ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

あるもの数えりゃ、なんとかなるさ

2014-01-30 15:37:53 | シニア演劇
 演劇部高校生向けの冊子にシニア演劇学校について書いた。まだ、掲載前だけど、このブログの読者とはほとんどかぶらないから、読んでもらおうかな。


 川西町フレンドリープラザで始まったシニア演劇学校も2期生の終了が間近に迫りつつある。演劇初心者、50歳以上が入校の条件だ。講習期間は1年間、発声、パントマイム、エチュードなど基礎訓練を重ね、11月には1時間を超える成果発表の大舞台、3月にコントと各自持ち芸を発表して目出度く卒業する。

 1期生は7人、どんな墓に入るかを巡るコミカルな創作劇『風渡る頃』を発表した。さすがはシニア!テーマがお墓だもの。この舞台、なかなか好評で、山梨県南アルプス市で行われた全国大会にも出演した。そう、シニア演劇にも全国大会がある!ただし、手上げれば出られるんたけど。

 昨年4月からスタートした2期生は、なんとミュージカルで勝負した。演劇だと思って入ってみたらミュージカル!なんで?なんで?と突然の展開に戸惑いつつも、メンバー10人、歌に芝居にダンスにと、難関、難所、難敵を乗り越え踏み越え、逃亡することなくついに!やり遂げた。鳴り止まぬ拍手にカーテンコールのダンス2回!感激!!手作りした衣装や装置、道具の素晴らしさも絶賛された。You Tubeにアップしてあるのでぜひ見て欲しい。(『ラ・グリンシャ クロニクル』で検索)

 講習は週に1日で始まるが、本番台本が渡れば週2になり、3になり、直前3週間はほぼ毎日の稽古となる。遠くの人(東根、山形)など泊まりがけで稽古、もの作りに専念する。そこまで夢中にさせるものなんだ、演劇ってやつは。経験は皆無、自信はゼロ、でも、舞台に立ってみたい!照明を浴びてみたい!表現したい!と集まった人たち。やる気と生真面目を武器にして、ついに思ってもみなかった地点にたどり着いてしまう。まさか、歌うなんて!まさか、踊るなんて!まさか、拍手を浴びるなんて!!

 とは言え、歳をとるってのは恐ろしい。体は固い。体力はない。心も強ばっている。何より辛いのは、記憶力の喪失!そう、セリフが覚えられない、出てこない!演劇にとっちゃ致命傷って言える。でも、シニアは頑張る。知恵を絞り経験を生かす。休まず繰り返す。互いに支え合って努力する。そして、晴れ晴れしい舞台の脚光!が贈り物。共に作り上げた仲間たちが宝物。ミュージカルのフィナーレは、ないものを嘆くより、あるものを数えて暮らしていこうと歌い上げて終わる。


    体力ない
    若さがない
    時間がない
    ないもの名を上げなんとする
    そうさ あるものさ

    家がある
    食べものがある
    動ける体がある
    そうともあるさ 命がある
    あるもの数えりゃ なんとかなる
    
    お日様がある
    友がある
    暮らしがある
    そうとも集える 広場がある
    あるもの上げれば 悪くはないさ

    歌がある
    ダンスがある
    酒がある
    そうとも燃える 祭りがある
    あるもの結構 凄いじゃないか

    今を生きれば それでいい
    今あるものは 明日も生きる
    だって クロニクル 
    年代記がつないでくれる
    そうさ クロニクル
    生きとし生きて ムラにつながる
    年代記 年代記 ラ・グリンシャ クロニクル
                  作詞:河原俊雄 作曲:知野礼美

 そう、高校生だって同じさ。


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新作コント『おせっかい!』台本アップ

2014-01-25 14:52:03 | コント
コント『おせっかい!』
キャスト
老人            
先取りサービスコーポレーション:小崎       
片づけ名人紹介商会:緒後         

