ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

上手い下手なんて屁でもない!

2007-11-27 23:49:25 | 演劇

 県大会の講評で、へーって思ったことがあった。それは、井田安寿さんの、「高校生でよくもこれだけいろんなキャラクターの役者がそろったものです」って言葉だった。

 正直戸惑ったね。演出する立場の僕からすれば、なんだってこうへんてこなのばかりいるんだよ、うちの部は!って、諦め半分、ため息混じりで当て書きした台本だったから、ええーっ、そうなんだ!って感じだった。

 でも、言われてみれば、たしかに、こいつら面白いんだ。中でも、トオル。こりゃ絶品だ。いや、部の中じゃ、常に非難の的、もう勘弁してよ、って感じで認識されてる男なんだ。だって、スキップできないんだからね、スキップが!どこか、リズムが、ワンテンポいや、三分の一ほどずれてる。さらに演技は、驚異のワンパターン男なんだ。でも、当人はいたって真面目なんだけどね。ほんと、愛すべき真面目さ。だから、すっごく面白い。すっごくいい!!このトオルの評判が、舞台を見た人の評価ではすこぶる良かった。それから、イクミ!このちょっと太めの姉ちゃんと主役おすぎ婆さんをやったミドリ、この三人が爺婆三人組を演じたわけだけど、これがもう、ほんとうに大絶賛だった。

 これら個性的な爺婆に美少女チヒロとアキがいて、すっとぼけた主役のコウキがいて、四角四面のマリコがいて、さらに、子役?のユカとケンタロウまでいるんだもの、う~ん、やっぱり、うちの部は個性的役者の勢揃いだったな。

 で、思うんだけど、役者ってのは、上手い下手の問題じゃない。個性なんだよ。持ち味なんだ。ちょっとばっかし演技が上手いなんて、どうってこともない。下手だからって気に病むこともない。人間としてなんかびびっと迫ってくるものがあれば、それでいい。個性が粒だってればそれで正解なんだ。だから、なまじっかの美人とか、そんじょそこらの二枚目なんて、つまらないんだ。

 そのことの凄さをしっかり認識した時、その役者は、人間は、一皮むけることになるんだと思うんだけど、どう思う?あっ、もちろん、演出もね!で、今回、そのことを気付かせてくれた井田安寿さん、ありがとう!!

 も一つ思うこと。いろんな持ち味の役者がいるってことが、芝居に厚みを持たせるんだってこと。二枚目と美女だけ集めたって面白くなんてないものね。テレビドラマ見ればわかるよ。その点、外国映画の脇役陣は凄い。こんな人間いたんか!?ってくらい常識破りがたくさんいるもの。もう、そんな役者の型破りの面構えや肉体見てるだけで圧倒されちまう。日本の映画や舞台は半端だもの。

 そうなんだ!だから、置農の舞台は存在感があったんだ。ありきたりの高校生じゃなかったから。よかったね、まともじゃなくて、て言ったらきっとごしゃく(怒る)だろうな。

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50(歳)を過ぎたら板(舞台)地獄⑭:本書き事始め!

2007-11-23 21:40:53 | 演劇

 最初に台本を書いたのは、演劇学校の2年目だった。だから、今から10年前ってこと。書いたのは、良く知っていて、その時夢中になっていたいこと。つまり、演劇学校のことだった。題名は『輪になって踊ろ!』。ほら、V6が歌ったやつ、あれをタイトルに頂戴した。その頃、ダンスのレッスンで踊っていて、ちょっと気に入っていたから使わせてもらった。

 内容はそのまま演劇学校のパクリだ。いろんな人が、いろんな動機で、いろんな顔つきで集まってきて、一つの舞台を作り上げる。そんな中で、いつしか心がつながり一体感が生まれていくって、まあ、お定まりって言えばその通りのストーリーだ。

