ステージおきたま

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舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ポピュリズムですが、それが何か?

2025-01-01 17:58:46 | 本と雑誌
年明けて、お屠蘇気分の人、家族そろって団らんの人、初詣で家内安全、世の中平穏!を祈って来た人たち、許せ!

今年一年、勝負の年だ!世の中、どこもかしこも曲がり角、悔いない道を選びたい、それが年頭の思いなんで、無粋な行いとは知りつつも、さっそく政治ネタを突っ込むぜ。



ポピュリズム?だからどうした。

ポピュリズム!って言葉投げかけただけで、批判しつくしたって思ってる人、この本読んでからにした方がいいぜ。
『ポピュリズムと何か』水島治郎著・中公新書。

”〇〇とは何か?”本ってさぁ、テーマの周辺さらっと浚ってはいお終い、って、底浅いの多いよな、って、半ば小ばかにしながら読み始めたら、これが!

やられたっ!世界の政治状況の見事な解析書だったぜ。繰るページ繰るページ、発見の連続で、付箋付けまくりになっちまった。なるほど、石橋湛山賞受賞だけのことはある。

もちろん、ポピュリズムとは何かの定義、説明もしっかりしているが、それ以上に、何故今の時代にポピュリズムが脚光浴びるのか、その各論がとても的を射ていて、重要なんだな。

ポピュリズムの潮流が押し寄せる二つの地域、南米各国とヨーロッパの国々の事情を、丁寧に分析して示してくれる。

南米については、圧倒的な貧困と格差がポピュリズム政党誕生とその後の隆盛の原因となっている。旧来の特権的支配階級が富を掻き集めて栄華を極め、社会の主導的地位を独占しており、そこでぎゅうぎゅうと搾り取られ、社会の隅っこに追いやられた人々が、黙ってられっか!って、反富豪、反支配層の火の手を上げて突っ走った党派に結集したのがポピュリズム政党だ。

この動きは、第二次大戦後の社会構造の組み換えの時期、ずいぶん早い時期から始まり、国のポピュリストが多数派となって、弱者救済の政策を積極的に進めた。
しかし、支配層の巻き返しも激しく、時には武力抗争にも発展したため、せっかく掴んだ権力を羅ぎり続けるために、強権的手段に訴えることも多くなり、ついには独裁に至ってしまった例も少なくない、と、こんなところか。

ヨーロッパ各国ではどうか?

国により、違いはあるようだが、かつて見られたナチス礼賛、反ユダヤ主義のような古典的?極右勢力は今は昔、すでに往年の勢いを失い、今や新しいタイプの右派ポピュリズム政党が議会の多数を覗うまでに成長している。

その特徴は、リベラリズムの価値を認め、だからこそ、イスラム移民との共存は不可能だと主張する。リベラル原理の延長としての排外的主張だ。
例えば、政教分離とか男女平等とか表現の自由、こういったリベラルな諸価値を大切にするからこそ、それらを認めないイスラム教徒とは共に暮らせない、って、うーん、なるほどある意味説得力のある主張だぜ。
あるいは、移民への財政支出によって自国民、従来からの白人層、その福祉が削られることは我慢ならん、という福祉排外主義の動向も大きくなっている。

南米のような極端な貧困や格差がきっかけとはなっていないが、取り残され落ちこぼされた者たちのルサンチマンが、社会を牛耳る支配層、既得権益層への反発として右派ポピュリズムの運動を支えている。

では、これら全世界的に広がって来ているポピュリズムの政治的動きをどう考えたらいいのか、著者の見立てはどうか?

ポピュリズム政党の登場、議会での進出そのものは決して悪いものではない。
社会が二極化し、保守、革新、どちらの政治勢力も大きな違いが生み出せず既成勢力として特権化している現実に、弾き出された者たちが異議を唱えるのは当然のことだからだ。
その動きによって、落ちこぼれ、追いやられた人たちの声を政治の場に引き入れることができたことは評価しなくてはならない。
それって、間違いなく多くの人たちを政治の場に引き込むことができたからだ。

さらに、新興勢力の進出によって、多数を占めて来た既成政党の側も否応なく点検、反省、脱皮を迫られる。その結果、社会全体の政治の活性化が進む可能性がある、これも見逃せない効果だってことだ。

底辺層、周辺民の声が届き始めることで、これまで見捨てられていた分野や政策に光が当たることも期待できる、たしかに!

