ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

初出演者が支えた『女たちの満州』

2016-05-31 08:44:57 | 演劇

 舞台についての反省と内幕暴露、役者編その①だ。

 今回、何と言っても大きかったのは、新入り?ちと言葉が悪いか、菜の花座初出演の人たちの存在だ。張役をやった倉崎さんはNHK山形のディレクター、地元初ドラマ『私の青鬼』を演出した人だ。これまでもシニア演劇学校の取材方々付き合いがあり、ぜひ、演技者として舞台を経験してみたいと、菜の花座出演を熱望してきた。途中、東京主張で半月ほど出られないことはあったが、稽古期間3か月を通しほぼ皆出席を通した、それも山形から通って。演技力としては未知数の彼を上手く組み込むために、張という中国青年を書いた。せっかく出たいと言ってくれるのに、端役というわけにはいかん、かと言って出番やセリフを多くするのも心配だからね。

 結果として見ると、こちらの思惑は的中したと言っていい。いくらテレビの演出を手がけてきたとは言っても、自分が演技するのはまったくの別物、体のぎこちなさ、セリフの一本調子は最後まで付きまとった。もっと客席向きに立つように、演技するようにと何度もダメ出ししたが、本番でもほとんど治らなかった。客席を向くという舞台での演技に違和感があったのか、それともただシャイなだけだったのか?わからない。ラブシーンもあり、せっかくの美味しい役なのに、舞台の写真はほとんど、横顔!しかもうつむき加減、ただ一人の若手男子、もったいない。でも、その頑なな姿が、張に暗さとひたむきさを与えていたから、それはそれで良かったのかな。おっと、それも計算してたなんて言うかな?

 台本を5人の娘を中心に書いた当初、菜の花座には若手女性はわずかに3人、あと2人、どうすんの?予定していた置農OGや他劇団メンバーに断られ、さっどうする?!絶対絶命の行き詰まりを救ってくれたのが、文恵役のあすかさんだった。菜の花座の営業部長兼スカウト主任のナヲコさんが探しだ出してきた。講演会の余興?コントに出演していたのに目を付けたのだ。彼女の眼力、そして交渉力、お見事。出演してくれることになったあすかさんも珠玉だった。子供の頃、ミュージカルに出演したこともあり、モダンダンスを長らく習っていたこともあって、初の演劇舞台でも物怖じすることなく堂々とかつ可憐にかつコミカルに演じ切ってくれた。稽古の出席もほほ皆勤、彼女の実力と誠実さと、セリフ、演技の覚えの速さは、菜の花座メンバーに衝撃を与え、強力に鞭打つ役割を果たしてくれた。声も大きく響きがある上に微妙な表現も巧みにこなし、身ごなしにも切れがあって、ダンスや体操など共通の動きではいつしかリードする立場になっていた。何より、役理解の確かさには、演出としてほとんど注文する必要もないほどだった。

 もう一人の娘役は、置農OGを次々当たった末、イクミが引き受けてくれた。この春短大卒業、介護の職場に就職したばかり、当人への負担が大きすぎと声を掛けるのをためらっていたが、背に腹は代えられぬ、無理を承知でやってもらうことにした。案の定、新入職員は忙しい、その上慣れない生活サイクル、稽古にもろくろく出られない日々だったが、自主練習をしっかり積み上げ、約束事の多い5人娘の1人を演じ切ってくれた。当初、コミカルな持ち味を生かして、文恵役を予定していたのだが、あすかさんが数日早くその役をさらってしまったとばっちりで、当人のキャラとは正反対の八重子役になってしまった。不幸だったのか?良かったのか?勉強するという意味ではよい経験だったんだと思うことにしょう。もちろん、アマチュア演劇初舞台、まだまだどうにかこなすという域、これからだね、これから。しかし、数日の練習で違和感なく合わせ切ったのはさすが、置農演劇部OG!だな。

 この3人が加わってくれたお陰で、『女たちの満州』は幕を上げることができた。そればかりか、菜の花座メンバーに与え影響は計り知れないものがある。その一つ、セリフ入れ。これまでぎりぎりまで入らず、1週間前の通しも出来ない有様だったのが、さすがに、恥ずかしい、申し訳ないと反省したのたろう、早い時期に台本を離して稽古することができた。稽古場の雰囲気も暖かく活気があって、その点でも、大成功の一因を担ってくれたと感じている。

 次回12月公演、あすかさんは保留中だが、他の2人は出たいと言ってくれた。今度は日本人で!倉崎さんの希望、叶えないわけにはいかんだろうな。イクミが出たことで、その同級生も出たいと言って来た。若手不足に悩んでいた菜の花座、いよいよ新しい展開となりそうだ。そうなれば、今までの若手は、ベテラン・中堅てことだから、覚悟はいいかね?