 でも、僕としてはエチュードなんかの練習風景やダンスレッスンを巧みに?スケッチしたり、客席から登場で幕開けなんて工夫凝らしたり、装置もステージそのもの全部見せてしまうなんて奇を衒ったりして、初めてなりに肩肘は存分に張った作品だった。それに、登場人物も演劇学校の生徒を一人一人観察して当て書きしたりして、今思うと、それ以降の書き方の方向性はだいたい出ているって感じる。

 これをできれば、卒業公演でやってほしいと思ったんだ。本公演の『わが町』が終わって、卒業までの4ヶ月ほどで仕上げるにはちょうど良いし、演劇学校の生徒が演劇学校のこと書いてそれ上演して卒業なんて、実にいい具合じゃないか、どう?だから、僕としては、かなり気入れて書いたし、できた作品に自信もあった。演出もさせろ、とまでは図々しくはなれなかったけど、ぜひぜひやってほしいと願ってた。

 でも、ダメだった。先生からのOKが出なかった。と言うより、先生からほとんどコメントが寄せられなかった。たった一言、セリフに特有のリズムがありますね、ってこれだけ。えっ!うそだろ?生徒が精一杯書いた台本だよ、50人以上もいる生徒の中から、唯一書かれた台本なんだ。何処がいいとか、何処を直したらいいとか、上演するにはここが足りないとか、何かあって当然じゃないか?卒業公演に使わないならそれはそれでいい、でも、その理由くらいは明らかにしてほしいと思った。何もなかったね、さっぱりと。卒業公演は、井上さんの『十一ぴきのネコ』の一部分を歌って踊ってお終いってことになった。

 結局、この作品は、未だに上演されていない。第3期の演劇学校生徒の一部の人がぜひやりたいと言ってくれたけど、どういう事情だか、やはり没になった。

 先生が、どういう気持ちでこの作品を葬り去ったのか知らない。僕の作品があまりに拙かったのかも知れない。批評するに足りないと考えたのかも知れない。それでも、そのことを丁寧に伝えるべきだったと思う。ダメさ加減を言葉にすべきだった。

 この出来事から学んだこと、それは、指導者は、生徒の努力に、精一杯とまでは言わないまでも、真摯に向き合う姿勢が求められるんだっていうことだ。

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『どんがら山奇譚』再演!

2007-11-21 22:16:28 | 演劇

 県大会を最優秀で勝ち抜いた『どんがら山奇譚』を、もう一度上演することができることになった。詳しくは2度だ。東北大会も含めれば3度だけど。

 東北大会出場を記念して、学校あげて公演を準備してくれることになったんだ。昼夜2回の公演。昼の部は置農生全員と川西一中生と全員が観客。両方合わせると確実に700人を超すからね、フレンドリープラザが完全に満席の状態で演じることができるってわけだ。凄いよ、まさか、年来の希望がこんな形で叶うとは思わなかった。超満員、もしかすると立ち見も出るって状態だ。

 夜の部は一般に公開だ。こちらも極力満席にすべく、先生方が実行委員会まで組織して頑張ってくれている。本当にありがたい限りだ。それぞれ部活動を持って精一杯活動しているっていうのにね。何で、演劇部のためにさんなねのや、って気持ち、きっとあると思う。でも、それをぐっと押し隠してポスター貼りやらパンフレット作りに奔走してくれている。

 この夜の部はチケットが500円、高校生の演劇、しかも、一つの高校の入場料としては異例の高価さ?ではないか。それも、校長や教頭の下心が、いやいや、親心があってのことなんだ。つまり、この公演で少しでも収益を上げて、演劇部の東北大会費用にカンパしてくれようって魂胆なんだ。これまた、ありがたい!