ただし、それも、議会主義と法律順守、非暴力の行動に徹する限りでの話だ。南米の一部やフィリピンのように、デモクラシー、法治主義からの逸脱には気を付ける必要はある。そこだな、不安なのは。

ここまでが、この本の内容なんだが、
理性的に整然と排外主義を主張する動きにに対して、どう対応して行くか、ここはポピュリズムとは別の問題を突きつけて来る。
イスラムや他宗教、他民族との共存、あるいは文化の多様性を一国内でどう保証して行くべきなのか?
この先、多くの国、社会にとって避けて通れぬ難題となって行くことだろう。左派ポピュリズムにとっても大きな課題になるだろうな。

『ポピュリズムと何か』水島治郎著・中公新書の内容を軽く紹介した。本を読みつつ常に頭にあったのは、日本ではどうなんだ?ということだった。日本のポピュリズムはどんな状況にあって、それは先々どう社会を切り開いて行くのか、行けないのか?まっ、俺の考えなんて拙いものだが、次回それを書いてみたい、よろしくね、ってことで、今日はここまで。

さっ、元旦の目出度き?酒にしばし頭をしびれさせようかね。

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『オシムの言葉』今さらかよ?

2024-12-20 14:53:58 | 本と雑誌
だいたい、オシムって誰や?
知らない人だって少なくないよな。
俄かサッカーファンの俺だって、オシムが監督時代の日本代表を知らないからな。まして、それ以前に弱小チームのジェフ千葉を指導し、奇跡的な快進撃を成し遂げたってことなんて、へぇ、ほだったんか!って具合。
いや、聞くだけは聞いてたさ、当時の名選手たちからは、すごい監督だった、って畏敬の念込めて。

にしても、この本は2005年に出たんだよ。もう20年も前!古っ!でも、この本自体、伝説の名著だった、らしい、サッカー界以外でも。
俺が知ったのだって、、動画配信番組「エアーリボルーション」でだったものな。白井崇と島田雅彦の対談番組、固っ!ドイツ博識の藤原辰史がゲストの回だったと思う。

なんだって、オシムが出て来たんだ?たしかウクライナとか東欧の問題、話題に上げてたときじゃないかな、よく覚えていないが。

その時引っかかたのがこの本『オシムの言葉』三人とも、本についても著者についても敬意を持って語ってたのさ。こりゃ読まなくっちゃ、で、即座にポチ。他にも『分解の哲学』とか『中学生から知りたいウクライナのこと』どちらも藤原辰史著、なども衝動買い。机の積読コーナーで出番を待っている。が、
まずは、『オシムの言葉』副題は、「フィールドの向こうに人生が見える」だ。著:木村元彦



見てくれよ本の写真!スポーツのインタビュー本でこんなに付箋付けるか?!
久しぶりの一気読みだった。

彼の監督としての才腕、あるいは指導理念、それが常に結実した見事な成果等にも大いに惹きつけられた。特に、弱小貧窮チームのジェフ千葉の選手たちを奮い立たせた魔力とか、圧倒されるものがあった。いやいや、世界中の選手たちがこの男に育てられ、一流の道を歩んでいる。

彼のサッカー理論、走れ!走れない者は使わない、とか、攻守の切り替えの早さ、とか、チームへの献身性とか、リスクを冒さなくて成果は得られない、とか、これらって、全部、今の日本代表に受け継がれいるじゃないか!
うーん、たしかに、日本サッカーはオシムによって大変身したってのは本当だったんだ。

が、この本の、ってことはつまりオシムって人間の物語は、有能なサッカー監督の成功物語だけに止まらない。
政治の動乱に、痛めつけられ、悩み、翻弄され、民族の分断をサッカーを通して誠実に生き切ったことなんだ。
そう、ユーゴスラビア紛争。「5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を内包するモザイク国家・・」が血みどろになって戦い憎悪がしばしば虐殺をも生み出した最悪の政治混乱の一つ。その真っただ中で、統一ユーゴスラビアの最後のナショナルチームを率いた男なのだ。