          老人の居室。中央に座卓。奧に書棚と机と椅子。書棚には本やアルバムや書類ファイル等が押し込まれている。
 老人、椅子に座って、iPhoneを片手に一人ぶつぶつ言っている。
老人    これ!アイホン!ついこないだ出たばかりの新製品、アイホン5c!!(ほくほく顔から一転)だから何だって言うのよ。こんなもんもらったって使い方さっぱりわからないちゅうの。携帯電話だって、いっつもどこかに置き忘れて、不携帯で不経済!って文句言われてんだから。なんて憎まれ口きいてらんないね。なんせ、孫からのプレゼントなんだから。でも、どうせ寄越すんなら、マッサージ椅子とかだったらよかったのに。こう、ぶるぶるグリグリもみもみ、ぶるぶるグリグリもみもみ。
          と、身体を震わせ声を震わせる。
老人    ああ、気持ちいい!っていかんもんなぁ、これじゃ。文字盤も数字もさっぱりない。まったくもう!
と適当に画面を叩いてみるが、うんざりして机に投げ出す。
老人    でもま、あの子も大きくなったもんだ。初めてもらった給料で買ったんだ、って可愛いもんだね。ふふふふ。昔、こんなちっこくって、いやぁ、めんごくってさあ。そうだ、写真、写真、幼稚園入った時の、どこかにしまってあるはずだ。
          と、棚や机の引き出しを探していると、先取りサービスの男、入ってくる。
小崎    本日はご用命いただきまことにありがとうございます。お客様の難題、課題、宿題、問題、願望、希望、すべて先取りして解決のお手伝いをさせていただきます。先取りサービスコーポレーションの小崎(おさき)と申します。
老人    はぁ、誰も頼んでなんかないけど、・・・
小崎    いえ、そのアイホンから、ご依頼をお受けいたしました。
老人    えっ!これ、ただ、めちゃくちゃ叩いただけだけど、・・・
小崎    お客様のただ今のご要望は、お孫様のお小さい時のお写真を見つけたい、さようでございますね。
老人    そ、そう。どうしてわかるの?
小崎    それはもう、先取りサービスでございますから。
老人    いや、先取りったって、・・・
小崎    それでは、業務に入らせていただきます。
老人    はあ、・・・
          と、猛烈なスピードで書類やノートやアルバムをほうり出しながら、写真を探す。
老人    お、おい!ちょっと、あんた!・・・これ、そんな無茶しないで、・・・や、止めなさい!・・・散らかして、これ、止め、・・・
          と、小崎を止めようとするが、小崎、かまわず探し続けて、一枚の写真を探し出す。
小崎    ございました。お孫様の幼稚園入園時のお写真でございます。
老人    た、たしかに、これ、・・
          と、突然、小崎テレビCMの口調になって、
小崎    カメラをお探しなら、アシダカメラ!本格一眼レフからデジカメまで、なんでもそろうアシダカメラ!カメラのことならアシダカメラ店!ちゃんちゃん!
老人    ちゃんちゃん、ってなんなんだ、突然?
小崎    当社はフリービジネスでお客様へのサービスを提供させていただいておりますので、お客様から料金はいただかないかわりに、ご要望関連のコマーシャルが入ります。
老人    そ、そうか、まっ、ただってことなら仕方ないか。
          老人、孫の写真を見てにやにやとする。
小崎    わかりました。お茶でも飲みながらお孫さんの思い出に浸りたい。
老人    そ、そうだ!(見抜かれてびっくり)
小崎    かしこまりました。少々お待ちください。
          と、一旦引っ込むがすぐにカップに入った紅茶2人分とお菓子の皿を持って出てくる。
老人    よくわかるもんだな!
小崎    ティータイムのお供には、鶴屋先年堂のアホナ!アホナはお菓子のホームラン王です。おいしさたっぷりアホナ!ちゃんちゃん!
老人    古いなぁ!そんなコマーシャル今やっとらんだろ。
小崎    お客様のお年に合わせたコマーシャルを心がけております。
老人    そうか。あんたも一緒にって言わんうちから2人分出ておるじゃないか!
小崎    はい、そうおっしゃることも予知しておりましたから。
老人    凄いな!あんた、地震予報官にでもなったらいいんじゃないか?
小崎    申し訳ございません。人間の心は読めても、ナマズの心は読めません。
老人    そりゃそうだ。ナマズはのらりくらりして捕まえにくいものな。
          老人、カップを口に持って行きながら、辺りを見回し、
老人    それにしても、・・・
小崎    わかりました。ただ今より掃除をいたします。
老人    そうそう、そうしてくれ。
          小崎、はけた後、すぐに掃除機を持って登場。掃除を始めるが、散らかしたものを片づけることもせず、その上から掃除機をかけていく。
老人    こ、こら!なにしている!
          小崎、かまわず続ける。
老人    止め!止めなさい!