 でも、これって、そう上手くは事が運ばないと思う。果たして何枚売れるかってこともあるし、仮にかなりの枚数売り切ったとしても、会場費やら、印刷代やらでほとんどチャラだと思うんだ。だから、この売り上げカンパはほとんど期待していない。やらせてもらえるだけで、もう、十分に感謝、感謝なのだ。大会前、お客さんを前にして2回も経験を積める、って凄い幸せなだと思う。一回の舞台は24人の自信につながるから。

 当日9時に入って14:30には開演、こんなハードスケジュールを可能にするために、プラザのスタッフが照明の仕込みを事前にやっておいてくれるってことにもなった。ここでもまた、素晴らしいご厚意。学校の地域のこんな暖かい支援の輪に支えられて東北大会に進む。否が応でも、頑張らなくちゃね。

 さて、この公演のポスターも、菜の花座のポスターでお馴染みメグミの作品だ。今回は珍しく人物抜きのポスターで頑張ってくれた。ここに紹介しておこう。Photo

 そうそう、公演の詳細を書いておかなくてはね。

 公演日時:12月5日(水) 昼の部14:00開場 14:30開演                        

                  夜の部18:00開場 18:30開演(一般対象)

 会場:川西町フレンドリープラザ

 入場料:500円(高校生以下無料)

        

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小劇場を作ろう!

2007-11-18 22:21:39 | 演劇

 だいたいねぇ、700席のホールなんて大きすぎるんだよ。田舎町のアマチュア劇団が満席にできる数字じゃないね。菜の花座の場合、旗揚げ公演が、最高で350だったか。まあ、普段の公演なら、200がいいとこ。いやいや、その200だってなかなか達成できない数字なんだ。

 アマチュアだけじゃない。プロの劇団だって、ここ川西町フレンドリープラザの客席を満席達成できるのは、井上さんのこまつ座と、超有名な役者が出るときくらいだからね。最近で言えば、渡辺えり子さんと小日向文世さんのミザリーかな。あの素晴らしい舞台をプレゼントしてくれた音楽座だって400いかなかった。つらいよねぇ、ほんと、つらい!

 だから、僕らみたいな弱小劇団は、150~200席くらいのこぢんまりしたホール、と言うより小屋がお似合いなんだよ。って、言うか、そのくらいの方がきっちりお客さんとやり取りできていいんだ。700もの客席にお客さんちらほらってほんと、萎えるもの。

 ところが、演劇ができる設備整えていて、しかも200席なんてホールは、ここいらにはどこにもない。じゃあ、作っちゃえ!

 と、いうことで、今回の菜の花座の公演『遭難、』は小劇場をでっち上げて、打つことにした。どうやって?舞台の上に舞台も客席も詰め込んじゃうって話しだ。これって、フレンドリープラザじゃもう随分前から実験済みの手法なんだ。平田オリザさんの青年団がこの方法で、行き詰まるような緊迫した舞台を作っているし、最近のプラザ演劇学校公演ももっぱら、この手で勝負している。

 まあ、二番煎じって感が無きにしもあらずだけど、これを今回徹底して、これから先の定番にまで仕上げられないかってのが、僕の目論見だ。ステージの上手半分を舞台にして、下手半分と下手袖にぎっちりと、そう、東京の小劇場のようにきゅうきゅうに客席作る。入り口は下手袖への出入り口だ。ここから客席まで、狭い通路をしつらえて、・・・おっと、あんまりばらしちまうと、当日の楽しみが無くなるな。

 成功か失敗か、まずは見に来てください。えっ、小劇場のできばえじゃないですよ、芝居のほうですよ、芝居!目の前で、つばが飛んでくる近さでやりますからね。乞う!ご期待!!

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東北大会へ!レベルアップ大作戦?

2007-11-16 23:08:45 | 演劇

 せっかくの東北大会だからね、も一度上演の機会をもらったんだからね、学校上げてバックアップしてくれいるんだかね、確実にレベルアップしたいと思うんだ。審査員の先生方にも様々アドバイスをもらったし、顧問仲間からも、ずけずけ言ってもらったから、それをしっかり生かそうと思ってる。素直じゃないか!とても僕とは思えない。

 そう、今回は、いたって謙虚なのです。どうしてか?やっぱり最後だからってことだろうね!今年で僕は定年、つまり、これが最後の高校演劇ってことなんだ。最後の年に念願の東北大会って、なんか、ドラマみたいだろ?えっ?最後の大会が全国ならもっとドラマチック?そうだよ、そう行きたいよね!!

