もう書いてもいいんだ、定期公演は野田秀樹『キル』をやるぞぉぉぉぉぉ!
そう、ようやく上演許可が届いて、上演料も振り込んだから、大手を振って言いふらそう。もう一回言ちゃう、定演は野田の『キル』だぁ!本読みを終えて、今は衣装・装置・道具の製作中だ。まずはなんてったって、衣装だよ。いったい何着作ればいいんだ?女子部員全員がミシンにしがみついて縫い物に一心不乱だ。いいねえ、実に『キル』じゃないか。
おっと、『キル』の内容を知らない人のために、一言。この作品はジンギスカン=テムジンが主人公、でも、戦いは武力でなく、ファッションの世界っていう奇妙な作品なんだ。だから、オープニングは足踏みミシンの登場からだし、エンディングは舞台一面を覆う巨大な布が空に舞う。もちろん、途中にはファッションショーも随所にあって、もう、どんだけ服を作ればいいのか、布を用意すればいいのか、未だに部員一同誰も把握できていないっていう凄まじい芝居なんだ。
すでに準備した布地は、和服の古着七着、ラッピング用不織布11本、裏地多数。見て分かる通り、徹底して節約大作戦なんだ。モンゴルの衣装は主として古着。兵士の制服は裏地の使用。ラッピング布はファッションショー向けだ。これらの素材を利用して、19人の部員が被服室のミシンに総掛かりで取り組んでいる。壮絶だよ、20台近いミシンが動いてる様子って!
ところが、繊細なミシンは次々にダウン、40台もあったミシンが、今では、使えるもの4台まで減ってしまった。どうするどうする?まだ、入り口に入り込んだばかりだって言うのに。仕方ないので、まずは、手の空いた者には手縫いを指示。ミシンの調整、修理について家庭科の先生と急遽相談、演劇部の費用で修繕させてもらうことになった。うーん、実に『キル』的だ。
装置のほうは、舞台に変化を付けたくて、幅2間、奥行き3間のスロープを造っている。これをどう使うかなんて、まるで考えちゃいないんだ。ただ、この芝居、動きがとっても激しいから、スロープを駆け上がり駆け下りするといいだろうな、ていう直感だ。ファッションショーもこのスロープがうまく使えるに違いない。
ともかく、いろんな工夫を凝らしてみたい。思いがけない、途方もない仕組みを考え出してみたい。本当に、アイディア勝負なんだよ、この芝居。で、最後の極めつけは、テムジンを女が演じるってことだろうか。おいおい、ばらしちゃっていいのか?今の時代、義理人情は女がやってます!っていう『熱海殺人事件』のキャッチコピーじゃないが、女の方が、はるかに、男を、しかも戦う男を演じられるんだよ、今の時代は!
さあさあ、見所満載のこの舞台、上演日時は6月7日(土)午後1時と6時の公演だ。女テムジンの熱い心意気が舞台を一気に突き抜ける!