ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

道具作りを楽しもう

2009-04-28 07:00:50 | 教育

 長いながーい、台本読みが終わった。4月6日に始めてちょうど20日間!終わった瞬間は拍手、歓声、ため息が入り交じった。この間1日平均4時間稽古として80時間、台本が180ページだから、1時間平均2.2ページという驚異的な遅さだった。うーん、なぜ?は問わないことにしよう。ともかく、終わった。

 次はいよいよ物作りだよ。今回も相変わらず装置、道具、衣装が大量だ。装置については紗幕を三枚吊りたい。しかもそれに絵を描いて。さらにお城の城壁バルコニーだとか、巨大な柱だとか、いつもながら、無理難題だ。衣装は、ヨーロッパ中世のお姫様ドレスが三着、宮廷女官のドレス3着を初めとして、うーん、どれだけになんだろう?はっきりわからない。一昨日、布地を買いに行ったが、メモを作らず行ったので、案の定、3人分忘れてきた。先生、私の衣装!?って恨みのこもった目で見られてしまった。

 さらに道具だ。これがまたやたら多い。そりゃそうだ、劇団★新感線の台本だもの。まず、剣、スゥォードが12本、日本刀が2ふり。仮面多数。巨大な鏡。人が入れる大きな鍋。吹き矢と吹き矢筒。ロバ、ニワトリ、イヌ、ネコのかぶり物。まず今作り始めたものだけでも、ざっとこれだけ。この先、さらにやっかいなものがぞろぞろと控えている。

 で、嫌になるか?って言うと、これが違うんだよ。物作り、楽しいじゃないか。手に入る材料を様々吟味して、これをこうすれば、上手く行くか?とか、あれ使うといいんじゃないか、とか、あれこれ考えながら試作していく。実に創造的だ。プロだったら、それ相応のもの買ってきたり、専門業者に任せて、はい、終わり、ってところだろうが、高校生としちゃ、知恵と工夫と忍耐力とたっぷりの時間と大勢の人手が持ち駒だ。せいぜい悩み苦しみ楽しんで作っていこう。

 で、僕も一つ、貢献をってことで、一昨日は剣を、昨日はその鞘を作った。剣は適当な角材を鉋と小刀で切り出して刃を付け、それにL字金具をドライバーで打ち込んで、これに適当な端材をテープで巻き付けて形を整え、これが鍔。刃の部分にはアルミテープを貼って、柄には紙をのり付けしてから布を巻き付けた。鞘は、いろいろ考えた末に、一番単純に、ボール紙を丸めて形を作り、それに彩色できるテープを貼って、色づけしてそれらしくすることにした。日本刀の鞘は、特別につや有り黒の壁紙を利用することにした。近くでみれば、皺は寄ってるし、刃のカーブはちゃちだし、子どものちゃんばら用?って首かしげたくなるようなもんだが、なんせ舞台だから。遠いし、照明は暗いし、結構本物ぽく見えるはず。

 まっ、こんな手工業が2~3週間続くかな。でも、こんなことも結構大切なんだと思う。特に高校演劇では。工夫するから頭使う。いろんな材料の特質も学べる。工具の扱いも覚える。働き方もわかってくる。仕事の段取りも身に付く。上級生は、人の使い方の勉強にもなる。結構大事な学習機会だって思うんだな。みんなでわいわいやりながらモノ作っるのって楽しいしね。ぜひぜひ、いろんな学校でやってみて欲しいもんだと思う。でも、28人もいる置農演劇部だからできるんだよ、って言われれば、そうかな、とも思うけど。

 

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ともかく書いた!菜の花座新作

2009-04-23 21:52:18 | 地域文化

 しばらく菜の花座のこと書いてなかったでしょ。何もしてなかったわけじゃない。どころか、毎日、七転八倒してたんだ、台本書きに。で、ようやくそれを書き終えたってこと。苦労して書き上げたのに、さっぱり達成感がないんだ。作品の仕上がり、ものすごく不安だから。

 まず題材が、きわどい。外国からの花嫁さんの話しだから。これ、なかなか微妙なテーマでしょ。現実のしんどい部分ときわどく絡み合ってるからね。田舎の嫁不足。アジア各国の貧困。家や跡継ぎ。もちろん現在進行形だし。個々人の問題であって、国民性の問題でもある。差別問題なんかもからみついてくるしね。やっかいな題材扱ってしまったって後悔したって、後の祭り。今さら引くに引けない、ってことで、とにもかくにも書き続けてきた。だから、自信がない。

 次に方法の問題も不安で一杯だ。国民性もあるし、個性もある。それを一人に焦点当てたら、全体が見えなくなる。かといって、全体を平板になぞって面白いか。さらに、菜の花座の家庭の事情、装置は極力作りたくない!なんて軟弱な理由もある。

 結果、たどり着いたのが、短い一人芝居を幾つも重ねるってやり方だ。もちろん、一つ筋は通してある。でも、筋立てと個々の一人芝居との関係が、いまい希薄なんだよな。だいち、入れ替わり立ち替わりの中途半端な一人芝居なんて、お客さん喜んでくれるか?

