韓ドラ『未成年裁判』、見応えあったねぇ。主人公が大きなトラウマ抱えてるって設定、強いよ、ドラマに深みを与えてくれる。今時、なんでもござれ!のスーパーマン、ウーマンなんて、お子ちゃま相手ならともかく、しらけるだけだもの。
主役のキム・ヘスの暗さも良かった。『シグナル』でも、理由も分からず恋人が失踪して性格ひん曲がっちまった刑事の役、影のある役とごろの似合う役者だなぁ。
子どもたちの犯罪を題材にしたこのドラマ、裁く立場の裁判官が深く傷を負っているから、少年少女犯罪に対して一方的な断罪になることなく、被害者、加害者どちらにも気くばりが効いた展開が生み出せている。
見終わっての感想は、その他にも多々あるが、今日は、感謝の言葉を。
最終話は暴力的な少年たちに集団で暴行された少女の物語だった。
単純な性的暴行事件の裏側に、犯罪を重ねる少年の異常性と、それを育てたすべての大人たちへの糾弾って視点が明確で、改めて、子どもたちの家族はもちろん、警察、司法、更生施設などすべての大人たちに責任があることを突きつけてくれた。
その終章近く、被害を受けた少女の心の傷は決して癒えるものではない、とのセリフを聞いて、そりゃそうだ、もっともっと寄りそってあげなくては、って思ったと同時に、
今回書き上げた菜の花座新作『蒼い森の館』、この部分の書き込みが足りなかった!って強烈に思い知らされた。
こちらは暴行ではなく、強制的に慰安婦にさせられた女性の呻きなのだが、それを強要したばかりか、その後その女性を蔑み、差別までした村人たちへの激しい憎しみを語らせる必要があるって気付いたんだ。
仕上がって、台本読みもしてみて、なにか軽すぎる、ポイントを外してるんじゃないか、って感じてたのは、ここだったんだ、って気付いた、遅ッ!
幸い、稽古に入ってまだ1週間、書き換えるのはムリでも、書き加えることならできる。あまり、適切な手法じゃないが、女性の独白の形でシーンを付け加えることにした。
半日悩み抜いて、1ページほどの長セリフを台本の中に組み込んだ。できれば、村人との対話の形で表現出来た方が好ましいのだが、今回の作品の構成上、それは出来ない。一人、思いを語りつつ、体験の周辺事実も知らせる形にした。
演じる役者は力量十分なベテラン、この増加分、それも重い内容の独白を、しっかり観客の心に突き刺してくれることだろう。
って、ことで、韓ドラ、いつだって勉強になってるんだよ、毎晩の視聴は気晴らしだけじゃないってことさ。