92年欧州選手権に向けてのユーゴの快進撃は、内戦の激化とせめぎ合うように進んで行った。90年9月、対北アイルランド2-0、10月、対オーストリア4-1、11月、対デンマーク2-0、と勝ち進む中、
12月にはセルビアで独裁者ミロシェビッチが大統領に選出され、スロベニアは離独立を宣言、翌年1月、マケドニアも独立を宣言、3月、クロアチアとセルビアの地方警察同士が銃撃戦、5月、対デンマーク1-2、6月、クロアチアが独立、9月クロアチア内戦激化、・・・と、10年以上におよぶ壮絶な憎しみの激突が繰り広げられた。

激しい内戦のさ中でも、サッカーの試合は続く。これも驚く。

対デンマーク戦では、「代表に呼ばないでください」という選手たちも現れる。もはや、セルビア中心のユーゴ代表への参加は名誉ではなく、自国を裏切ることととらえられるような選手たちも現れていた。

すでに90年のW杯の準々決勝では、前回チャンピオン、スペイン相手に退場者を出しつつもPK戦に持ち込みながら、選手9人のうち7人がPKを蹴りたくないとスパイクを脱ぎ、敗退していた。民族間の対立が激しさを増し、選手たちへの罵り合いがプレッシャーとなって、尻込みさせるほどになっていたのだ。

そして、92年オランダとの対戦中ハーフタイムに、故郷ボスニアが戦火に包まれたと知らされる。試合後半は彼はロッカールームからベンチに戻らず抗議の意思を表した。

それでも、国内リーグの監督として、地元チームを率いて強敵を撃破し、カップ戦の優勝を勝ちとったが、もはや戦乱は多くの地域に拡大し、すでに監督辞任、国外避難を決心していたオシムは、市長への報告にも向かうことなく、チームを離れ、以降、オーストリアなど他国のリーグで足跡を残し続けた。それもいずれも無名の弱小チームを率いつつ。

内戦の争乱の中でサッカーボールを武器として戦い続けた男・オシム。母国が幾つもの国に分裂し、ともに戦った選手やスタッフとも引き裂かれつつも、常に公平・平等、リベラルな姿勢を維持し続け、誠実な態度で身を処し続けた男、ほぼ無名の選手たちを引き出し、徹底した指導と巧みな話術で育て上げた世界一とも言うべき監督人生、その半生が感動的でないわけないだろ。

どれほどに世界が邪悪に満ちていたとしても、信念を守り、人々を大切にし、サッカーを愛し続けた男。世界中から畏敬とともに愛され、人々の心に深く刻まれ続けた男。
その見事な生き方に、これまた素晴らしい本を通して浸り切った一時だった。

オシムの姿ばかりでなく、この本では、日本で寄り添った通訳のインタビュー、彼もオシムの言葉で成長しプロチームの監督を目指している、や、
内戦後初の対立国家チーム同士の緊張感あふれる試合の観戦記も、憎み合った者たちが歩み寄る半歩の記録として貴重だ。
その前段、墓地に代ったサッカー場の描写や、セルビア人地区でのいさこざ。イスラムのタクシー運転手を激しく罵る酒場の男たちとの著者の真剣な対決など、本の作者そのものが、確固たる信念と鋭い感性を持って、人々に対面していることも大きな魅力となっている。

いつまでも、この社会から争いや集団殺戮が絶えぬ限り、サッカーというスポーツが埋もれてしまわぬ限り、つまり、いつまでも、この本は多くの人に生きる勇気と正しい方向性を与え続けてくれるだろう。
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みんな、詭弁について徹底学習だ!

2024-07-25 11:26:54 | 本と雑誌
『詭弁社会』山崎雅弘著・祥伝社新書!
デモクラシータイムスで著者の話し



を聞き、即、注文!
届くや否や、順を待つ積読本の山を尻目に即、熟読!



何故か?って、そりゃ、今の詭弁横行社会に怒り心頭だからさ。

ウソと詭弁だらけで腐敗堕落に一挙転落中の国会答弁、記者会見!
お答えは差し控え、
ご指摘は当たらず、
記憶にございませず、
丁寧に説明しつつ内容なし、
誤解を与えたならお詫びする、って、誤解じゃねえってえの!

苛立ちMax、いらいらつのり、このいかさま社会、どうしてくれよう!!