          と、コードを引き抜く。
老人    なんだ、その掃除の仕方は?
小崎    私のお受けしたご要望は掃除でしたから。
老人    掃除てのは、散らかったものを片づけてからするもんじゃろ!
小崎    申し訳ありません。私ども、業務は大変厳密に規定しております。掃除は、掃除機をかけること、と決めてございます。
老人    こんなに散らかっておったら、まず片づけだろ!
小崎    承知しました。お客様のアイホンをお借りします。
老人    な、なんだ?なんで、わしのアイホンなんだ?!
小崎    これより片づけ専門業者に発注いたしますので。
老人    そんな、あんたがしたらいいだろ、片づけくらい。
小崎    申し訳ございません。私ども訪問サービス業界は細かくサービス内容を分担しております。私は先取りが業務内容。後始末は業務から外されております。ですから、片づけについては、別のサービス会社がお引き受けすることになります。
老人    なんか、よくわからんが、そっちの方もただか?
小崎    はい。フリービジネスでございます。
老人    じゃあ、連絡しろ。
小崎    かしこまりました。
          と、小崎、アイホンを適当にタッチする。すぐに、片づけ名人紹介商会の緒後(おあと)入ってくる。緒後は、割烹着に姉さんかぶり背中にはたきを刺し、手には箒を持っている。
緒後    遅くなりました。ご用命により参上いたしました。
老人    遅くない!遅くない!
緒後    世の中、ナノの時代ですから。
老人    関係ないだろ、ナノは。
緒後    整理整頓、後始末、身辺整理にお片づけ、後はお任せ、片づけ名人!片づけ名人紹介商会でございます。
老人    なんでしょうかいがダブルんだ?
緒後    最初の紹介は、(司会者の口調で)皆様、ご紹介いたします!の紹介で、後の方は、・・・
小崎    しょうかい、しょうかい!(そうかい、そうかい!)のしょうかい。
          緒後、軽蔑のまなざしで小崎を睨む。
小崎    ごめんなさい。
老人    ま、なんでもいい、ほれこの散らかしようだ、さっそくやってくれ。
緒後    ただ今から業務にかかりますが、その前に、・・・
          と、バッグからアイパッドを取り出し、画面を開いて、老人に示す。
緒後    我が社のフェイスブックページです。このページにいいね!をお一つお願いします。
老人    まさか、ここ押したら、法外な料金請求されるとかじゃないだろうな?
緒後    料金はいただきません。ご心配でしたら、この会社規約をご覧ください。20ページほどありますが。
          と、画面を素早くどこまでもスクロールする。
老人    いい、わかった!ほら、いいね!っと。
緒後    では、片づけ名人ぃぃぃぃぃぃぃぃん!参上ぉぉぉぉぉぉぉ!
          と、大袈裟に見栄を切り、片づけを始める。凄いスピードだ。
老人    おお!見事!見事!!
          と、緒後の素早い動きに満足しつつ、テーブルのお菓子に手を伸ばそうとすると、いち早く緒後、お茶セットもろとも片づけてしまう。
老人    お、おい。それはまだ、・・・
小崎    わかりました。
          と、小崎、緒後の後を追い、お菓子を取り戻してきて、老人に渡す。老人がそれを口にしようとするが、緒後、素早く奪い取り、片づける。小崎、またまたそれを奪い返し、老人に、しばし、この争奪戦が続くが、老人諦めて、
老人    も、もういい。片づけていい!なんか、頭が痛くなってきた。
          と、その場に座り込む。小崎、察して、薬を持ってくる。
小崎    お薬です。
老人    いらん!
          と、緒後、洗面器を持ってくる。
緒後    さっ、ここに吐いてください。後のことは心配せずに。
          と、無理矢理押さえ込み、背中をさする。老人、その気になって、げぇげぇ始めてしまう。
小崎    アイホン、お借りします。
老人    今度はなんだ?
小崎    消防署ですか?急患です。救急車の手配お願いします。激しい頭痛と吐き気です。立って居られない状態です。
          老人、驚いて立ち上がる。
小崎    よろしくお願いします。はい!このアイホンの位置情報で。
老人    救急車なんて呼ぶな!
小崎    すぐに来るそうです。
          老人、アイホンを奪い取るが、どうやっていいかわからないので、ただひたすらアイホンに向かって大声で怒鳴る。
老人    救急車!来んでいいぞ!呼んどらんぞ!
          と、緒後、テーブルを片づけたり、机の上を整理したし始める。
老人    ちょちょちょっと!おまえ、何してるんだ?!
緒後    入院に備え部屋の片づけをしております。
老人    せんでいい!
その間、小崎は、旅行バッグを取り出し、寝間着や着替え、洗面道具などをチェックして入院のための荷造りを始める。