 などと、上演前から泣き言、くどき。演じてくれる役者たちには、なんか申し訳ない気持ちで一杯だ。せっかくの第20回記念公演だってのにね。なので、せめて、役者たちが楽しんでもらえるように、極力一人二役にしてみた。って、楽しくなんかぜんぜんないか。

 タイトルは『恨(ハン)の行方』。そう韓国女性が主要人物になる。どんな舞台になるのか、今から、実に、恐ろしい!

 

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みんなで楽しめ!台本読み

2009-04-21 18:58:37 | 教育

 台本の読み合わせ、ただ今進行中。遅々として進まず。いつものことだけど、2時間かけて3ページなんてことざら!どうすんのまだ100ページもあんのに、って嘆くのも定番になってしまった。

 今回の『LOST SEVEN』去年の野田秀樹『キル』に比べたら数段、いえ数十段わかりやすいと思うのに、なんだ!って腹を立てながら、繰り返される外れたせりふ回しを我慢している。のは、僕だけじゃない。回りで自分の出番を待ってる奴、スタッフなので仕方なく聞くしか無い奴、もう!いい加減にしろ!って怒鳴りたい気持ち抑えて、眠い目こすりつつ、台本に目を落としてるんだよ。顧問に見つからなけりゃ、とっくに居眠りしてるぜ、って停滞した状況をだらだらと過ごしてる連中は、9割方に及ぶんだ。

 彼らの怒りのビームをへまし続ける奴らにレンズで集光したら、きっと奴らはめらめらと燃え上がることだろう。なんて、不穏な発想も頭をもたげる。いかんいかん!待つことこそ教育じゃないか、と心をなだめつつ、さて、このでれーっとした退廃ムードをどう切り抜けたらよいものか?ただひたすら聞くしかない辛い身の上の端役難民を救う手だてはないか。

 そこでまた、コンテストだよ。今回は、ブラウバルトって言うお馬鹿な皇帝のせりふを2,3年生全員に振り付きでやってもらうことにした。せりふはこうだ。「ほらほら、声が小さい。そんな歓声では、ミーのパフォーマンスは始まらぬぞよ。」「オーケー、オーケー。今日のオーディエンスも、いい子ちゃんざんすねー。ミーは満足じゃぞ。」

 ね、お馬鹿でしょ。これ昔のトニー谷とおそ松君のイヤミの合体ってところかな。当然めちゃ面白にしなくちゃだめなわけ。で、コンテスト。16人、スタッフもみんなともかく知恵を振り絞り、アイディアを出しまくり、恥と外聞をかなぐり捨てて、演じてもらったよ。これかなりの見物なの。いや、上手くはないよ。ほとんどダメ。でも、そのダメさ加減が実に面白い。もう、一年生も大爆笑。

 ねっ、これが狙いなのよ。マジにせりふの稽古だけしてたんじゃ、腐るでしょ。それをこんな手練手管、駆使しながら乗り切るってわけよ。時間にして15分程度、費やした時間は決して無駄じゃない。この笑いが一人一人の心をほぐし、演技への扉を開くことにもなっていくんだよ。演劇初体験の生徒たち、課題は技術じゃないの。心を開くってことなの。要するに平気で馬鹿やれってことなのよ。

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『LOST SEVEN』へ一歩

2009-04-17 21:51:17 | 教育

 ぱちぱちぱち!!おめでとうございまぁぁぁす!一年生12名入部です。

 大変だったね、どうなることかと思ったね。入試の面接で、演劇部希望者が5人いるってことだったけど、そんなもんあてにならないもの。いざ、入学したら気が変わったとか、部活紹介見てびびったとか、ジジイの顧問見て嫌気さしたとか、まあ、新入生の気持ちは、風に舞う桜の花びらのように行方知れずなんだ。どうころんだっておかしくはない。だから、12名も入ってくれたってことは大成功!万々歳じゃありませんか。だって、一学年の一割だからね。凄い!