 

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『女たちの満州』ゲネプロ画像

2016-05-31 00:09:28 | アート・文化

『女たちの満州』ゲネプロ画像

 

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公演盛況!『女たちの満州』

2016-05-30 09:12:15 | 演劇

 久しぶりだなぁ、観客数250人を超えた。客席の後部席1/3は仕切り幕で立ち入り禁止にしてあるからホール全体じゃないが、客席として用意した部分はほぼ8割がた埋まった。これだけ詰まると、満席感たっぷり、いやぁぁ、嬉しくなるなぁ。役者も気合いが入ったろう。

 これだけ人を集められたのは、やはりテーマ「満州」が大きいかな。全国紙2誌も取り上げてくれたように、戦後70年を経過してほぼ埋もれつつあった戦争の記憶を、今もう一度呼び覚ましておこう、との気分が広がってるいるんじゃないだろうか。特に安保法制化問題で不安を感じるシニア層には、なんとか戦時の実態を伝えて欲しいとの思いが強いように感じる。見終わった観客からも、ぜひ、他でも公演し多くの人たち、特に若い人に見せてほしいとの声が多く寄せられていた。カーテンコールの挨拶に対しても、客席から「よしっ!」と声がかかったりして、ちょっと政治集会の趣で、苦笑してしまった。

 「女」を手掛かりに歴史を探っていく、菜の花座の新趣向も、どうやらお客さんに好意的に受け止められたようだ。笑い満載の楽しいものもいいが、重いテーマをしっかりと作り込んだ重厚な作品には代えがたいとの声も聞こえた。自由を手にしてどんな世界にも羽ばたき可能のように見える今の女性たち、実は様々な側圧がかかっていて、生きづらさは日々募っているのかもしれない。まだまだ女たちの苦難は続く。

 菜の花座のファンがじわじわと増えつつあるという面もあるかな?今回もそうだったが、いつの公演でも必ず見る顔がずいぶん見受けられた。拙いなりにも鑑賞に堪える作品を作り続けて来たことが劇団への信頼につながっているのだと思う。

 さらに大きいのは、菜の花座の営業部長のナヲコさんの存在だ。ご近所さんを中心に、飛び込みの売り込みまでして、56枚ものチケットを売り捌いてくれた。これまでの菜の花座になかった力だ。他のメンバーも見習わなけりゃならん、と同時に、「ぜひ、見て欲しい作品だと思ったから売れた」との彼女の言葉、作る立場として、これからもきつく心に留めておかにゃならんなぁ。

 さて、観客の反応だ。幕が降りたときの拍手に熱いものが感じられたものの、うむ?上手く行ったのかな?一抹の不安もあった。テーマが重いし、歴史作品だし、どう受け止めてもらったか、気になった。が、客だしの光景を見て、不安は安堵に変わった。一列に並んで挨拶する役者たちの前にずらりと長い観客の列ができていた。出演者一人一人に感動とねぎらいの言葉を伝えたくて、並んでいる。中には涙に目を潤ませる人もいる。役者もついもらい泣きをして、共に感動の涙にくれる姿も見られた。100人と握手したと言う役者もいたりして、お客さんの好感度は間違いなかったようだ。反対側に立つ僕もお褒めの言葉を幾つもいただいた。まずは、成功、自信を深めることのできた公演だった。

 今回は概況の報告のみ、作・演出から見た公演評は次回書くことにしよう。

 

 

 

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記気楽に仕込み。進化する菜の花座!事のタイトルを入力してください(必須)

2016-05-29 07:31:59 | アート・文化

 本番前日、朝から仕込みだ。前日までに照明の仕込み図が上がらず、大慌てで代作する、なんてすったもんだもあったが、始まってみれば、ゆとりの仕込みだった。

 何が余裕かって、まず、仕事ができる人間が増えたってことが一番だ。照明はカナミに任せておけばいいし、舞台の立て込みはナオミが上手にリードしてくれる。当日気づいたケコミの未製作も道具担当が、さっさと作ってくれるし、吊りものの旗や、雪も任せきりで大丈夫。二日前、頼み込んだ簪も、期待通り!東根小道具製作工房が素晴らしいものを仕上げて届けてくれた。

 いやぁ、楽になったもんだなぁ。以前だったら、演出自ら、きりきり舞いして飛び回っていたもんだった。とてもとても、写真撮ったりなんてできなかった。仕込み終われば、へとへと、だから、神経もピリピリ、怒声も飛んだりもした。なのに、この平穏な気分、仕込みはこうあらねばならん。

