ウィスキー党(ただし安酒)宣言!をしてからかれこれ半年。焼酎に回帰することもなく、原点日本酒に舞い戻ることもなく、相変わらずスコッチ安酒の周辺をうろついている。変わったことと言えば、シングルモルト、ただし安酒、にも手を伸ばし始めたことと、ジンにも色目を使い始めたことか。いろんなウィスキーを渡り歩く浮気な飲み方は一貫している。
安酒党員のさもしくもたわいない喜び、それは、月に1度、酒のヤマヤに仕入れに出かけることだ。酒豪ってわけじゃないから、1か月3本もあれば、事足りる。貴重な新人発掘の機会だ。それまでに飲んだ酒は避けて、未体験の酒を選ぶ。もちろん、3本ばらばらだ。できるだけバラエティに富んだ選択を心がけている。メーカーの違いもそうだが、スコッチ、アイリッシュ、バーボン、など文化圏の異なるものを選ぶようにしている。ウィスキーについて知りたい。まだまだ、学習中、研修中の身なのだ。前回あたりから、これにジンも加わって選択肢が大幅にひろがってしまっている。
陳列棚を行きつ戻りつ、上を見、下に目をやる、至福?のひと時だ。実に多くの種類の酒がある。俺を飲め、私を試してよ、と迫って来る。シングルモルトの高級品からは極力目を背け、1本1000円からせいぜい2000円程度の低級品、いや、ハイコストパフォーマンスの酒たちを吟味していく。
今回、ジンのタンカレーはあらかじめ選出済だ。テレビドラマ「バー レモンハート」でメガネさんが渋く飲んでいて、うん、こいつぁ、ストレートで粋に決めなくっちゃ、と思っていた。見れば、トニックウォーターがおまけでついてる。そうそう、ジントニックなんてのも、多分飲んだことがあるはずだが、記憶の彼方に霞んでいる。農作業後の一気飲みにいいんじゃないか。
次のセレクトは、スコッチのブレンデッド。これは安くて美味い酒がたくさんある。いや、ありそうだ。これまでも、ティーチャーズに感動し、ベルに納得し、前回はデュワーズの実力にひれ伏した。無難にかつ最安値で選ぶならティーチャーズの880円か。でも、まだまだ、お付き合いしたことのない酒も数多い。そうだ、研修中の身だってことを忘れるな。身を固める前に、もっともっと遊ばなくっちゃ。横に目を移すと、バランタイン、これも上品な瓶で気がかりの1本だった。おっ、炭酸がサービスに付いてる、よしっ、そんじゃ2本目はバランタインで決まり。
さて、最後の一本、何にするか?低価格シングルモルトか?アイリッシュか?バーボンか?と、洋酒コーナーを行ったり来たり、嫌でも目に付くのが、赤い封蝋バーボンの逸品。そう、メイカーズマーク!こいつには、以前飲んでぞっこんだったんだ。久しぶりのリピートってことになるが、これもまた、メーカーグラス付き!こりゃ、買うしかないでしょ。
なんとねぇ、決め手はすべておまけ!さもしい話しじゃないか。炭酸だってトニックウォーターだって、買えば数十円の品物。そんなもんに釣られて衝動買いしちまうんだから。メーカーやヤマヤに上手く乗せられてるってことだぜ。と、自己嫌悪にも陥りかけたが、いや待て、おまけに心惹かれて買い込む、なんて、まさに安酒党員らしいじゃないか。粋がらない、恰好つけない、卑下しない、そして、安くて美味い酒を賛美する、これぞ、安酒とつるむ掟だ。すなおに、おまけとサービスを楽しもう。そうさ、さもしい精神だって、美味けりゃ、高貴な陶酔に酔い痴れることができるんだから。