 で、かなり本気で、全国行こうって思いこんでいる。学校上げて東北大会出場記念の公演まで準備してくれて、大会のために終業式の日程まで変更してくれようって言うんだから、そりゃ、必死にならなきゃバチが当たるってもんだよ。

 じゃあ、レベルアップ大作戦の中身は、って言うと、まず台本の一部を書き換えた。効果的じゃないって指摘された長セリフをカットして、暗転を明転に変えた。次に生バンドの楽器編成を和風に変更、さらに、伴奏をピアノからキーボードにする。これだけでもかなり大胆な変更だ。

 でも、最大の弱点は、言うまでもなく、歌!なんだよ。もう、これはは助言を受けるまでもないことだ。まず、声が出ていない!音程が怪しい!次に表現力が乏しい!さらに、芝居から歌への転換が唐突だ!この課題を克服するのってかなり難しい!!

 じゃあ、どうする?決まってるでしよ、プロの力を利用する!ってことだ。というこで、昨日、初めてプロの声楽家をボイストレーナーにお招きした。山形市のY先生だ。先生は、学校で教える傍ら、歌手として様々なオペラやミュージカルに出演している本格派だ。音楽の土井先生の紹介で来ていただいた。

 結果はどうだったか?これが、実に素晴らしい成果だったんだ。まず、声がしっかり出るようになった。僕には、せいぜい、腹から声を出せくらいのことしか言えなかったけど、Y先生は姿勢や身体の動きを利用して、声をしっかりと引き出してくれた。

 次に、口の中の開け方。口腔の奥を大きく開けないと声は響かない。ところが、下の付け根を押し下げて口腔を広げるっていう感覚がなかなか掴めなかったんだ。それをY先生は、なんと、ムンクの叫びで感じ取らせてしまったからね。凄い!

 さらに、リズムだ。オープニングのアップテンポの曲、これが、まるで力が無くて、ほとほと困っていたんだけど、これを、なんと、手拍子打ってステップ踏みながら歌わせたものね。あっという間に、ノリノリの生きのいい曲に仕上がって行った。

 も一つ、歌詞が聴き取りづらいって問題。これなんか、作詞者の僕にはわからないことだ。だって、詩を諳んじているからね、不明瞭でもわかってしまう。その原因が子音の発声のまずさにあるって指摘してもらった。そして、その矯正方法もね。

 でも、一番ありがたかったことは、歌の歌詞をセリフとして届けるってことを教えてもらったことだった。これは、大会の審査員の井田先生からも言われていたこと。歌う前にまず歌詞をセリフとして読んでみる。その気持ち、その表現をそのままメロディに乗せていく。これが、相手に伝わる歌になるってことなんだ。

 言われてみれば、あまりに当然、演技指導する僕の立場からすれば、当然過ぎることなのに、何故か、気付かなかったんだ。歌は歌だって思いこみがあったんだろうね。実に恥ずかしい限りだ。まず、歌詞をセリフとして読んでみる。そのニュアンスを最大限残しながら、メロディに歌詞を乗せていく。この指導のお陰で、おすぎ婆さんの歌が、若々しい十代のものから、設定通り70歳台のものに変わっていった。お見事!!

 やはり、その道のプロってものは違うよ。教わること、本当に実り多き2時間だった。Y先生には本番直前に今一度レッスンを御願いすることにした。そして、次回は、もう一人のボイストレーナーO先生の出番だ。さあて、今度はどんなことを教えてもらえるんだろうか!レベルアップ大作戦、一歩一歩、成果を積み上げて行こう。

コメント (2)
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