老人    お、おまえは、何をしておるんだ?
小崎    入院に必要なものを用意しております。
老人    そんなもん、必要ない!
小崎    入院は長引きそうですから、着替えは1週間分入れておきます。
老人    入院などせん!
緒後    と、言い張っておいでの方ほど長期になります。長くなる場合は、片づけ名人にご連絡ください。
老人    だから、・・・
緒後    病院内での洗濯など後始末はすべてお引き受けいたします。
小崎    病院内での買い物、お使いなど前向きのご用につきましては、私ども先取りサービスが承ります。
老人    わしは、病気などでない!入院などせん!
          と、かなり興奮している。救急車のサイレンが近付き、玄関前に到着した様子。
小崎    救急車が到着したようです。案内してまいります。
老人    ま、待て!中に入れるな!
小崎    ですが、こちらからお呼びしたわけですから、・・・
老人    ま、ま、ま、間違いでしたって謝ってこい!
緒後    それでしたら、私が参ります。後始末ですから。
           ドンドンとドアをノックする音。
老人    は、は、早く!
緒後    それでは、こちらにいいね!をポチッと。
老人    そんなもん後でいくらでも押してやる!早く断ってこい!
緒後    いえ、そうはまいりません。私どもは、完全前押し制になっております。いいね!を押していただけないと、後始末に入れません。
           さらに、ノックの音が。
老人    わかった!わかった!ほ、ほら、これでいいだろ?!
緒後    承知いたしました。
           と、緒後、出て行く。と、突然、小崎、消防署のコマーシャルを始める。
小崎    「大事です 救急車の着くまでが!」「その命 あなたの勇気が 救います」おっ!空を見ろ!白鳥だ!スーパーマンだ!いや、救急車だ!ちゃんちゃん!
老人    なんだって!?なんだって?!救急車の宣伝なんだ!?
小崎    先ほどやるのを忘れましたから。
緒後、戻ってくる。
緒後    救急車には帰っていただきました。
老人    あ、あ、あ、当たり前だ!
緒後    後日、出動経費の請求があるとのことでした。
老人    なんで?!なんで?!わしが、・・・・
緒後    いたずらの出動要請に対する追加徴収もあるそうです。
老人    し、し、し、知らん!わ、わ、わ、・・・
小崎    わかりました。アイホンをお借りします。
老人    こ、こ、今度は、な、な、なに、・・・
小崎    ええ、そうです。認知症の老人を一人入所お願いします。
老人    に、に、認知、認知、・・わしを、ぼ、ぼ、ぼけ、・・・
小崎    (電話先に向かって)そうです。数分前に言ったことをすでに忘れてしまって。ええ、言葉も思うように出てこない様子です。
老人    わ、わ、わ、わしは、に、に、に・・・・
小崎    運良く、一人お亡くなりになったということで、すぐに入所できるそうです。
老人    き、き、き、き・さ・ま・・・
緒後    と、成りますと、後始末。私にもアイホンをお貸しください。あっ、そのまえに、いいね!にポチ。
          老人、アイホンを奪い返そうとして、つい、いいね!にタッチしてしまう。
緒後    ありがとうございます。あっ、駅前不動産ですか?家を売りたいのですが?鑑定していただけますか?そうです、家主が老人介護施設に移られることになりまして、・・・私は、後始末を依頼された片づけ名人の緒後と申し、・・・
老人    きぃぃぃぃぃ!
          と、老人卒倒する。
小崎    ああ、駄目です!まだ死んでしまってはいけません。ご臨終の前にやるべき事が。
          と、書面と朱肉を突き出す。
小崎    遺言状です。あなたの死後、ご親戚一同が骨肉の争いをなさいませぬように、あぁぁぁぁぁ!
          小崎、老人を抱きしめ、鼓動を聞いて、
小崎    ご臨終です。
緒後、アイホンを取り上げ、
緒後    葬儀社ですか?ええ、今ご老人がお亡くなりました。葬儀一切をお願い、あっ、ダメだ!ダメです!
          と、アイホンを耳から外す。
小崎    どうしました?
緒後    ダメです。死後の後始末、できません。
小崎    どうしてですか?
緒後    いいね!ポチっとしてもらえませんから。いいね!を。
           2人、頷きあい、手を合わせて。
2人    なんまんだぶ!なんまんだぶ!
小崎    ご仏壇のご用命は、曼荼羅仏具店!墓石のことなら極楽堂石材店!任せて安心、永眠葬儀社!心のこもった読経でお送り、安穏寺!ちゃんちゃん!
           老人、突如起きあがり、
老人    いい加減にしろ!!!!
           と、2人をごっつんこさせる。
                       了