 仕込み、照明色作りは順調に進んだものの、リハーサルで思いがけずけ躓いた。CDプレーヤーの調子が悪いのだ。パソコンで焼いたCD-Rが読み込みにくい。予算ないとか言ってないで、プラザも、もう、そろそろ新しい機器に更新して欲しいもんだ。ともかく読み込み感度が最悪。ディスク入れても音が出ない、これじゃ、音響さんもビビるよ。ここが一つのネックになった。

 も一つピンスポット。担当した二人とも初ピン!光は舞台の上を右往左往するばかり、やっと当たったと思えば顔が切れたりゆらゆら揺れたりと苦心惨憺、ゲネにはましになったが、明日午前中に目いっぱい稽古して慣れてもらうしかない。

 さて、ゲネだ。セリフが詰まったり、飛んだりすることも数回あったものの、まずは、まあまあの仕上がりだった。シニア演劇学校5期生が観劇してくれていたことも役者の緊張感を高めたんじゃないかな、正味2時間10分という長い芝居をしっかり惹きつけ続けてくれた。これなら、本公演も自信をもってお勧めできる。

さっ、本日29日、午後2時開演だ。今からでも十分間に合う。プラザでお待ちしてますからね。

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後片付けは苦手だ。

2016-05-28 08:04:00 | アート・文化

後片付けは苦手だ。一仕事終われば、酒くらってさっさと忘れ、次に目が向く。前向きな性格って言やぁカッコいいが、要するに移り気でだらしないだけのこと。部屋の整理整頓なんかも、散らかり具合に耐え切れなくなるまで放ったらかしだ。乱雑さへの耐性はかなり高いので、数か月、場合によっては半年近くも手付かずなんて、おっとっと、そこまで言っていいんか?

 農作業とて例外ではない。使い終わった器具類などそのまま放置して、次の作業に移ってしまう。今だって、一昨日野菜苗の植え付けに使った線引きヒモが畑にそのままポツネンと人待ち顔で残っている。米の種まきで使った金たらいも倉庫に居座ったままだしなぁ。

 退職後、時間にゆとりができて、少しはましになったものの、今もできれば後片付けは先延ばししたい、もっと望めば、誰かにやってもらいたい!との誘惑に刃向かえないでいる。まっ、たらいなんか、そこが本来の居場所だと思えばすむことだしっておいおい!

 しかし、どうしたってさっさと片づけしなくちゃならない作業ってものも間違いなくある。それもとてつもなく苦手な仕事だったりすると、やる?延ばす?の葛藤は、愛する人に告白する?しない?に匹敵する難題となる。

 その苦手中の苦手、難敵中の難敵に立ち向かった。トラクターのアタッチメントを代掻きローターから耕耘用ロータリーに付け替える作業だ。田植えが終われば、豆畑の耕耘が待っている。ローターで固い畑土は掘り起こせないから、なんとしても、早急に付け替える必要がある。

 ローターを下して外す仕事は、左程のことじゃない。問題は、耕耘ロータリーを取り付ける作業だ。トラクターから出る2本のアームをロータリーの受け具のピンに差し込むのだが、これがなんともかとも、僕の手に負えない。アームの先端とピンをマッチングさせるようにトラクターをバックさせるってところからして、ダメだ。どうにか、直角に駐車できたとしても、ピンとアーム先端の穴がはまらない。片方嵌めれば、別が遠のく、何度も何度もやり直してみるが、できない。ついには苛立ち高じて、この機械は本当マッチするようにできているのか?とか、何だってこんな面倒な仕組みに作ってあるんだ!とか八つ当たりの罵倒を吐き散らしつつのやけっぱち作業に陥る。こうなるとますます、上手く行かなくなるのが世の常で、以前職場を持っていたころには、我慢しきれず農機屋さんを呼んでしまったほどだ。

 それでも、非力を振り絞ってロータリーを動かし、なんとか、はめ込むことができた。ヤッタァ!!

 あとは上手く行くと思ったら、3点指示の上のつり上げ金具が届かない。ここでもまた四苦八苦、よしっ、これで目出度く完了!!と思ったら、回転動力を伝えるユニバーサルジョイントが外れた。・・・

 と、油まみれになり、肩の筋をおかしくし、炎天に喘ぎ、2時間!かかって、ようやく、元のトラクターに戻すことができた。もう、何十回とやってるの、未だに習熟することができない。きっと、コツがあって、そこをきちんと押さえれば、さささのさ、交換できてしまうのだろう。そんな人間が、1年だけとは言え、高校で農業機械を教えてたなんて、これ絶対詐欺行為だよな。教わった人たち、改めて、すまん!

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