 しかも!休みはないよ、大変だよって、上級生のさんざんの脅しをものともせずの入部なんだもの、これを凄いと言わずになんだ?と、かなり興奮気味だ。仲間がたくさんできることへの素直な喜びがまずは第一だ。演劇部の活動がある意味評価されたって満足感もある。でも、何よりの安堵は、第10回定期公演のキャスト・スタッフが間に合ったってことなんだ。

 そう、2,3年生をフルにキャスト割り振っても、まだ、最低でも5人、さらにその他大勢も含めれば、11人は欲しいところだったので、12人入部してくれたことで、ようやく公演実現の目途が立ったってことなんだ。随分脳天気な話しだよね。入るかどうかわからない新入生当てにして台本決めるなんてさ。まっ、普通はやらないよ、こんな冒険。でも、今回は、ぜひぜひこの芝居をやりたかったんだ、僕じゃない、顧問Nが。

 そろそろいいかな?作品を発表しちゃっても。じゃじゃーん!第10回定期公演は、中島かずき:作『LOST  SEVEN』でござーい!ますよ。そうそう、劇団★新感線の初期の名作ですよね。井上歌舞伎にいよいよ挑戦ですよ。ねっ、やってみたいでしょ!挑戦したいでしょ!わかる人にはわかるね。めちゃめちゃ面白いから。でも、とんでもなく難しい芝居でもある。その難関の第一は活劇だってことだろうね。役者の切れの良さ!これが勝負だってこと。そして、置農演劇部の役者に一番欠けているのが、その肉体の切れ味なんだよなぁ。どうする?どうする?

 まず、人数はそろった。良かった!で、次は役者改造計画だ。なにやるかって?まず3月から始めたのが徹底的な柔軟体操。そして、明日からは、ふふふ、秘密だよ。

 定期公演は6月21日(日)川西町フレンドリープラザだから。

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踊り狂った!LANDAYA X の夜

2009-04-16 06:57:57 | 演劇

 昨夜(ゆうべ)はLANDAYA X のコンサートだった。あれってコンサートって言えるのか?アフリカンパーカッションのグループの演奏会だ。会場は、川西町ライブスペースジャム。入ってみて、客席のセッティングに驚いた。奥のステージに椅子が並べられ、客席の一隅には数々のアフリカンドラムが置いてある。ステージは当然狭いので、そうね、30席もあるかどうか、すでに8割方が埋まっている。入場した生徒たちも、まずはとまどう。自分たちの席がない。いつも、高校生は安く見せてもらってるんだから、遠慮して座れって言ってるので、仕方ない、客席側で立ち見ってことにする。

 これがなんと、実にたくらまれたシチュエーションだったんだな。今回の企画の主催者テルさんのグループがまずは、前座で盛り上げる。最初は、お客さんもじっくり聞くという姿勢。でも、だんだんとテルさんのジンベ(ギニアではそう発音するってことだ)が熱を帯びる。立ち見の高校生を挑発する。彼のパフォーマンスにつられて生徒たちの身体が揺れ始める。さらに、楽器を置いて身振りで誘う。テルさんとは以前アフリカンドラムのワークショップで遊ばせてもらってるから、演劇部員たちも最初からノリがいい。知ってるってことは強みだ。

 いよいよ、ギニアのドラマー・カラモコさんが登場。その刻むリズムは迫力いっぱい。激しく力強く難解なリズムをこともなげに打ち出す。さらにダンサー兼ドラマー・セクバさんがコミカルな動きで観客を誘い出す。もう、こうなっちゃ、我慢できないよ。部員たち次々に引っ張り出されては、へんてこなダンスを披露する。さらには合唱?リーダーの歌った歌詞を繰り返すってパターンだけど、当然なに言ってるかわからない。だから、らららーとかあああーとか適当に調子を合わせる。このいい加減さがとてもいい。要するにダンスも歌も型があっても決まりがない。本当はあんのかもしれないけど、メンバーたちはそんなことより踊ること、声を出すこと、楽しむこと優先で誘ってくる。アフリカの音楽は、じっくり聴くってもんじゃない。観客も一緒に参加して盛り上げていくものなんだってことがよくわかった。

 て、ことで、演奏空間は置農演劇部と若い人たちで埋め尽くされる。お年寄りはステージ椅子席でにこやかに見守るって形ができてしまった。なんか、置農生ばっかりノリノリで楽しんでていいのか?って時々気になったけど、彼らが夢中で踊り狂うから、コンサートも盛り上がっているわけで、これはこれで正解なんだって思うことにした。

 ぶっ通しの2時間。踊り続けた2時間。今日の収穫は、これまでどっちかって言うと控えめだった3年女子が、他をさしおいてしゃしゃり出たことだ。彼女たちの中で、何かの扉が開かれたんだ。それは、自信のなさだったかもしれない。羞恥心だったかもしれない。過剰な自意識だったかもしれない。旧来の道徳観だったかもしれない。ともかく、彼女たちを押しとどめていた何かがアフリカのリズムに誘われて外されたんだと思う。こうやって人間は心を開いて行くだと思う。こんな貴重な経験を多くの高校生に分けて上げたいって思う。だから、置農演劇部に入りなよ、ってここで言ってもなんの効果もないか。

 フィナーレは全員で、みんながいるから問題ないさ、と日本語で歌い、リズム遊びで盛り上がって終わった。LANLAYAはギニアの言葉で信頼!

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