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老人よ、体を鍛えておけ!

2014-01-22 16:51:30 | トレーニング
 走ってるってことは書いた。泳いでるってことも書いた。目標がマラソン完走でトライアスロン(ハーフ)完走だってことも書いた。で、書かなかったこと。走って泳ぐその合間にマシーン使って筋トレもやってるってこと。もちろんジムに通っての話しだ。

 やってる、なんて大見得きれるほどのもんじゃないけど、ランニングマシーンで6~7km走った後に9種類ある筋トレマシーンで目一杯負荷を掛けてそれぞれ15回、歯を食いしばりうめき声を上げながら?頑張る。さらに、懸垂8~10回と、腹筋50回とダンベル。ほぼ30分ほど汗を流したら、最後はプールで500m、これがこのところのトレーニングメニューだ。年寄りの冷や水?まっ、そういうことだ。

 なんだってこんなに体を痛めつけるのか?最初始めた動機は高い血圧を下げるってことだった。発作でぽっくりならいいけど、半身不随の後遺症、なんての嫌だからね。薬使って体調保つ、なんて意識もここ50数年持ち合わせていない。やっぱり、運動でしょ、ってことで始めた。

 血圧降下、健康増進だけが目当てなら、ジョギングかあるいはウォーキングで十分だ。いや、もしかすると歳も歳なんだし、軽度のトレーニングの方が効果的なのかもしれない。だけど、始めてみると、ついついぎりぎりまで追い込んでしまうんだな、これが。

 走れば、マシーンのスピードを一目盛り、二目盛りと上げていくし、傾斜の負荷を掛けてみたり、ときにはインターバル走なんかまで試したりしてしまう。時間の制限が無ければ、1時間でも2時間でも走り続けるね、きっと。水泳も、500mを継続して泳げるようになってからは、これをノルマにするようになった。で、そこに筋トレマシーンがあるとなれば、当然!頑張ってしまうわけだ。

 目標は、筋骨隆々!筋肉マン!なわけないでしょ。腹筋の割れ目くらいは、なれればいいなぁとは思う。腹の皮をつまんで贅肉まるでなし、体脂肪率10以下も狙い目でないわけじゃない。横で若い奴が軽めの加重でやってるの見て、軟弱者めが!などと優越感に浸るなんてのも下衆な喜びとして悪くない。

 でもね、なんなんだろう、このひたむきさは。

 生命力の確認運動なんじゃないか、ってのが一つの答え。人は老いる。老いれば体力も筋力も衰える。老いさらばえていく肉体を日々感じながら、なんとかならんか?いま一度の春よ!とまでは高望みせぬものの、可能な限り柔軟で力強い体を保ちたいって思うんだ。これだけ動ける。こんなにやれる。これは何より自信につながる。まだまだ残っている旺盛な生命力に感謝するってことだ。無い物ねだりの悪あがき、って見なすこともできる。体で勝負しなくたって他にあるだろ老成の勝ち目は、って思いもないわけじゃない。が、そう思ったら、なんかもう負けなんだ。鍛錬するっとことは、気力の勝負でもあるから。

 可能性の追求って意味も大きい。人間おうおうにして、今の自分を動かし難く”当然”と思いがちだ。でも、それって全然違う。誰でもいつでも可能性は無限に広がっている。ただ、それを開こうとしていないだけのこと。高校生と芝居作りをして学んだ大切なことがこれだ。年齢だって同じこと。肉体だって同じこと。まだまだできる。まだまだ可能だ。75歳で昨年一年間にフルマラソンを50回走りきった人がいる。80歳を越えて100kmウルトラマラソンを目指す人もざらにいる。努力の果てに自分の限界を一つまた一つと押し広げていくことの喜び。自分の力を確信できた満足感。さらに大きく開かれた可能性に静かに奮い立つ意欲。死が間近に迫っていればこそ、肉体を磨き上げる喜びは大きなものとなるのだ。

 さらに、トレーニングの後は、頭脳も明晰になるし、よっしゃ!まだまだやれるって気も大きくなる。だから、老人よ、体を鍛えておけ!


