、おっと、蕎麦屋のミニカップ生そばは、残念、通過時間遅く品切れ御免だった。そうか、これまでは、当たり前に食べさせてもらってたんだなぁ、後から来た人たち、すまん、って2年前のこと謝るなんて意味なし。
さぁさぁ、このコースの最難関、11キロから3キロだらだら続く登り、ここさえ乗り切れば、あとは折り返して下る一方、長いなぁ、こんなに続いたっけ?うへっ、折り返し地点まで2キロだってよ。
なんとか、上り切って、ここで予定通りRUN WITH MUSICモードに変更、折角アンカーさん、不良品を交換してくれたんだ、使わぬ手はないよ。
よっ、快調そのもの、何が?当然音楽が。
ランの方は、下りだってのに、重い、辛い、4年前走った時なんて、この下り坂をキロ4分台で駆け下りたんだった、なんて、昔を懐かしむようじゃダメだ。ほら、7分30秒になってるぜ。
下りが終わり、ラスト4キロは住宅街、応援の人たち沢山出てくれてるんだが、とても笑顔なんて向けられない、無様なジサマ走りが恥ずかしい。
が、歩くのはもっと恥ずかしいから、どんなに遅くとも止まらない、歩かない。
大会会場に戻ってきて、ぐるっと中を回って、ラストラン30メートル。なんて苦しいだよ、多くの観客の前だけでも颯爽と、なんてゆとりまったくなく、へたり込むようにゴール!
せめてもの慰めは、歩かなかったこと、止まらなかったこと、途中冷却スプレーのサービスを断り続けられたこと、それでも足が攣らなかったこと、ゆっくりだがすぐに歩いて荷物の引き取りに向かえたことぐらいかな。
ネットタイムで2時間33分56秒。スタート時のロスが3分程度あるから、公式タイムは2時間37分、まっ、制限時間には10分以上あったが、危ないところだぜ。
こうやって、じわりじわりと遅くなって行き、ついに、リタイア!そんな日がもう間近だよな。
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