まずは奴らの手の内を知ることだ、って、ことで、横行する詭弁の手口を徹底解説してくれてるのが、この本だ。

著者の山崎さんのツイッターX、手を抜かないんだよ、詭弁、誤魔化し、強弁、すり替え、見逃すことなく、徹底的に追及し、からくりを暴き、警鐘を鳴らし続けてくれている。

本には、あった、あったの詭弁現場の数々が、これてもかっ!と網羅されている。どれも、その時々、腹を立て怒りに震えたやり取りなんだが、論理力不足の俺には理路整然と批判することができなかった。

そのモヤモヤを一気に晴らしてくれるのが、この本『詭弁社会』だ。

こりゃ、全国民、必読の書だぜ。

なんせ、為政者が、手練手管の数々で国民を騙しにかかっている世の中なんだからな。いつまでも、その手に乗せられてるから、舐められて、勝手放題されまくりなんだ。

さらに恐ろしいことにゃ、それら政治家の詭弁を見逃すことなく指摘し、糾弾し、腕捩じ上げるべきメディアが、もはや、完全に相手のペースに乗せられちまってる、こりゃ危ねえ、危ねえ!

後半は、軍のウソと詭弁、政治家、官僚のお追従、そこにメディアの尻馬乗りの同調が、あの悲惨なアジア太平洋戦争へとなだれ込ませた原因としてやり玉に挙がっている。

そうなんだ、今や、戦前なのかもしれない、憲法改悪、緊急事態条項、やみくもの軍備増強、武器輸出、日米同盟、外交なしの中朝敵視、一歩間違えば、いつか見た道いばらの道、ってことになりかねない。

なっ、だからさぁ、みんなして詭弁の論理をしっかり学んで、やり返してやらなくっちゃよ、せめて、騙されないよう用心しなくっちゃ!
って著者の危機感に諸手を上げて賛成だな。






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積ん読本の壁!

2024-03-25 09:30:06 | 本と雑誌
あぁ、ゆったり読書、この際蓄積!の冬眠読書月間が終わった。
朝鮮・韓国の歴史に絞って読み続けてきたが、
先日読み終えた『新・韓国現代史』で、中断だ。うーん、まだ関連本だけだって、7冊も未読のままなのに。

今期、積ん読本の仲間入りしたのは、



ざっと20冊か?
女性問題とか農業問題、それと小説、評伝の類。

時間なんてあんだろ?リタイアジイサンだもの。

違う、違う。農作業始まるのさ、3月末にゃ。ハウスのビニール張りとか、米の芽出しとか、春野菜や夏野菜の種蒔き、おっと、その前に畑に堆肥撒いて、耕して・・・。

それと、4月から稽古に入る菜の花座新作の台本書きも始めてんのよ。
もちろん、春のマラソンレースのためにトレーニングにも力入れなきゃならんし。

夜は夜で、菜の花座東京公演の稽古、照明のラフプラン作りとか。そうだ、山形ワンコイン演劇祭てのにも出してもらうことになって、その準備とかもあったっけ。

要するに、本読んでる暇なんてあるわけあんめっち!
の二股掛け暮らしが再開するってことなのさ。数十年間続けて来た生き急ぎ人生、どこまでも続くわけだ、これもう、俺の生き方パターンだから、体動かなくなるまで突っ走るしかない。

この多忙人生、結局勉強がおろそかにするしかなかった。基礎基本の教養がまるで不足だ。世の人たちとの共通体験がまるでない。烏山明?アラレちゃん?たらこ?えっ、なにそれ?

せめて冬休みくらい、のんびりせっせとため込むか、って目論見も敢え無く絶たれることになった。
結局、こんな薄っぺらな知識と貧しい経験頼りに、拙い作品を書き続けるしかないんだな。

なぁんて、詠嘆?してねえで、暇な時間の無駄使い、読書に当てろよ!
うん、それとっても真っ当!
てもなぁ、Neflixも見なきゃならし・・・
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むむっ、こりゃいい本だ!

2024-02-27 10:00:02 | 本と雑誌
『排外主義克服のための朝鮮史』梶村秀樹著・平凡社刊。
群馬の慰霊碑も取り払われちまったし、朝鮮学校へのヘイト攻撃は相変わらず。どうしてこうも朝鮮人を嫌悪し続けるんだろ?
朝鮮人だけじゃないか、中国人も、最近はクルド人も、自分と違う人たちの暮らしぶりが我慢ならんって、どんだけ狭量なんだよ。

ますます広がる、外国人出てけ!の風潮、ヤバいよねぇ、ここんとこ、しっかりひっくり返さないと、また、関東大震災時の二の舞、朝鮮人とか外国人とか虐殺が再来しちまうぜ。
能登地震でも、中国人の窃盗団がバスで大挙到来!なんてヘイトデマ流れたくらいだから。

ずっと気になってたんだが、ここらで朝鮮の近現代史をじっくり、まっ、さらっとかな?知っておこうか、で、何冊か手に入れたうちの1冊がこれ。



えっ、なんか読みにくいんだけどぉ!?