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削れ、削れ、8000字!

2014-01-08 19:00:37 | 演劇
 『決められない!』の再演日時、決定!

 2月15日(土)13:00開演 村山市民会館大ホール。

 やまがた青少年演劇合同発表会に参加する。他に4団体、高校が3校(仙台高校、東根工業、楯岡高校)とアマチュアの「劇団乾杯」。発表は前日から始まり、菜の花座は、おっとぉ!おおとりですよ。気使ってくれますね。期待してくれてますねぇ。

 ともかく、再演したかったんだ、『決められない!』。1回の公演じゃぜったいもったいない!キャストもスタッフもみんなそう思った。まっ、再演!って希望は、他の芝居も同じなんだけど。でも、大きな芝居だとそうは簡単にいかない。装置の問題もあるし、何よりキャストが集まるのが難しい。

 その点、『決められない!』は、出演者4人。装置は椅子とテーブルが数個ずつ。これなら、何度でも、どこででもできるわけでしょ。しかも、再演熱望の理由は他にもある。この舞台、若手女性4人の芝居。当然、見て欲しいのは若い人たちだ。なのに、菜の花座の公演って言ったら、平均年齢シニアだもの、こりゃ、どうしたって、若者相手に一発ぶちあげなくちゃってことなんだなぁ。公演を見てくれた近江先生のご尽力で、今回の再挑戦決定!となった。

 ただ。問題は、公演時間が80分までときつく制限されていることだ。昨年の舞台、途中休憩も入れるくらい長かった。正味1時間55分。てことは、35分削らなくちゃなんないってこと。ほぼ三分の一だよ。これは厳しいでしょ!文字数で見積もったら、29,316文字の原作をなんと8,000文字分短くするってことなんだ。そんなぁぁぁぁ!

 仕方ない、約束だから、やるっきゃない。目標21,316字!研磨作業開始。まずは、不要なセリフ、余分なセリフを刈り込んだ。全然、不足。2000字にもならない。次に、つらいところだけど、エピソードの幾つかを消した。役者、悔しがるだろうなって思いは、心を鬼にして断行。ても、これでもまだ半分。やっぱりシーンをカットするしかないか。

 この作品は、4つのショートコントが9つのシーンに分かれて進む形なんだ。もちろんどのシーンも、ショートショートとしてそれぞれ楽しめるように書いてある。その点、なかなか洒落た良い作品だと、これは自画自賛。だから、本当は、シーンまるまるは削りたくない。でも、後4,000字じゃぁ、さらに、心を閻魔大王にして二枚の舌(シーン)を引っこ抜いた。残り500文字!

 再度、再々度、読み通し、眺め通して、ここを削り、こっちを消し、あっちを引きちぎって、ようやく!ようやく!ようやく完成したのがついさっき。なんと21,178文字にまで短縮できた。場転も二つなくせたので、これなら80分の制限時間内で上演できるだろう。後は、場転のスタッフワークしだいってことだ。

 せっかく書いたシーンやセリフを捨てていくってのは、本当に辛いことだが、いざ、こうやって剪定作業が終わって見ると、冗長な部分が整理され、くどいせりふが無くなって、あれれ、意外とすっきりしたじゃないか。俄然、観客には分かり易く、見やすくなったんじゃないかな。

 こういうものかも知れない。普段からこのくらいの勇断、猛進で見直さなくちゃいけなかったのかも知れない。手直し作業が嫌いな僕にはいい薬になった今回の経験だったなぁ。

 それにしても、高校生たちに混じって、なんだあれが菜の花座かよ!って鼻であしらわれないように、さっ、稽古!稽古!!稽古!!!ですよ。

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今更7年前の映画でもないんだけど。

2014-01-03 12:21:37 | 映画
 大晦日は、NHKプレミアムの映画、これがここ数年の過ごし方だ。紅白を敢えてパスするとかって気持ちはない。あの国民総参加イベントと肌が合わないってことだけ。それと、グラスを片手にかつての名作をじっくりってのも、年越しにふさわしい時間のように感じるんだ。

 昨年は高倉健の作品特集だった。『唐獅子牡丹』と『幸福の黄色いハンカチ』でたっぷり涙を流して、極めつけは『駅 STATION』人が生きることの切なさに胸ふさがれた。

 今年の極めつけは『ボーン アルティメイタム』だった。

 『ボーン』シリーズは、記憶を失い何故か暗殺者になってしまっている男:ジェイソン・ボーンが、自身の過去を探し求める話しだ。暗殺者だが、金目当て、狂信故の仕事ではない。しかも、しでかした殺人は、そばから記憶が失われ、その断片のみがかすかにフラッシュバックするのみ。得たいの知れない自分自身、犯してしまったらしい殺人、その罪の意識に苛まれつつ、自分を操る実態に肉薄する。秘密を守り通そうとする組織の全力上げた追跡、狙撃、殺し屋。文字通り行き詰まる追跡劇が、ロンドンの雑踏、モロッコ・タンジールの密集した家屋を舞台に、最後はニューヨークでの破壊度100%のカーチェイス。追われる者の緊迫感!

 この追跡劇の切迫感を支えているのが、情報技術だ。町中あらゆる所に設置された防犯カメラ、その映像がリアルタイムで追跡者の中枢に映し出され、逐一追跡者に伝えられる。カメラの死角をたどって逃亡するボーン。追跡者の拳銃に取り付けられたビデオカメラがスリルを研ぎ澄ます。音響効果も大きい。常に追い立てるような低音のリズムがボーンに迫る。全編、スリルとサスペンス、ってまぁ、月並みだけど。

 でも、一番引き付けられたのは、ボーンを操る組織が実はCIAだったことだ。国家のために躊躇わず殺人を行う暗殺者マシーンを作ること、それがCIAの極秘作戦だった。命令のままに考えることなく邪魔者を殺していく。しかもその記憶は実行のそばから失われる。これほど都合のいい暗殺者はまたとない。ボーンはついにその秘密にたどり着く。自分を暗殺マシーンに作り上げた研究者と対峙するクライマックス、ボーンは、それがボーン自身の志願であったことを知らされる。どうやらその青年(ボーンに生まれ変わる)は中東戦争?に従軍し、友人を失った痛手からそんな非人間的な実験の被験台になることを目指したようだが、映画ではよくわからなかった。

 さて、CIAと言えば、アメリカの敵と見れば、国内外を問わず脅し、貶め、圧迫し、圧殺してきた存在だ。アフガニスタンに侵攻したソ連軍に敵対するするためイスラム原理主義過激派を育てたり、中南米の多くの左翼政権を打倒するために、反政府組織を支援し指導し多大な武器援助を行って、軍事政権樹立をお膳立てしてきた。そんなCIAなら、暗殺マシーンだってあり得る。

 だが、僕が感じたやりきれなさは、青年が自ら志願して暗殺マシーンに成っていったということだ。彼は、殺しに関するあらゆるテクニックをたたき込まれ強靱な殺人者になって行った。CIA-暗殺マシーンの関係はこれで止まるものなのか?国家-従軍兵士。国家が悪と見なすベトナム人、中南米の人々、さらに中近東、あるいはイスラム教徒に対し、若者たちは自ら志願し戦場に立ってきたのではないか。CIA-ボーンの構図は、アメリカ国家-兵士達と読み替え可能だ。

 だから、映画のラストシーンはあまちょろい。CIA内部の良識派がボーンの手に入れた極秘書類を議会に提出し、CIA長官以下、関わった上層部が失脚することで終わる。そう、良識の勝利ってやつだ。でも、現実は違うだろう。CIAの秘密活動は国家の上層部黙認のものだろう。だから一部人間のリークは、当然のこと、抹消されていくに違いない。極秘文書は人知れず廃棄され、告発者は始末される。残るは、政府高官のあざけりを隠したしかつめな顔。

 アメリカの恥知らずの歴史をあからさまにした、『オリバー・ストーンのもう一つのアメリカ史』、その再放送が、年末の29,30日にあった。『ボーン アルティメイタム』はその翌日。果たして偶然なのか?はたまた、番組編成者の内密な企みだったのか?

 

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