朝鮮史を考える上での基本から解き明かす、そこからかよ。福沢諭吉の朝鮮蔑視は知ってたけど、わっ、大井憲太郎までやり玉に挙がってるぜ。うんでも言いたいことはわかる、大阪で強盗やって資金集め挑戦に渡って革命だって、日本で政治改革できない奴が朝鮮でならなんとかって、甘く見過ぎだろ、その感覚が大陸浪人たちの横暴な行動につながったわけだ。

つまり、著者がとことん否定したいのは、朝鮮は自ら変われない、ずっと停滞社会だったって、それまでの歴史学説や巷に流布した共通認識は決めつけで現実じゃないってことなんだ。
つまり、他律性史観と停滞史観、これが日本の韓国併合、植民地化の口実になったってわけだ。お前ら自分じゃ近代国家に変われんだろうから日本が引っ張り上げてやるよってお節介。今でも信じてる奴らうようよいるよな。

って、他人事で済ませられないんだぜ。俺もなんとなくこの印象、差別感に囚われてたもの。解放以降の朝鮮半島の歴史なんかも興味なし、漠然と知らないまま過ごしてきた。この無意識の無視、漠然と、遅れた国なんだぁ、って蔑視感覚に流されてた。まっ、ヘイト発言繰り返すネトウヨたちと大差ねえよな。

実際の歴史じゃ、何もなかった、なんてとんでもない。日本の植民地化の強圧の中で、様々な抵抗が諦めることなく繰り広げられていたんだ。民衆の粘り強い活動が歴史が時代を追って紹介されている。

朝鮮史の主人公は朝鮮人人民だっ!
この事実を明らかにすることが本書の最大の目的なんだ。

地を這い、山野を駆け巡った人々の絶えることなき抵抗活動、東学党の甲午農民戦争から3/1独立運動、厳しい弾圧にさらされながらも、言論で、組織で、民衆運動で引き継がれていく反日独立闘争。

それは決し途切れることなく8/15の解放以降にさらに大きく盛り上がって行く。が、自主的即時独立を目指すうねりは、ソ連とアメリカの身勝手な意図で引き裂かれ、ついには朝鮮戦争の惨事へと流れ込んでしまう経緯、戦線が畝ローラーのように国土を国民を押しつぶして行った悲惨。
こんなこともほとんど知ろうとしなかったなぁ。

その後の繰り返される独裁政権、幾多の犠牲を出しつつも自主独立と民主主義を求めた人たちの尊い活動の連続性。彼らには決して屈しない反骨の精神がずっと受け継がれているんだ。
ほとんど民主主義が機能しなくなって久しい日本の現状、好き勝手やり玉たい放題の政治に効果的な反撃一つ打てない日本、学ぶものはいくらでもある。

どんなに苦しくとも、どんなに屈辱的であっても、怒りの炎を絶やすことなく粘り強く行動し、言うべきことは発言し続ける朝鮮の人たちの姿、著者の断固とした主張、民衆への信頼、たしかに受け取ったぜ。

ただ、この本には疑問点もあった。
一つは、左翼運動に偏り過ぎちゃいないか?ってこととか、民衆ってもんを型に嵌め過ぎじゃないか?ってことなどだ。
それと、なんせ古い本、刊行は1990年、再刊が2014年、でも、実際に書かれたのは1970年代。韓国の漢江の奇跡以降の韓国には当然触れようがない。北朝鮮の軍事国家化、独裁化と経済停滞についも当然言及しようがない。著者が今の時代に生きていたら、どんなまとめ方をしてくれるんだろうか?

そんなないものねだりしてたって仕方ない。もっともっと知りたい韓国のこと、北朝鮮のこと。その容易ならざる紆余曲折の歴史。だったら、さらにじゃかじゃか読めばいい。

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当分は朝鮮、韓国読書月間が続くな。




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